歩みと展望
※以下は1月29日に開かれた特定失踪者問題調査会の理事会で決定し、同日の記者会見で発表されたものです。
調査会5年間の歩みと拉致問題解決に向けた展望
特定失踪者問題調査会
1月10日、特定失踪者問題調査会は設立5周年を迎えた。
この5年間は試行錯誤の連続だったが、結果的に言えば拉致被害者が9.17第一次小泉訪朝以来誰も帰っていない。この現実については重く受け止めざるを得ない。
特定失踪者の中で政府認定になったのは松本京子さん1人であり、警察が拉致と断定した高敬美、剛姉弟を入れても3人にしかならない。実際には政府認定者以外にも拉致被害者が多数いることは政府関係者が認めており、その中には特定失踪者リストと重なる人も少なくないことはすでに明らかになっている。
何度も言われていることだが、時間がない。家族はもちろん被害者も高齢化し、今日の生存情報も明日を保証するわけではない。一刻も早く全被害者を救出しなければならない。私たちは救う会、家族会、法律家の会、拉致議連、地方議員の会、守る会、難民救援基金、RENKをはじめとする国内外の北朝鮮人権関連NGOと連携してその早急な実現をめざす。
1、政府に対する要望
(1)「北朝鮮自身が拉致問題の解決に向けて具体的な行動を取るよう求めていく」(調査会の要請文書に対する11月28日付政府から回答)ではなく、「拉致被害者を奪還する」という、国家として当然の対応をすることを求める。北朝鮮の行動を求めるのはその手段の一つであり、根本は拉致されている被害者を奪還することでなければならない。
(2)上記の意思を示すため、総理ないし担当大臣たる官房長官が特定失踪者家族の代表に直接面会し、全ての拉致被害者奪還を明言されたい。
2、調査会の活動
(1)拉致被害者の情報収集と救出
政府に対する要望(1)と対応するが、日本国民としての義務もまた北朝鮮の行動を求めるのではなく拉致被害者を奪還することである。その意味では政府認定者も未認定者も違いはない。救出のために脱北者からの聞き取り、独自ルートの開拓などにより北朝鮮における拉致被害者情報を収集し、可能なケースについては外務省等とも連携して救出を目指す。
(2)国内における情報の収集
リストに基づく特定失踪者家族からの聞き取り、周辺状況調査等の活動は調査会発足以来の基本的活動だが、調査会の能力の限界もあり、特に遠方に居住する家族にはまだ相当数直接の面接ができていない。もう一度これについての努力を行う。
(3)北朝鮮への直接のはたらきかけ、体制転換への活動
・短波放送「しおかぜ」は昨年すべての送信を日本国内から行えるようになり、電波状態は良好である。さらに内容の充実を図る他、緊急放送として使用するための準備も行っておく
・バルーンプロジェクトについては李明博候補当選による状況の好転に期待し、家族会等他団体と合同で行う。2月ないし3月には日本から関係者が韓国に行って現地NGOと共に活動を行う予定である。
・北朝鮮に対する人権査察を目指す。他の北朝鮮人権問題関連NGOとともに直接の要求及び日本政府も含めた各国政府からのはたらきかけを求めていく。
・政府のリストにもなく、特定失踪者リストにもない拉致被害者を救出するためには現在の独裁体制を転換する以外に方法はない。他の北朝鮮人権問題関連NGOとともに今後も活動を進める。
以上
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