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2007年6月15日

答弁書

以下、調査会NEWS 521号(19.6.15付)に書いたものです。

■「答弁を差し控えたい」を連発ーー驚愕の政府答弁書

                                 荒木和博

 去る6月5日に西村真悟拉致議連幹事長から提出されていた質問主意書に対する答弁書が、本日15日西村議員に届けられました。

 一読して感じたのは「良くまあ、これほどひどい答弁書を作ったものだ」という思いでした。西村幹事長の質問主意書と答弁書を項目毎に対比したものを下に付けましたが、この質問は家族はもちろん、拉致問題の解決を願う国民全てが知りたいことだと思います。それに対して、まともな答弁は何一つありません。

 この中で、特に警察が関わっている部分は「答弁を差し控えたい」の連発です。捜査に支障があるからという理由だそうです。しかし、この間赤木が帰国して以来のヨーロッパ拉致に関する情報はほとんど警察からのリークです。この報道を見て事態が進展していると思っておられる方もいるでしょうが、落ち着いてから振り返ってみれば分かります。被害者の救出には何のプラスにもなっていないはずです。「こんなに拉致問題に一所懸命とりくんでいます」という、国民向けのデモンストレーション以外のなにものでもありません。

 少なくとも、警察に、そして政府に自分の都合のいいことだけはリークして良いが、都合が悪ければリークしてはならないなどという選択権はないはずです。あらためて個別に論じてみたいと思いますが、とりあえず、西村議員の質問と、答弁を読み比べて見てください。

 なお、この質問主意書は提出前から某機関がそれを入手しようと動いていました。こちらが問題にすると、現場の人間のフライングとして誤魔化していますが、状況証拠から考えても、それが機関のトップクラスの判断によるものであることはほぼ間違いありません。「情報収集」といっても拉致被害者の情報収集より、私たちの活動の情報収集の方が熱心なようです。

 西村議員はこの答弁書について、「平成9年のめぐみさんの拉致に関する質問主意書への答弁の方が遙かに前向きだった」と言っています。当時の橋本総理はそれなりに悩んでこの答弁書を出すことを決断したのだと思います。今回と比べてそれを実感するとともに、「あるいは拉致問題が安倍政権の命取りになるのではないか」という思いすら頭をよぎりました。

 この答弁書の内容は警察の部分に限らず、全てについて不誠実この上ないものであり、到底納得できるものではありません。今後西村幹事長とも対応を詰めていきたいと思います。

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(西村質問)
 北朝鮮による日本人拉致問題の本質は、単に箇々の被害者に対する犯罪及び人権侵害にとどまらず我が日本の国家主権の侵害であるので、拉致被害者全員が解放されて祖国日本に帰り原状回復されるまでは、この犯罪と国家主権の侵害も日々止まることなく進行し続けている。従って、この現在も進行中の国家的な重大事態に関しての対策は、緊急を要すると考える。

 従って、次の事項について質問する。

一(時効)、北朝鮮による日本人拉致事件における国外移送目的略取及び誘拐罪(刑法二百二十六条)の時効の起算点はいつか。

(政府答弁書)ーーーーーーーーーーーーーー
一について
 公訴時効については、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号 第二百五十三条の規定により、犯罪行為が終わった時から進行することとされているところであり、御指摘の事件についても同様であるが、その詳細については、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
二(逮捕状)、捜査機関は今まで、外国に居る複数の者を拉致実行犯人として逮捕状を取得しているが現在も日本に在住している者に対する逮捕状は取得していない、つまり、外国にいて逮捕不能の被疑者に対する逮捕状はあるが、不可解なことに、国内にいて逮捕可能な被疑者に対する逮捕状はないのである。

 そこで、例えば共に拉致被害者と認定されている(1)有本恵子を拉致したと自ら認めた者、(2)原敕晁の勤務していた家宅捜索を受けた中華料理店の店主、(3)田中実の勤務していた中華料理店の店主とその仲間及び(4)久米裕拉致の実行犯らは、我が国内にいて「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある」と思料されるのであるが、捜査機関は何故これらの者に対する逮捕をはじめとする強制捜査を行わないのか、回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
二について
 お尋ねについては、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

