予備自衛官補
このブログでは「関連サイト」のところに「陸上自衛隊予備自衛官制度ホームページ」へのリンクが張ってある。これは別に自衛隊から頼まれたわけではない。逆に自衛隊の方からすれば迷惑かも知れないが、以下、簡単に説明をしておきたい。
略歴にも書いてあるように、私は現在予備一等陸曹、旧軍であれば軍曹である。
予備自衛官というのは必要に応じて招集される臨時雇いの自衛官で、昔であれば予備役にあたる。大部分は正規の自衛官を経験した人だが、平成14年度から「予備自衛官補」制度ができて、未経験者も予備自衛官になれる道が開かれた。この制度は一般公募と技能公募の二つに別れており、一般の場合は18歳から33歳まで、技能の場合は技能に応じて53~55歳までが応募できる。一般は3年以内に50日の訓練を受け、2等陸士に任官、技能は2年以内に10日の訓練を受けてそれぞれの技能に応じた階級で任官する。尉官や薬剤官等は幹部(将校)、それ以外は大体陸曹(下士官)である。 一般は学生とかフリーターなどが主な対称になるが、実際には様々な職業の人が入っている。
私たち技能公募の場合は衛生(医師・歯科医師・薬剤師・看護師など)、語学(英語・ロシア語・中国語・朝鮮語)、整備、情報処理、通信、電気、建設などがあり、私の場合は朝鮮語の技能による任官である。予備自衛官補の間は階級はなく、桜にRC(Reserve Candidate)というマークを付ける。
所定の訓練を終えると任官し、予備自衛官になる。その後は通常年間5日の訓練を受けることになる。これは技能公募出身も一般公募出身も元自(元現職自衛官)も同じである。予備自補のときから射撃はやる(64式小銃)が、毎年の訓練でも必ず射撃検定は受ける。64式というのはもう古い型で、すごく精密にできているので乱暴に扱う実戦には向いていないように思うのだが、狙撃銃としては優秀で、訓練で狙って撃てば私でも結構当たる。なお、技能公募の場合は、技能に特化した訓練もあり、朝鮮語の場合は現状で年間5日の訓練のうち3日は語学に関わる訓練を小平学校で受け、あと2日は通常の予備自訓練に混じって射撃や体力検定を行う。
自衛隊は外国の軍隊と比べて圧倒的に予備役が少ない。また、かつては現役の確保すらままならなかった時代があり、いわんや予備役は員数会わせ程度に考えられており、訓練もかなりいい加減なものだったようだ。しかし、実際は実戦に参加できる予備役を抱えておかないと、国の守りはできるものではない。昔から予備自をやっている人からすれば最近の訓練は格段に厳しくなったと言うし、予備自補の採用も本年度から本格的になった。元自の予備自の人数は限られているので、今後は技能・一般を含め予備自補出身予備自の役割は質量ともに増えていくはずだ。ちなみに私は拉致被害者救出のために自衛隊を派遣せよと言っているわけだが、当然そのときには私も入れてもらわねばならない。これこそ究極の「自作自演」である。
私が予備自補の訓練を受けたのは47歳のときで、同じ班では最年長、訓練中隊の中でも上の方だったが、僅か10日間でも一緒に訓練を受けた仲間とは今でも交流を続けている。人生経験としてもやって損はないと思うので、関心がある方は一度チャレンジしてみることをお勧めしたい。ただ、技能の場合、その技能に必要な数が足りれば採用を見合せたりすることもある。各地の自衛隊地本(かつて地方連絡部と言っていたものが今は地方協力本部ー地本ーと呼ばれている)に問い合せてみるといいだいろう。
一般公募の方は学生やフリーターにはお勧めである。訓練手当は出るし、3食タダで、山ほど食べられる。文字通り「同じ釜の飯を食った」仲間もできる。安全保障の勉強をしたいなら、経験しておいて損はないと思う。
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