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2008年5月31日

「諸君!」7月号

226_2


 昨日発売になった「諸君!」7月号に連載の特別版として「拉致救出運動は政府と一体化すべきでない」という一文を書きました。ご関心のある方はご一読いただけると幸いです。

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しおかぜネットワーク

メールニュースでもお知らせしていますが、昨日の理事会で「しおかぜネットワーク」の立ち上げを決定しました。

 メールニュースでもお知らせしておりますが、PDFファイルで資料を付けておきます。多くの方々のご参加を期待しております。

「しおかぜネットワーク」の概要に関する資料、参加申込書をダウンロード

昨日の記者会見で発表した「今後の拉致被害者救出運動に関して」をダウンロード

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2008年5月30日

硫黄島

Ioutou

 28〜29日と硫黄島に行ってきました(この部分、「火曜、水曜と…」にしていましたが、水曜木曜の間違いでした)。

 ここはメールもできなければ携帯も通じず、公衆電話も島に数台というところで、お電話やメールを戴いた方には失礼しました。

 それにしても、言葉では説明できないところです。写真の手前にある碑には「第27航戦司令部」「第一御盾特攻隊出撃前夜の会議室」「陸戦隊本部」などと書いてありますが、同様の碑が島内のどこにいっても見られます。この写真の施設は外部に露出しているので分かりますが(壁面の穴は弾痕です)、地下の壕の場合は碑が立っているだけです。

 まだ硫黄島には約1万人の英霊が眠っておられます。島にいる人はほとんどが空自と海自の軍人さんですが、「英霊」という言葉が普通の言葉として使われているのには驚きました。夜、擂鉢山に案内していただくと、満天の星に手が届きそうな位で、何もなければリゾート地にもなりそうな島でした。

 しかし、当時は面積で計算すると島の全土に厚さ1メートルの砲弾・爆弾が降り注いだ計算になるそうで、その中を高熱の壕で待ち続け、死を覚悟して戦った方々のお気持ちはどのようなものだったのでしょう。平和な今に生きる私たちには想像しようとしても無理なのでしょうが、せめてそれがあるおかげで今日の私たちがあることは忘れないようにしたいと思います。 

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2008年5月28日

昨今の報道について

※以下は調査会NEWS 634号(5月28日付)に書いたものです。
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 昨日の「毎日新聞」夕刊の報道については「特定失踪者が誰か帰ってくるのですか」と、山のように問い合わせがありました。こちらは寝耳に水で、何とも答えようがなかったのですが、このところ、スクープが出ては関係者が打ち消すということが繰り返し行われています。誰が、どういう意図のもとに行っているのかは分かりませんが、いくら何でも、全く火のないところにこれだけあちこちから煙が上がることはないと思います。

 ところで、去る5月20日付で、政府の拉致問題対策本部事務局の河内隆・総合調整室長から家族会の方々に下のような手紙が送られました。まあ、書き方は丁寧ながら、良く読むとほとんど脅迫状のような中身ですが、この中で北朝鮮の体制転換について書かれている部分は、これまでの報道とあわせてみると、非常に興味深いものがあります。ご参考までお送りしておきます。

 ここでは、私も「特定の人」(この書き方には思わず吹き出してしまいましたが)として登場しており、さまざまな面で突っ込みを入れられる部分があるので、あらためて書きたいと思いますが、間違いなく言えるのは、官僚機構のシステムからして、これが河内室長だけの独断で行われているはずはないということです。何となく、これまで視界を悪くしていた霧のようなものが晴れてきつつあるのかなとも思えます。

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(河内室長から家族会の方々に宛てた手紙)

御家族各位

 若葉が初夏の日差しにまぶしく輝く季節となりましたが、皆様におかれてはいかがお過ごしでしょうか。 内閣官房の総合調整室長の河内です。

 拉致問題解決に向けての展望を残念ながら示せず、問題が長期化するあまり、御家族の皆様におかれては、焦燥感を募らせておられることとご拝察申し上げます。 誠に申し訳ないことであります。

 六者会合を巡る動きも不透明感を増して、おりしたたかな北朝鮮に、関係国全てが振り回されている状況が続いております。 北朝鮮国内の食糧不足の情報も耳にしますが、普通の国ならば政権への信頼が大きく揺らぐ要因となっていくのに、国民を国民と思わない「かの国」にあっては、政権に批判的な国民から餓死させていくのであれば、かえって体制に忠実な人の割合が増し、その安定感が増すというような極めて逆説的な状況にあるのではないかと、かえって唖然とする思いが個人的にはぬぐえません。誠に異質極まりない国です。

 さて、これまで皆様上京の折には、その都度、拉致問題対策本部の取り組みについては触れさせていただきましたが、平成20年度になり、いよいよ、この6月8日の福島を先頭に、地方版「拉致問題を考える国民の集い」が開催される運びとなっておりますので。本日は、この地方版「集い」についてあらためて触れさせていただきます。(このスタイルの集会としては6月21日(土)には岩手。7月6日(日)には愛媛。8月24日(日)には富山で、順次予定されております。)
 これまで、御家族の皆様が、身を粉にして様々な集会を開いて、拉致問題をアピールしてきていただいたことについては、深く感謝申し上げたいと思います。 今後とも、拉致問題への関心が薄れる事のないよう、引き続いて様々な形での御協力を、宜しくお願い申し上げます。御家族の皆様にお願いするのは、誠に心苦しい限りですが…。

