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2006年12月26日

「週刊現代」の記事

特定失踪者問題調査会のニュースで次のようなものを流しました。

[調査会NEWS 454](18.12.26)

■「週刊現代」の記事について
                                                  荒木和博

 昨日(25日)発売の「週刊現代」1月6・13合併号に「蓮池薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた」という記事が掲載され話題になっています。この記事の主人公である元小学校教員・横井邦彦氏の証言についてはご本人がブログに書く等して既に出回っていたため、私も事前に知ってはいました。「週刊現代」からは取材を受けていませんのでそれ以上のことは分かりませんが、色々お問い合わせがあるので、一般論としてその可能性について書いておきたいと思います。

 拉致被害者が日本に戻る可能性はあるか、と問われれば、「ある」と答えざるを得ません。例えば福留貴美子さんは昭和51年に騙されて北朝鮮に入国し、よど号グループの1人である岡本武と結婚させられた後、昭和55年に一度日本に戻っています。これは当然工作目的であり、北朝鮮がそのようなことを福留さん1人だけにやらせることは有り得ません(福留さんの事件については月刊『正論』最新号-19年2月号-に掲載された岡田和典・調査会常務理事の論文をご一読下さい)。

 私たちが調べている中でも、ある日新潟の海岸で海水パンツ姿で失踪し、数年後に沖縄で「発見」された人がいます。よど号グループのリーダーだった田宮崇麿(故人)も北朝鮮に来てから戻っている人間がいるという話をしており、そういう類の人間が相当数いることは事実です。

 日本人拉致はその目的は様々でも、最大の目的は対日工作だと思われます。蓮池さんも当然そのような仕事をさせられたのでしょう。したがって、北朝鮮当局が必要だと思えば日本に戻っていたことがあってもおかしくはありません。もちろん、本件が真実だという証拠もないのですが。

 ご本人のブログなどを見る限り、横井氏の証言に妄想と思われるようなところはありません。左翼は左翼ですので、私自身は思想的に相容れないところがありますが、北朝鮮に対しては非常に厳しい見方をしており、見解の違いは別にして冷静な分析であるように思います。蓮池氏には政府(対策本部事務局)を盾にするのではなく、やはり本人がマスコミの前に出て可能な限り真実を明らかにする必要があるのではないでしょうか。

 なお、本件は別にしても拉致被害者が工作活動に従事させられることは、北朝鮮当局に責任があるのであって本人に責任があるのではありません。逆に、拉致をした人を工作活動に使うという北朝鮮当局の非人間性こそが非難されるべきです。次に責任があるのは拉致を防げなかった日本政府であり私たち国民一人ひとりです。いずれにしても一番悪いのは誰かをしっかり見極めなければなりません。
 

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