« 言われなくても | トップページ | 寄稿 »

2007年11月 7日

意見の違い

 以下は昨日流した調査会のニュースです。ほぼ同時に流れた救う会のニュースでは同じ答弁書に対して西岡さんが肯定的なコメントをしていたので、好対照(?)という形になりました。マスコミの人から答弁書についてのコメントを求められたとき「救う会と違いますね」と言われたので、言い訳をふくめて一言。

 そもそも、北朝鮮ではないのですから同じ運動をしていても意見が異なる場合があるのは当然です。「拉致問題はおしまいにしよう」とか「被害者は帰ってこなくて良い」とか言われれば別ですが、問題を解決しようという動きの中では様々なやり方が模索されるべきです。統一すべきは「解決したい、しなければならない」という思いであり方法論ではありません。もちろん非常時においてはその方法論もある程度まとめていかなければなりませんが、可能な限り多様な方法をとっていくことが必要だと思います。

 今月の「正論」にも書きましたが、まさに現場にいた者として、5年前の9.17での政府のやり方それ自体は絶対に許せるものではありませんが、一方で北朝鮮にあのようなアプローチをしていなければ向こうは拉致を認めているはずもなく、いわんや5人を返してもいなかったでしょう。その事実は認めざるを得ません。

 とにかく大事なのは「拉致は許されない、絶対に解決する」という国民の意思だと思います。それさえ間違えていなければこの国の力量からして拉致問題は解決に向かうはずです。基本方針が間違っていなければ戦術的な多少のミスはカバーできます。

[調査会NEWS 572](19.11.6)

■抱腹の答弁書

 10月30日付のニュース567号でお知らせしましたが、西村真悟・拉致議連幹事長は去る10月26日に寺越事件に関する質問主意書を提出しました。これに対する答弁書が本日付で届きましたので元の質問と対比してお知らせします。何と寺越武志さんは「北朝鮮において生存している可能性が高いものと思われる」のだそうです。ということは北朝鮮において生存していない可能性もあるということなのでしょうか。あの武志さんは誰なのか。「影武者」でしょうか。

 前回の西村議員の質問主意書に対する答弁書(安倍政権時代)もそうでしたが、この答弁書を読むと「どれだけ拉致の可能性の高い事件だろうと、政府は認定しないために全力を尽くす。いわんや認定をしていない人を救い出そうなどという動きには身体を張ってでも阻止する」という意気込み(?)が伝わってきます。1年ほど前から政府の言っている「生存者全員の帰国」という目標と重ねて考えると大体どうしたいかが見えてくるようです。

 このままの状態を放置しておけば大多数の拉致被害者は見捨てられてしまいます。これを跳ね返すのは国民の声しかありません。各位のご協力をよろしく御願い申しあげます。

<西村議員の質問主意書と答弁書>
----------------------------------------------------------
(質問)一、政府は、寺越昭二、寺越外雄および寺越武志(以下、右三名という)の、それぞれの現在の消息を如何に把握しているか回答されたい。

(答弁)一について
 御指摘の三人の親族からの説明等により、寺越昭二氏及び寺越外雄氏は死亡し、寺越武志氏は北朝鮮において生存している可能性が高いものと思われる。

----------------------------------------------------------------
(質問)二、政府は、右三名を保護または救出すべき日本国民と考えているのか、回答されたい。

(答弁)二について
 政府としては、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号)第二条の規定により北朝鮮当局によって拉致された日本国民として認定された者以外にも北朝鮮によって拉致された可能性を排除できない者が存在しているとの認識の下、御指摘の三人に係る事案を含め、拉致の可能性を排除できない事実の真相究明に努めているところである。

 いずれにせよ、政府としては、北朝鮮に対し、すべての拉致被害者を直ちに帰国させるよう引き続き求めていくこととしている。

----------------------------------------------------------------
(質問)三、平成十四年四月十八日、参議院外交防衛委員会において、漆間巌警察庁警備局長(当時)は、、「(認定以外の)拉致の可能性のある事案というのはいろいろつかんでおるわけでございます」と答弁して認定以外の拉致事件があることを認め、平成十八年十月十六日、政府拉致問題対策本部が決めた「拉致問題における今後の対応方針」(以下、対応方針という)第五項に、「特定失踪者など拉致の可能性を排除し得ない事案の捜査・調査推進」とあるが、政府は、右三名を捜査・調査を推進すべき拉致の可能性のある事案と考えてきたのか、回答されたい。

(答弁)三について
 御指摘の三人に係る事案については、「拉致問題における今後の対応方針」(平成十八年十月十六日拉致問題対策本部決定。以下「対応方針」という。)五でいう「北朝鮮による拉致の可能性を排除でいない事案」に該当し、当該事案の捜査及び調査を推進する必要があるものと考えている。

----------------------------------------------------------------
(質問)四、平成十八年十二月十三日、拉致問題国際会議参加者らが招聘された政府主催のレセプションで、漆間警察庁長官(当時)は、寺越昭二の息子らに「(寺越昭二失踪事件は)拉致だと考えている」と話しているが、政府は右三名が北朝鮮に拉致されたと考えているのか、回答されたい。

(答弁)四について
 三についてでお答えしたとおり、御指摘の三人に係る事案については、対応方針五でいう「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案」に該当するものと考えている。

----------------------------------------------------------------
(質問)五、北朝鮮は、寺越昭二が北朝鮮上陸後に病死したと主張しているが、亡命工作員安明進は、寺越昭二は海上の拉致現場で抵抗したため北朝鮮工作員により射殺されたと証言している。

 寺越昭二の家族は、北朝鮮が言うように同人が北朝鮮で病死したのなら遺骨があるはずだから家族に遺骨を返せと求めているが、北朝鮮は真新しい墓の写真や墓の土などを渡すのみで遺骨を返していない。このことから、寺越昭二が北朝鮮工作員によって射殺された疑いが大きくなっている。

 政府は、寺越昭二が北朝鮮工作員によって射殺された疑いをもっているのか、回答されたい。

(答弁)五について
 御指摘のような可能性も含めて捜査及び調査を行っているところである。

----------------------------------------------------------------
(質問)六、政府は、対応方針第一項で、「全ての拉致被害者の安全確保と即時帰国、真相究明、実行犯引渡し」を北朝鮮に要求している。

 政府は、ここでいう真相究明には右三名の事案の真相究明も含まれると考えているのか、回答されたい。

(答弁)六について
 御指摘の三人に係る事案は、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案であり、その真相究明は、対応方針一でいう「拉致に関する真相究明」に含まれると考えている。

----------------------------------------------------------------
(質問)七、政府は、北朝鮮との外交交渉の中で、右三名の事案を如何に扱ってきたか、回答されたい。

(答弁)七について
 北朝鮮に対しては、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案全般について情報提供等を求めてきているところである。

----------------------------------------------------------------
(質問)八、政府は、「拉致問題の解決なしに北朝鮮との国交正常化はしない」という原則を掲げて、「全ての拉致被害者の安全確保と即時帰国、真相究明、実行犯引渡し」を求めているが、右三名の事案と寺越昭二殺人容疑に関して真相究明と実行犯引渡しがなされることが北朝鮮との国交正常化の条件と考えているのか、回答されたい

(答弁)八について
 御指摘の三人に係る事案については、現在、捜査及び調査を行っている段階であり、お尋ねについては、その成果を慎重に見極める必要があるものと考えている。

|

« 言われなくても | トップページ | 寄稿 »