(質問)ーーーーーーーーーーーーーー
三(実況見分)、関係者を立ち合せての犯罪現場及び犯人の逃走経路などの実況見分は、真相究明の為の極めて重要な捜査つまり情報収集であるところ、帰国して五年近くも経過している拉致被害者五名が、今までにそれぞれ拉致された現場において立会ったうえで捜査機関が実況見分を実施したとは聞いていない。

 捜査機関は、このような現場における被害者立会いの実況見分を実施しているのか否か、仮に現在まで実況見分を実施していないとすれば、その実施していない理由を回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
三について
 帰国した拉致被害者の五名の方々からは、これまでも様々な御協力をいただいているところであるが、お尋ねについては、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄であり、また、個人のプライバシーの保護の観点から、その具体的な内容については、答弁を差し控えたい。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
四(松本京子の拉致被害者認定の経緯)、政府は、金子善次郎衆議院議員の松本京子拉致疑惑を質した質問主意書に対して、平成十二年十二月五日付けで答弁書を提出して、松本京子に関して、「所要の調査を実施したが、北朝鮮に拉致されたと疑わせる状況等はなかったものと承知している」と回答したのであるが、平成十八年十一月に、一転して同女を北朝鮮による拉致被害者と認定している。そこで、次の事項について回答されたい。

1、松本京子に関して、平成十二年以降に新たな状況が判明したから新たに拉致認定にいたったのか、それとも、平成十二年十二月時点で愚かにも判断を誤っていたからその当時拉致認定できなかったのか、回答されたい。

 さらに、新たな情況の判明によって認定したとするならば、その情況とは何か。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
四の1について
 御指摘の者については、平成十二年十一月一日以降も、警察において捜査活動を実施した結果、その失踪状況及び失踪後の所在等の解明に資する供述証拠等を入手するに至ったことから、平成十八年十一月十七日、警察において拉致被害者として判断され、同月二十日、北朝鮮当局によつて拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号。以下「拉致被害者支援法」という。)第二条の規定により、拉致被害者と認定されたものであるが、その経緯等については、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
2、新たな状況の判明か政府の判断の誤りか、いずれにしても、政府が過去に「拉致されたと疑わせる状況等はなかったと承知」していた失踪者松本京子に関して拉致被害者であるとの判断に至ったのであるから、他に同女と同様のケースがあることは当然予想されるところであるので、政府は同女の拉致認定以後、類似の失踪者ケースについて再調査しているのか否か回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
四の2について
 御指摘の事案にかかわらず、北朝鮮による拉致の可能性が否定できないなどとして警察等に対する告訴・告発、届出や相談が行われている事案については、警察及び関係省庁において、鋭意、捜査・調査に取り組んでいるところである。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
3、政府は拉致の認定に当たって、「もし認定した失踪者が拉致で無かった場合、北朝鮮から反撃を受ける」として認定に極めて慎重であるが、同女の場合拉致から認定まで二十九年余の歳月が経過し、前記の金子議員の質問主意書提出からでも認定までに六年余が経過しているのであって、もちろん本人の帰国は果たされていない。

 また、曽我ひとみの場合には、北朝鮮がその存在を明らかにするまでの二十四年間、政府は全く拉致とは認識していなかったのである。

 そこで、これら長期間にわたって拉致と認識されなかった事態を踏まえ、政府には「拉致と明らかにできなかった責任」があると思われるが、政府はどのようにその責任を負うのか回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
四の3について
 政府としては、認定被害者(拉致被害者支援法第二条の規定により認定された者をいう。以下同じ) 以外にも北朝鮮による拉致の可能性が否定できない者が存在しているとの認識を有しており、すべての拉致被害者の即時帰国を実現することを基本方針として、引き続き、拉致の可能性が否定できない事案の真相究明に努めるとともに、外交や広報における取組を進めていく考えである。

