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2007年3月 9日

1億500万円

以下は調査会NEWS 481(19.3.7)に書いたものです。

 このニュースには驚きました。
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◎拉致問題でテレビ広告
15日から全国の民放で 2007年03月09日 12:49 【共同通信】
政府の拉致問題対策本部は9日、北朝鮮による日本人拉致問題の解決を目指す姿勢をアピールするため、テレビのスポット広告を、15日から半月間実施すると発表した。政府が拉致問題でスポット広告を行うのは初めて。費用は2006年度補正予算で認められた約1億500万円。 全国114の民放地上波局で放送される。15秒版と30秒版の2種類で、拉致被害者の画像などをバックに「家族を、人生を、奪い去った、北朝鮮による拉致。すべての拉致被害者を、日本は必ず取り戻す」といったナレーションが流れる。
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 読んで思わず口をついた言葉は「アホか」でした。関東人ですから、「馬鹿か」となるのが普通でしょうが、これには「馬鹿」より「アホ」の方が適当なように思います。事務所の中でもひとしきり失笑と怒りと失意の声が渦巻きました。「こんな発表をして、私たちが脱力して活動できないようにしようとする高等戦術か?」とすら思いました。

 別にこっちが支援を返上したから言うのではありません。1億500万もあるなら政府の中でもはるかにましな使い方はあるはずです(これについては真鍋専務理事が戦略情報研究所ホームページの中の「情報地雷原」に書いていますのでご一読下さい。http://senryaku-jouhou.jp/jiraigen.html)。少なくともテレビのニュースからワイドショーまで、毎日のように拉致問題が流れているときに、あえて政府が税金を使って日本国内でテレビコマーシャルをやる必要はありません。広告代理店をもうけさせるだけです。

 それにしても、1億500万使ってコマーシャルをやるなどと、誰が考えたのでしょうか。しかも毒にも薬にもならないような内容で。開いた口がふさがらないとはこのことです。

 どうせ冗談みたいな話ですから、こちらも冗談半分でもっとましな使い方を考えてみました。

(1)北朝鮮の朝鮮中央放送(国内向け放送)で拉致問題のCMを流す

(2)日本で流すなら、例えば総理か官房長官が「金正日のバカヤロー」と叫ぶ

(3)日本で流すなら、「工作員の皆さん、今出てきたら罪には問いません」と、悪役俳優を使って脅迫調のCMにする

(4)日本で流すなら、「拉致に関する情報を提供した人には、宝くじを連番で3万枚差し上げます」というCMにする

(5)中国のテレビで「金正日の首を取って拉致被害者全員を返せるようにしなかったら日本は中国に対しODAも即時打ち切るしアジア開発銀行を通じた融資もやめさせるし核兵器も作りますよ」というCMを流す

(6)日本中のヤクザを集めて、「金正日の首をとってきたら1億円賞金を出し、暴対法の指定からはずす」と通告する。
(7)日本中の詐欺師を集めて「北朝鮮を騙して拉致被害者を取り返したら1人につき1000万円やる」と通告する。

 不謹慎な話で失礼しました。まあ、これでも実現すれば現在予定しているCMよりは効果があるように思いますが。

 ところで、話は変わりますが、私は現在発売中の「週刊現代」に「私たちが最近聞いた話では、警察は失踪翌年の’78年から松本さん失踪を拉致の疑いがあると認識していたというのです」と書きました。米子の妹原仁・調査会常務理事の話では先日警察関係者から「そんな話はない」、つまり拉致とは気づいていなかったとの趣旨の話を聞いたそうです。つまり、「僕たちは気づいていなかったんだぞ。すごいだろう」と言うんでしょうか。気づかなかった責任というものも当然あると思うのですが。 いずれにしても、この問題は後日国会で決着をつけてもらおうと思います。気づいていて隠した責任なのか、気づかなかった責任なのか、どちらにしても重大なことです。

 何でもいいですが、ともかくどうやったら本当に助けられるのか、それを責任ある立場の人が考えて、政治決断してもらわなければなりません。「こんなに一所懸命やっています」という言い訳のために金を使うべきではないと思います。何度でも言いますが、これは事務方の責任ではなく、政治の責任です。

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