でもそんなのカンケーねぇ
※以下は本日(11月20日)発信した「調査会ニュース」584号に書いたものです。
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いきなり不謹慎なタイトルで恐縮です。先日の家族会・救う会・拉致議連の訪米団のご苦労を見ていて、つい福田総理が開き直って、ブッシュ大統領に「テロ支援国家指定解除、でもそんなのカンケーねぇ」と言ってくれないだろうかと思いました。アメリカがそうするならこっちはもっと北朝鮮を締め上げてやる、と言ってくれたら頼もしいのですが。もちろん、パンツ1枚になって下さいとは申しません。
訪米団の皆さんには本当にご苦労さまでした。ブッシュ政権がテロ支援国家指定解除を規定方針にしていることは今年初めのベルリン会談の頃からある程度分かっていたことですが、それがなかなか実現できないのはやはり日本からの圧力が効いているということだと思います。そしてその圧力を作っている源泉はやはり3団体の努力と国民の良識ではないでしょうか。
代表団がヒル国務次官補と会ったときのやりとりを見ると、ヒルは徹底して逃げている感じでした。おそらく本人もあまり自信がないのでしょう。ヒルの姿は1994年、ジュネーブ合意のときのガルーチ・米代表と重なるのですが、あのときやった「枠組み合意」について、後にガルーチは「あれは合意ではない。合意された枠組み(Agreed Framework)だった」と言ったそうです。どうせヒルもそのうちそんな風にして逃げるのだと思います。
テロ支援国家指定解除が米国の規定方針だったとしても、それを少しでも遅らせることは、いわゆる「遅滞戦術」としての効果を上げています。やがて北朝鮮は必ずボロを出すでしょうから、それまで様々な戦術を動員して流れを変える、こちらに都合の悪い流れを止める努力が必要です。「バスに乗り遅れるな」という人がいますが、戦前、その言葉に乗せられて三国同盟を結んでしまったことの終着点が敗戦だったことを考えれば、無理にバスにのる必要もないでしょう。あのときでも、もう少し待っていれば欧州の状況は変化し、三国同盟にブレーキがかかっていたはずです。
それはともかく、ブッシュ政権がこういう調子ですから、必要なのは日本政府が正面から北朝鮮との対決姿勢を示すことです。ある意味「米国もたじろいだ北朝鮮を日本が押さえつけた」ということになりえる、絶好のチャンスとも言えます。
おりしも福田首相はCNNのインタビューで北朝鮮について「非常に鎖国的な、閉鎖的な国家で、人々は非常に不幸な状況にある。自由社会と全く違う体制を組んでいる社会だから、自立とはいえない」と述べ、その上で「いずれは消滅してしまうのではないか」とまで言っています。これまた不謹慎ですが忍者ハットリ君然とした顔でしらっとこういうことを言うと結構効き目があるのではないでしょうか。
次は北朝鮮が何か日本を非難したら記者会見のときにもろ肌脱いで、「そんなのカンケーねぇ!」と叫び、政府が持っている今の認定被害者よりはるかに多くの拉致被害者リストをドンとテーブルにおいて一気に発表するのはどうかと思います。
蛇足ですが、「そんなのカンケーねぇ」の小島よしおさんは私と真鍋専務理事、杉野常務理事の元の職場(民社党本部)の先輩の息子さんです。私たち3人とも面識はありませんが。
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