米国は頼れるか?
以下は調査会NEWS 536号(7月18日付)に掲載したものです。
政府の北朝鮮向け放送「ふるさとの風」に妨害電波がかけられているようです。北朝鮮も気にしている証拠ですから、やった甲斐があるということでしょう。政府はまだ周波数を明らかにしていないようですが、0100〜0130 9780kHz、0200〜0230 9820kHzというのはもう皆知っているのですから、隠しても仕方ないように思います。それよりも、豊富な予算があるのですからできれば同時2波送信にでもして妨害電波対策をした方がいいのではないでしょうか。
この放送では政府認定者は家族のメッセージを放送するの一方で、未認定者は名前の読み上げさえもしていません。これについてはすでに要請していますが、今のところ政府の側が聞き入れる様子はありません。認定者家族の中にはやるつもりがなかったのに拉致対策本部事務局の幹部が頼み込んで収録した人もいるそうです。認定被害者の家族は政府が頼んでもやってもらい、そうでなければ名前も読み上げないというところに、ある意味すべてが集約されています。
ところで、北京でのヒル国務次官補と金桂冠外務次官が昼食を共にしたようですが、複雑な表情のヒルと嬉しそうな顔の金桂冠を見るとすべてが分かるような気がします。これは1月のベルリンでの米朝協議のときも同様でした。六者協議でどうなるのか分かりませんが、先前日本に来たヒルは、あるいは北朝鮮側の拉致問題での対応を日本政府などに伝えたのではないでしょうか。「北朝鮮がここまで譲歩すると言っているから日本も制裁を解除してくれ」と言ったかどうかは不明ながら、今のままでは放っておけば流れは確実にその方向に動きます。
米国にとって所詮日本人拉致は人ごとでしかありません。これは別に恨んでも仕方がないことで、例えば米国民がキューバに拉致されたとしても、日本ができるのはせいぜいキューバ大使館に手紙を書く程度でしょう。同盟関係は、それをいかに利用するかということであって、「面倒をみてもらう」ということではないのです。協力させるという次元なら、米国は十分に使いでのある同盟国だと言えるでしょうが、身も心もゆだねてしまえば、結局は米国の都合で幕引きされてしまうはずです。
「ふるさとの風」の周波数のように、隠しても分かるものは分かります。6者協議に臨む佐々江外務省アジア局長も、2月の合意のときのように成功を装ったりしないでもらいたいものです。また全体の流れについても政府の担当者や関係者が明らかにすべき部分を隠したりせず、正攻法で対処することが最も早い解決への道だと思います。拉致も、核も。
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