五(渡辺秀子親子殺害拉致事件について)、渡辺秀子親子が殺害され拉致された事件について、ユニバース・トレイディング社の関係者が、三十人ほどの日本人と在日朝鮮人を拉致した旨証言したとの報道があったが、政府は、この報道に関する事実関係についてどこまで捜査して実態を把握しているのか、明らかにされたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
五について
 御指摘の報道については承知しているが、お尋ねについては、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
六(政府の情報収集の意思と体制)、拉致事件の全容の解明と拉致被害者総数の把握のためには情報の収集が死活的に重要であるが、第二及び第三の質問にある国内に居る拉致実行犯と疑うに足りる者達への強制捜査や犯行現場の実況見分も極めて重要な情報収集であるのに未だ実施されず、さらに、政府の作成するパンフレットやテレビコマーシャル等においても、政府が情報を求めていることを広く訴えるどころか、情報提供の為の連絡の窓口すら示されていないので、政府の情報収集の意欲を疑わざるをえず、次の質問をする。

1、警察等の捜査機関や公安調査庁の調査以外に、政府の対策本部としてどの様な情報収集体制をとり情報を収集しているのか。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
六の1について
 政府としては、平成十八年九月、内閣に内閣総理大臣を本部長とする拉致問題対策本部を設置するとともに、同本部の事務局に情報室を設置し、拉致問題に関する情報の収集及び分析を行ってきているところである。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
2、政府の対策本部においては、右の各機関に集積された情報、さらに、自衛隊や在日米軍に集積された情報を統合し分析する機能を果たしているのか。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
六の2について拉致問題対策本部においては、事務局を中心に関係省庁が緊密に連携を図りつつ、関連情報の収集及び分析を行ってきているところである。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
3、情報は、対価を支払うか交換するかもしくは盗む、の三つのうちの何れかの手段によって収集できるのであるが、政府は情報提供者に対する対価の支払いや司法取引等を実施して情報を集める用意があるのか。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
六の3について
 政府は、各種の方法により情報の収集を行っているが、その内容等についてお答えすることは、情報の収集を困難にするおそれがあること等から、差し控えたい。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
4、特に、警察庁においては、平成十九年四月一日から、広く国民から重要凶悪犯罪等の被疑者検挙に資する情報の提供を受けるため、捜査特別奨励金による懸賞広告制度を導入しているが、拉致事件について特別報奨金の対象とする用意はあるのか。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
六の4について
 捜査特別報奨金制度は、未解決の重要凶悪犯罪について、その情報提供の促進を図り、事件の検挙等に資するものであることから、御指摘の事件についても、その対象とすべきかどうか、同様の観点から検討されるべきものであると考える。

5、政府は、情報収集のための新たな国家機構の整備及び新法の制定等の措置を考えているか。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
六の5について
 政府としては、引き続き、情報収集体制を含む情報収集機能の充実強化に努めることとしている。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
6、さらに渡辺秀子親子殺害拉致事件に関して情報の開示を要請したところであるが、政府には、拉致問題の需要性と真相の解明の観点から、「捜査上の秘密」によって非公開とすることなく、進んで明らかになった事実関係を広く開示し国民の関心を喚起して新しい多くの情報の提供を求めるという姿勢が必要と考えるが、拉致問題に関する事実関係の積極的な開示について、政府は如何に考えるか回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
六の6について
 北朝鮮による拉致容疑事案の捜査に関する情報については、警察において、捜査活動に与える影響等を考慮した上、可能な範囲で公表しているところであるが、政府としては、拉致の真相究明に関し、拉致容疑事案の捜査・調査や関係国政府等との意見交換を通じて収集した情報については、情報源との関係や個人のプライバシーの保護等の観点から、その具体的な内容の公表については慎重に対処することとしている。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
七(政府の表明書について)、去る四月二十六日、古川了子の拉致認定訴訟で和解が成立したが、和解に当たって、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長及び内閣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆の同日付け表明書(以下、表明書という)が発表されているので、以下質問する。

