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2006年11月 9日

「放送命令」答申について

以下は調査会のメールニュース428号(本日付)で流したものです。
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 本日電波監理審議会から拉致問題についての放送命令に関し答申が出されました。「編集の自由に配慮した制度の運用を行うことが適当」との注文をつけた上で放送命令を容認しています。
 これ自体は「しおかぜ」とは関係ありませんが、これまであたかも命令放送を利用して「しおかぜ」を流すかのような誤解が生まれていましたので、一言私の見解を述べておきたいと思います。
 報道の自由という観点からしても、NHKの編集の自由の保障は当然だと思います(もちろん、これはNHKの個別の報道や番組が妥当かどうかというのとは全く別の問題です)。しかし、編集の自由を前提にしたとき、鳴り物入りで「命令放送」をやることにどの程度効果があるのか疑わしいと言わざるを得ません。しかも、NHK国際放送ではこれまでも拉致問題を何度もとりあげているのです。命令された方も困るのではないでしょうか。
 「命令」という言葉の本来の意味からすれば、国際放送の中に一定の時間を確保し(不可能なら時間を延長しても)、政府の責任で番組を作成し、放送させるべきでしょう。例えば総理や官房長官が、政見放送のように直接マイクを通して拉致被害者に語りかけ、「必ず救出します」と呼びかける政府広報のような放送を確保すれば、きわめて大きな効果を上げることができるはずです。それは北朝鮮にいる被害者のみならず、国際的にも大きなアピールになりますし、国民も力強く思うでしょう。
 現在の「命令放送」は、一般の番組の中に渾然一体となったもので、「何時何分から何時何分までが命令放送」というものではありません。そこに抽象的に拉致問題を強調せよと言っても、無理に増やせば「命令に屈した」ということになるし、無視していれば「拉致問題解決に不熱心」と言われる。現場では混乱するだけではないでしょうか。
 それより今、具体的に拉致被害者のために放送を活用するには、現在北朝鮮では十分に聞こえない朝鮮語国際放送の時間、周波数、送信出力などを見直して、北朝鮮で、隠れて聞きやすくすることが重要です。現在の第二放送(中波)利用なども考えられるのではないでしょうか。
 私たちも北朝鮮に放送を流している立場として、これを機会に関係する専門家と協議し、NHKの放送を拉致被害者救出に効果のあるものにしていただくための提言とりまとめを行いたいと考えています。

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