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2006年7月 3日

悪者は誰か

以下は特定失踪者問題調査会のメールニュースで流した内容です。

[調査会NEWS 383](18.7.2)

■悪者は誰か
                    荒木和博

 金英男さんとご家族の対面、そして記者会見等を受けて日本のマスコミではその矛盾点がクローズアップされています。お姉さんの英子さんのインタビューなども流されていますが、正直なところ、「こんな間違い探しばかりやってどうするのか」という思いがしてなりません。

 寺越事件の例を挙げるまでもなく、あのようなときに金英男さんが事実を話せるわけはなく、また、それを聞いたご家族が、「英男の言葉は嘘だ」と言えるはずもありません。家族の思いからすれば何としても金英男さんを守ろうとするでしょう。北朝鮮当局のシナリオに沿って言わされているのは自明の理なのに、その矛盾ばかり突いていたら金英男さんやそのご家族が悪者になるばかりです。

 悪いのは拉致をした北朝鮮当局です。金英男さんにああいうことをしゃべらせている金正日体制に問題があるのであって、28年ぶりの再会で自分の感情を表現することすらできなかった彼に罪はありません。また、彼の発言をを否定することの許されないご家族でもありません。記者会見のときとうって変わって、お母さんとお姉さんを見送るときの金英男さんの顔は必死に耐えているようでした。あるいは彼の発言は、あえて矛盾を大きくし、自らが言わされているのだということを知らせようとしたメッセージかもしれません。

 ともかく報道される皆さんも、それを見られる皆さんも、本当に悪いのは誰かということをもう一度心にとめていただければと切に願う次第です。

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