1、表明書において表明された見解については、対策本部長である内閣総理大臣及び担当大臣である内閣官房長官も同様の考えであると理解してよいのか確認したい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
七の1について
 北朝鮮による拉致の可能性が否定できない事案の真相究明を含む拉致問題の解決は、現内閣の最重要課題の一つであり、御指摘の表明書は、内閣総理大臣及び内閣官房長官の指示を踏まえ、作成したものである。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
2、表明書第一項に、「本件訴訟での証拠調べをも踏まえて・・・被害者と認定することとする」とあるが、これは、本件訴訟の証人の一人であった安明進の証拠調べも踏まえると理解してよいのか確認したい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
七の2について
 御指摘の表明書における「証拠調べ」には、御指摘の訴訟における証人の一人であった安明進氏の証言も含まれるが、同氏の証言のみをもって直ちに拉致被害者と認定するものではない。

 なお、古川了子氏については、御指摘の訴訟における証拠調べも踏まえ、関係省庁等において全力を挙げて、その安否の確認に最大限努力しているところである、

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
3、表明書第二項に、「拉致被害者支援法に定める被害者と認定された人以外にも、北朝鮮当局による拉致の可能性を排除できない人が存在しているとの認識に基づき、引き続き拉致容疑事案の真相究明に努め・・・解決に向けて全力で取り組んで行くものとする」とあるが、これは、現在の拉致認定者以外に、警察が所有する拉致の可能性のある失踪者のリスト、特定失踪者問題調査会の所有する失踪者のリスト及び家族から届け出のあった失踪者のリストの中に拉致の被害者が存在するという認識を表明したものなのか。

 さらに、家族や知人がいない人達が拉致されれば、彼等が拉致されたことを知る人がいないので右の各リストに掲載されること自体困難であるが、政府は、このような未だ何処のリストにも現れてこない拉致被害者が存在している可能性を排除できないと認識しているのか。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
七の3について
 家族から警察への失踪者の届出や特定失綜者問題調査会が所有する失踪者のリストヘの掲載の有無にかかわらず、政府としては、認定被害者以外にも北朝鮮による拉致の可能性が否定できない者が存在しているとの認識を有しており、関係省庁等が緊密に連携を図りつつ、全力で北朝鮮による拉致の可能性が否定できない事案の真相究明に努めているところである。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
4、政府は、右の通り表明書第二項において、今まで被害者と認定された人以外にも拉致の可能性を排除できない人が存在していると認識して解決に向け全力で取り組んでいくこととすると表明しているのであるが、では、今までの被害者救出のための対応は十分であったと認識しているのか回答されたい。

 さらに、情報収集を含む取り組みの体制について改善すべき点があると考えているならば、その点について回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
七の4について
 政府としては、従来より、すべての拉致被害者の即時帰国を始めとした拉致問題の解決に全力で取り組んできているが、特に、平成十八年九月以降は、拉致間題対策本部を中心として、政府が一体となって拉致問題の解決に向けた総合的な対策を推進しているところであり、引き続き、すぺての拉致被害者の即時帰国を実現すべく、全力で取り組んでいくこととしている。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
5、政府は、北朝鮮向け短波ラジオ放送による広報を準備していると聞くが、その概要を示されたい。

 また、表明書の趣旨からすれば、この放送の中で、拉致の可能性を排除できない人については、政府認定者と分離するにしても、その氏名や年齢及び失踪時期などの読み上げを行うのは当然と思われるが、その用意はあるのか回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
七の5について
 御指摘の広報については、現在、早期の放送開始に向け準備を行っているところであるが、その概要は、日本語及び韓国語のラジオ放送により、北朝鮮で生存する拉致被害者に向けて、拉致問題に関する政府の取組、国内外の情勢、拉致被害者の家族による励まし等を伝え、また、北朝鮮の人々に対し拉致問題に関連する動向を含む国内外の情勢等を伝えるというものである。

 また、当該広報においては、安否不明の認定被害者を中心に取り上げることを予定しているが、他方、政府としては、認定被害者以外にも北朝鮮による拉致の可能性が否定できない者が存在しているとの認識の下、すべての拉致被害者の即時帰国を実現すべく全力で取り組んでおり、こうした取組等についても当該広報の中で適切に取り上げていくことを検討している。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
八(自衛隊の運用について)、政府の現在までの拉致問題への対処は、個々の犯罪捜査とその真相究明の為の対処であり、これらは畢竟、単なる個人的法益に関する捜査であって北朝鮮による我が国家主権の侵犯という拉致問題の重要な本質に即した対処とはなりがたいのである。このことは、北朝鮮当局の指令に基づいて拉致を実行して現在北朝鮮に居る拉致実行犯人に対していくら逮捕状を取って北朝鮮当局に引渡しを請求しても無駄なことをみても明らかであり、これが、犯罪の捜査という次元を超えて国家主権の回復という観点からの対処の発想が必要な所以である。そこで、次の質問に回答されたい。

