生命
「命(ぬち)どぅ宝」とは沖縄の言葉ですが、今は反戦のスローガンに使われることが多いようです。
もし、本当に命が一番大切なら、当然その命の中で一番大切なのは自分の命であるはずです。その自分の命を捨ててまで人の命を救う必要はありません。東武東上線に飛び込もうとした女性を救って殉職された宮本警部、今度そのエピソードが写真のような絵本(高木書房刊)になり、テレビドラマも放送されるそうですが、この人の行為など、愚の骨頂ということになります。中越地震のとき、土砂に埋まった自家用車から男の子を助け出したレスキュー隊の人たちも、一つ間違えば二次災害に見舞われていたかもしれません。助かるかどうかも分からない子供を助けるために、場合によったら自分の命が失われるかもしれないような危険なことをすべきではないはずです。
しかし、宮本警部のような犠牲、あるいはレスキュー隊の人たちの犠牲を覚悟した行動がなければ社会は成り立たちません。自分がその場に立ったときにできる自信はなく、おそらく逃げ出してしまうのがおちでしょうが、日清戦争以来の戦死者も含め、大昔から軍人、官民の別を問わず命を他人のため、国のために捧げた人がいるからこそこの国は存在しているのだと思います。少なくともその人々への敬意は忘れてはならないはずです。
昨年1月10日にこのブログで警視庁・東京消防庁などの殉職者慰霊施設である弥生慰霊堂のことを書きました。靖国通りを挟んだ向かい側の靖国神社と比べて余りにもひっそりとしたたたずまいです。知らなければ何の施設かも分かりません。もっと大事にしてあげたらと思うのですが、少なくとも靖国神社にお参りされた方でお時間に余裕のある方はお立ち寄りいただいて、宮本警部を初め、公のために命を捧げられた方に敬意を表していただければと思います。
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