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2006年9月14日

クローズアップ現代

 今日のNHK「クローズアップ現代」は横田さんご夫妻の活動に焦点を当てたものだった。あの番組の影響は大きいから、取り上げてくれたことは拉致問題の啓発のためには大変プラスになったと思う。
 その点については、評価しながらなのだが、横田滋さんも早紀江さんも病院通いをしながら過密スケジュールをこなしていることを強調しながら、番組の最後でスタジオに横田さん夫妻を呼んだのにはちょっと疑問を感じざるを得なかった。もちろん、車で送迎はしたのだろうが、それにしても川崎から渋谷である。せめて自宅マンションの集会所などで中継するべきではなかったのか。

 マスコミだけではない。どこに行っても「横田さんご夫妻を呼んで講演会をやりたい」という声を聞く。もちろん、救出運動のシンボルだし、正直なところ横田さん夫妻が行くか行かないかで集会の集客力も、マスコミの扱いも大きく変わる。主催者として何とか来てもらいたいと思う気持ちも分かる。しかし、ときどきご一緒すると、端で見ていてもその疲労度は並大抵のものではないように感じるのである。

 私はどこで話しても必ず言うようにしているのだが、拉致被害者の救出運動は「被害者や家族がかわいそうだから」やることではない。私たちや家族、日本の安全を守るためにやるものである。北朝鮮が拉致をやめた証拠はない。あの国の習性からして、これからでも必要があれば(場合によったら惰性ででも)拉致をするだろう。そのとき、それを水際で防ぐことは不可能である。それを防ぐためには「やればやりかえされる」、あるいは、「連れていっても日本は最後まで取り返してしまう」という現実を相手に突きつけなければならない。また、それをしなければ、別の国が別の主権侵害をするかも知れない。自分たちの闘いであるという意識を、一人でも多くの人に持ってもらいたいと思う。

 この問題は家族の問題ではない。国家の問題である。もちろん、その入口として家族のことから入るのは仕方がない(私自身もそうだった)。しかし、家族の問題、特に横田さんの問題に限定してしまえば、後にかならず禍根を残すことになると思うのである。少なくとも横田さんご夫妻の、他の家族会のご家族と比べても極端に厳しいスケジュールは、呼ぶ方から自粛すべきではないか。NHKも含め。

 ところで、「クローズアップ現代」でもう一つ気になったことがあった。「被害者の両親のうちで最年少」(言葉はこの通りではなかったかも知れない)と言っていたが、これはあくまで、家族会ないし政府認定者に限った話である。当然ながら横田さんご夫妻より若い拉致被害者のご両親がいる可能性は高いのだ。「結局政府認定者のことしか頭にないのかな」と、残念だった。私たちの努力不足の証拠でもあるのだが。

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