1、政府は、北朝鮮による日本人拉致は、北朝鮮による我が国の国家主権の侵犯であると認識しているのか否か、回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
八の1について
 政府としては、我が国の領域内で北朝鮮によって日本国民が拉致されたことは、我が国に対する主権の侵害であると認識している。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
2、北朝鮮による日本人拉致が我が国の国家主権の侵犯ならば、被害者の解放を北朝鮮当局に求めることは、犯人に被害者解放を求めることに他ならず、これは結局、被害者が解放されるか否かは北朝鮮当局の意向次第ということになる。

 そこで、我が国は被害者解放の為に制裁を始めとして何らかの強制力を行使しなければならないと思料されるが、政府はこの強制力行使は必要と考えているのか不用と考えているのか、その見解を回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
八の2について
 政府としては、北朝鮮が拉致問題に関して何ら誠意ある対応を示していないことも踏まえ、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法(平成十六年法律第百二十五号)及び外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づく措置等を北朝鮮に対し実施してきているが、今後とも、対話と圧力という一貫した考え方の下、拉致問題の早期解決に向けて粘り強く取り組んでいくこととしている。

(質問)ーーーーーーーーーーーーー
3、政府は平成十八年三月八日の参議院予算委員会における山根隆治議員の質問および同五月十日の衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会における稲田朋美議員の質問に対し、北朝鮮の体制崩壊等の緊急事態にあたって、邦人保護の観点から外務大臣の要請があれば、自衛隊の派遣が可能であると答弁しているが、自衛隊でこの任務に対応する部隊は先般編成を完結した中央即応集団(CRF)であると理解してよいか。または他にそのような部隊があるのか。

 さらに、その訓練装備等の充実度など、その準備はどのように行われているか。

4、かつてアルバニアの治安崩壊という事態に際して、銃撃戦のうえ邦人を救出してくれたのはドイツ軍部隊であったが、政府は、中央即応集団等の部隊を、このような他国の治安崩壊等の事態に際して自力で国民を救出するための部隊として運用させる所存か、回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
八の3及び4について
 御指摘の平成十八年三月八日及び同年五月十日の答弁は、自衛隊は、現行の自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十四条の三第一項(当該答弁時の同法第百条の八第一項)の規定に基づき、外務大臣から外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があった場合において、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、同条第二項に規定する航空機又は船舶により当該邦人の輸送を行うことができる旨述べたものであるが、邦人輸送に際し使用される同項に規定する航空機又は船舶に関し、いかなる事態においてどの部隊に所属するものを使用するかについては、個別具体の事例に則して判断すべきものであると考える。

5、また、そもそも北朝鮮の体制が崩壊するしないにかかわらず、北朝鮮にいる拉致被害者を一刻も速く救出することは国家としての重大な責務であるが、救出について他国の協力も得られず、また、このまま放置すればこの重大な国家の責務を放棄することとなる事態において、政府の自衛隊運用の決断による拉致被害者救出作戦実施は、政府の想定内なのか、それとも、全くの想定外なのか、回答されたい。

 そこで、政府が拉致被害者救出に自衛隊の運用が必要な事態があると想定しているとして、それを実施するために何か障害があると考えているのか、障害があると考えているならば、それは何か、回答されたい。

 さらに、政府が、自衛隊運用による拉致被害者救出に障害があると考えているとして、その障害を除去する措置を実施する考えがあるのかないのか、回答されたい。

(答弁)ーーーーーーーーーーーーー
八の5について
 お尋ねについては、政府としては、今後とも、対話と圧力という一貫した考え方の下、拉致問題の早期解決に向けて粘り強く取り組んでいくものである。

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