憲法の正しい解釈
前にもこのブログで書いた大森勝久さんとの直接の手紙のやりとりができるようになった。
これは6月からの法律改正に伴うもので、従来家族とだけの「交通権」が認められていたのが、3人まで家族以外の人を選べるようになったためで、今までは奥さんを通して連絡をしていたのだが、たとえ文通だけとはいっても、直接やりとりができることがこんなにありがたいものだとは知らなかった。
大森さんは北海道庁爆破事件(昭和51年)の犯人として逮捕され、死刑判決を受けた。一貫して犯行は否認しているが、思想的には1990年代半ばに転向し、今は保守の立場に立っている。本人によれば「もし警察に捕まっていなければ、自分も爆破事件をやったかもしれない。だから警察が私を捕まえたことは正しかった」とのこと。裁判当初は道庁爆破事件も支持していたので、警察も検察も彼を犯人にすることには良心の呵責を感じなかったのだろう。
しかし、私が見る限りでは、やはりこれは冤罪としか思えない。そもそも、極めて僅かで不確かな状況証拠をもって、何で死刑判決が下せるのか、異常としか思えない。私は死刑廃止論者ではないが、何しろ死刑というのは執行してしまえば取り返しがつかない刑罰なのだから、こんないい加減なやりかたで刑が確定されてはかなわないと思う。冤罪についてはこのところ鹿児島や富山で次々と明らかになっているが、いわゆる「冤罪」ではないものの、特定失踪者山本美保さんの事件についての警察のやり方や西村真悟衆議院議員の逮捕など、私自身が国家権力の横暴を体感しているだけに、大森さんの事件についても冤罪であることは間違いないと思っている。ちなみに大森さんは先日再審請求が札幌地裁で却下され、現在札幌高裁に再審請求を行っているところである。
私は口だけであまり力にはならないが、ささやかな支援の代わりに、頭の体操を兼ねて大森さんの論文を掲載するホームページを運営している(大森勝久評論集)。今朝アップロードした論文「地政学が要求する日米核同盟」の最後に次のような一節がある。
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<10>
9条の改正は、これを実施すれば現在よりも悪化するのは明白です。3分の2以上で発議ですから、民主党の意見を入れて、自衛権に制約がつけられるのは必 至です。自衛隊を軍と規定して、それに制約を付けたのでは救いようがなくなります(現在は自衛隊は軍ではない。実力組織ということで、最小限の武力行使と いう制約になっています)。
閣議で「従来の9条2項の解釈は誤っていた。日本は自衛のための軍を保有できる。自衛隊は軍隊である」と是正決定し、裁判所が支持すればよいのです。 1946年の時点で連合国がそのように認めています。自衛権・軍に制約をつけるのは反国家行為です。違法・違憲行為です。国家と法に対する反逆罪です。
上のようにすれば、日本軍は法的に米軍と同等です。安倍政権は直ちに国民を説得し、閣議決定でこれをやるべきです。もう時間の猶予はありません。反対す る勢力は中共・ロシアの手先(客観的に)の左翼であり、侵略勢力なのですから、そんなものに規制されたのでは目も当てられません。
「解釈改憲」といいますが、反国家的に誤っていた従来の解釈、違法な解釈を正しいものに戻すのですから、うしろめたいことは何一つなく、そればかりか是 正しないことが誤りです。法の支配に反する。
この正当な方法があるのに、「9条改正」を言うのは、日本を正常の国家にしたいと思っていないのが本心なので。
改正すれば核武装はダメだとか、専守防衛に徹し海外派兵は認めないとか制約されてしまいます。
軍はシビリアンコントロールすればよく、国際法と国際慣行に基づいて運用されるものです。であり、制約をつけるのは反国家・違法違憲行為です。
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ご意見のある方もおられるだろうが、こういうやり方の方がスムーズかつ効果的かも知れない。少なくとも「憲法を変えなければ何もできない」という思考停止だけは止めた方がいいと思う。
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