北朝鮮サンオ級潜水艦(韓国江陵市・統一公園)
写真は平成16(2004)年11月15日に撮影したものです。写っているのは8年前に付近で座礁し、鹵獲された北朝鮮のサンオ(鮫)級潜水艦です。公開されているものなのであらためてブログに載せてもそう意味はないのですが、意外と知らない方が多いので掲示してみました。
この事件の概要は次の通りです。
1996(平成8)年9月18日早朝、東海岸に面した江原道江陵市の海岸線を走っていたタクシーの運転手が、座礁した黒色の潜水艦を発見した件。韓国の軍・警察・郷土予備軍は、合同で逃走路周辺を全面封鎖し、潜水艦操舵手である李光洙(イ・グァンス)を逮捕し、また、座礁地点近くで集団殺害された11名の死体を発見した。その後逃走勧告を無視して逃亡を続けていた偵察組長・潜水艦長等13名を発見、射殺し、潜水艦の中からはRPG-7対戦車ロケット、M-16・AK小銃等の武器類、偵察地図、望遠カメラ等の遺留品を鹵獲した。
しかし、韓国軍も掃討作戦の過程において11名が戦死し、民間人6名が殺害されている。乗組員のうち1人は結局発見されず、韓国軍の厳戒態勢をかいくぐって陸路北朝鮮に帰還したとされている。
逮捕された李光洙の自供により次のようなことが明らかになった。潜水艦は咸鏡南道楽園(昔の退潮)にある潜水艦基地から9月14日午前5時頃、人民武力部の偵察局海上処長(大佐)、偵察要員3名と案内員ら26名を乗せて出港し、15日午後8時頃、江陵市安仁津里近隣の海上に到着、偵察組3名を浸透させた後、海上偵察を行い、偵察組の復帰を待っていた。
17日午後9時頃、復帰途中の偵察組長から「波が高いので海岸近くまで接近せよ」との無線指示を受け後進で海岸に接近していたところ、波に押し流されて座礁した。航行不可能と判断されたため艦内の主要器物を焼却・破損した後、海岸に上陸、近隣の山野に逃走した。
潜水艦は江陵のバスターミナルから車で20分程南に行った海岸線にある「統一公園」に展示されており、内部も自由に見学できます。同公園内には韓国海軍の退役駆逐艦(米軍から1972年に譲渡されたもの)も展示されています。江陵まではソウルから高速バスで3時間、景色の良いところで、近くには「砂時計」というドラマで一躍観光地化した正東津(チョンドンジン)という海岸もありますから、韓国旅行で1日余裕がある方は足を運んで損はないと思います。
全長35メートルの小型潜水艦も全体を見ると思いの外大きく、こういうのが出入りをしているのかと思うと平和とか安全という言葉の意味も違って感じられます。もっとも、最近の平和ボケした韓国ではあまり関心を持たれていないようですが。
写真は順に左舷側全景(見学用に開けた入口が見える)、艦内から見た工作員脱出口、右舷側全景(魚雷発射管の位置に工作員脱出口が見える)、内部の機器(日本製)、座礁した船尾部分の順になっています。
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