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2007年2月21日

PP&Mもいいけれど

以下は調査会NEWS 473(19.2.21)に書いたものです。

 昨日は家族会の皆さんが首相官邸で安倍総理と面会しました。このところ、政府からの報告などのときには特定失踪者の家族に伝えるということで、調査会からも参加していたのですが、今回は一切お声がかかりませんでした。「しおかぜ」支援返上の効果(?)なのかも知れません。

 それはさておき、報道によれば官邸で家族会の人たちは総理と面会した後にPP&Mのポールさんの歌を総理や中山補佐官、6者協議に参加した佐々江外務省アジア大洋州局長らと聞いたそうです。こんなことに水を差しても仕方ないかも知れませんが、私には何かずれているように思えてなりません。

 6者協議の合意は、北朝鮮の体制を保障し、援助を与えることを決めた以外、今の時点で何も現実には前進していません。もし、これが「前進」だと言おうとするなら、北朝鮮に約束を守らせる(それがどれほど大変なことかは歴史が証明しています)ための他国との連携にせよ、日本国内での対応にせよ、よほど気合いを入れてやらないといけないはず
で、いやみな言い方ですが、「官邸でそんな悠長なことをしている余裕があるのか」と言いたくなります。

 米国は大統領が電話をかけてきたり、副大統領が来日したりで(まさかポールさんまで米国政府のさしがねということはないでしょうが)、「拉致問題をやります」と盛んに言っています。それはありがたいことなのですが、いずれにしてもこの問題の解決のためには周辺国の協力はあくまで二次的なもので、日本の行動が何よりも大事です。いつの間にか「拉致問題の解決なくしては」が「進展なくしては」に変わってしまっていますが、あの体制が続く以上拉致問題の完全解決はありえず、核の脅威も去りません。そういう意味では「オール・オア・ナッシング」にも近い状況であり、日本政府はその「オール」を、米国の腰が引けようと、中国や韓国が妨害しようと目指さなければなりません。

 これは前政権時代のことですが、5人が帰国した後、「5人の家族の帰国最優先」という方針を政府は立てました。家族会の帰国していない人の家族も、特定失踪者の家族も、私たちも、一般の方々も、「ともかく家族が帰ってくれば5人はそれ以外の人のことを話してくれるだろう」と思ってそ
の方針に納得しました。そしてその期待は裏切られました。家族が帰ってきた後、5人はさらに語らなくなりました。私は今でも、ひどい言い方かも知れませんが、まだ帰国していない拉致被害者(政府認定者以外の人も含め)を優先するか、せめて並行して行うという方針にするよう求め続けるべきだったと悔いています。この間のロスは1年半に及びました。

 25日には総理が新潟に赴いて帰国した5人と会うそうです。まさか「週刊現代」や「諸君!」の論文の件で蓮池薫氏から「荒木を黙らせてくれ」と言われることはないでしょうが、折角合うのですから、総理から「皆さんの身辺は絶対に保障するから、マスコミに対しても、一般の国民に対しても北朝鮮や拉致問題の真実を語ってほしい」と説得してもらいたいものです。

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