« 核武装 | トップページ | 新著 »

2006年10月22日

民社人権会議の談話

 北朝鮮の核問題について民社人権会議(田久保忠衛代表幹事)の談話が発表されました。一般の方が目にする可能性は少ないので、このブログにも掲載しておきます。ちなみに私は本組織の幹事をしています。

北朝鮮の核実験発表について

 すでに様々な報道がなされているので詳細は省くが、北朝鮮の核実験発表が日本をはじめとする国際社会に対する挑戦であることは言を俟たない。
 しかし、一方で北朝鮮内部の動揺も伝えられており、また、これまで北朝鮮への制裁に消極的だった中国・ロシア・韓国も次第に方針を変化させつつある。ある意味では北朝鮮の体制転換、そしてそれを通して拉致被害者の救出や北朝鮮人権問題の解決へと至る絶好のチャンスであるとも言える。
 わが国は、これを機会に日米同盟を基軸としつつ、東アジアにおける民主主義国家のリーダーとして、地域の秩序維持のために責任を果たさなければならない。これまでの受け身の姿勢を転じて、日本が先頭に立ってイニシアチブをとって行くことが必要である。
 具体的には政府・議会・民間それぞれのレベルで次のような行動を起こすべきであると考える。

1、金正日体制を民主的な政権に転換し、南北朝鮮の人々の総意によって、統一などの方法で半島の問題が解決されるために協力する。そのために、国際的には北朝鮮人権問題を継続して取り上げ、北朝鮮に強くその改善を求める。また、北朝鮮内部への情報の流入を加速させ、現在の独裁政権から国民の離反を促す。

2、実験が成功したか失敗したかに関わりなく、北朝鮮が核兵器をすでに保有していること、今後も開発を続けようとしていることは間違いない。また、北朝鮮のみならず、日本の周辺には中国・ロシアという核大国があり、米国の核の傘にのみ依存していることは将来にわたって日本の安全を不確実なものにしている。この際、日本は独自の核抑止力を保持する決意をするべきである。もちろん、それが実現していくまでの中間地点では、非核三原則の見直しや、日米で核のボタンを共有するなどのこともありえるが、終局的には日本の意志で用いることが可能な核抑止力が必要である。

 日本は唯一の被爆国として、核の悲惨さを訴え、その一方で核抑止力を持つ努力をしていかなければならない。きわめて困難なことだが、唯一の被爆国であり、かつ世界の主導的地位にある民主主義国家日本だからこそ、核抑止力保持に説得力があるのも事実である。悲惨さの反芻のみでわが国及び世界の平和を守ることはできない。今こそ現実を直視し、行動していこうではないか。

    平成18年10月22日
民社人権会議 代表幹事 田久保忠衛

|

« 核武装 | トップページ | 新著 »