 今回、そうした皆様の御努力に加えて、政府の拉致問題対策本部としても、地方自治体及び民間との共催による「集い」を各都道府県で実施していきたいと考えております。 平成18年度に内閣に拉致問題対策本部が設けられて以降は、政府主催の「国民の集い」実施してきたわけですが、これはいずれも東京での開催にとどまりました。各方面から、もっと全国的な広がりが求められているとの御指摘もいただいてきたところです。したがって、「国民の集い」と同様な内容の集会を、更に創意工夫を加えて、各都道府県レベルでも開催して参りたいと考えております。

 そのポイントを、若干申し上げたいと思います。
(1)まず、本「集い」開催の趣旨は、「拉致問題への国民の関心を維持すること」と「解決に向けた政府の取り組みに理解・協力を求め、政府・自治体・民間が御家族の皆様と心を一つにして北朝鮮に対峙してく重要性を再確認すること」です。拉致問題の解決は「国家が解決すべき問題」であることはいうまでもありませんが、自治体もいわゆる「北朝鮮人権法」第3条の「自治体の責務」に則り世論の啓発に努めるとともに、各地の様々な民間団体とも連携し、各地域から拉致問題解決への決意をアピールしていこうとの企画です。現実の開催地については、地域の熱心な皆様が、精力的に手を挙げられたところから、順次、開催を検討していくことになりそうです。
 なお、主催・共催となる民間団体については「救う会」を始めとする様々な団体がありえますが、御家族の皆様との間では、いずれの「集い」においても緊密な連係を図って参りたいと考えております。 この手紙をしたためている趣旨もまさにこの点にあるのです。
 地方議員の方の関心が高いところは、議連も共催者に連なるなど、その集会のあり方には、地域毎に多様性があってよいものと考えております。 この意味からしますと、」政府が共催者に名を連ねない集会であっても、(申請がある場合には)その意義を認め、後援したり、あるいは招かれて関係者が出席・講演したりするということはいくらでもあるわけです。
 なお、政府が共催していない集会に政府関係者が出席するような場合には、集会の最後に集会のアピール文を受けることがよくございます。この場合、その決議については、官邸要路とも情報共有しております。 ただ、本「集い」は政府自らが主催者の一員となるものですから、主催者でありながら、その集会でのアピールや決議の類いを「当の政府に対して」行うと言うのは奇異な印象を抱かせる(政府が拉致問題にしっかりと取り組むべきは当然のこととの趣旨から)ことになりますので、この種の決議を採択をすることなどは、本「集い」の場では想定していないことになります。
(2)次に、政府が共催者に名前を連ねる以上、全国版「国民の集い」と同様に、政府主催行事に相応しい内容にしたいというのが基本的な考え方です。
 「集い」は地方で開催されますが、その地方における拉致被害者に限らず全ての拉致被害者(認定被害者はもとより、北朝鮮に寄って拉致された可能性を排除出来ない人を含む)の早期帰国を目指すものであります。 対象は全ての拉致被害者であり、いわゆる特定失踪者を排除するものではありません。ただ同時に、対象者が「全て」の拉致被害者である以上、開催地に縁のある特定失踪者だけに限定するものでもありません。事実上、「集い」にご出席されるのは開催地に縁のある方ではありましょうが、その方だけにとどまるものではないという意味です。
 また、集会全体のメッセージが、北朝鮮と交渉している現在の政府方針があたかも変更されたとの誤解を招きかねないようにしなくてはならない、と考えております。政府が従来から内外に対して行っている説明と矛盾したことをいっているというような印象を与えることは、極力回避したいと考えているわけです。
(3)もっともこのように説明いたしますと、「何か制約がある窮屈な集会なのか」との印象をもたれる方があるかもしれません。そこで、少々くどいようで恐縮ですが、あらためて「御家族の立場から」、この真意につき説明させて頂きます。
 御家族の中にも、「現在の政府方針が生ぬるい!」「金正日体制が崩壊しない限り、拉致問題の真の解決はあり得ない!」との意見をお持ちの方もおありだろうと思います。 そのような御意見がでられることは、十分理解も共感も出来ます。 政府として家族会の皆様の発言内容を制約しようという考えは全くありません。何よりも、御家族の切実な思いこそが、聴衆の心を揺さぶるものです。どんな美辞麗句よりも、 「御家族の魂の叫び」こそが「同胞を救わなくては!」という思いを駆り立てる原動力です。御家族の思いには、北朝鮮への不信・体制批判にとどまらず、当然、日本政府に対しての不満・批判もあろうかと思います。 これだけ解決に時間がかかって思案っている以上、当然のことですし、また、中には、叱咤激励もあろうかと存じます。
 ここで御留意頂きたいのは、日本政府が北朝鮮当局を相手にして外交交渉で問題解決をしようとする以上、日本政府自身が金正日体制打倒を方針とするならば、そんな相手方とは北朝鮮は本気で交渉テーブルにもつかないことになってしまう点です。誤解を恐れず、具体例をあえて申し上げれば、例えば、「金正日体制を転覆させ、自衛隊を派遣しない限り、拉致被害者を救出出来ない」というような主張は、「対話と圧力」という一貫した考え方の下で解決に向け取り組んで行く政府の方針とは相容れないと言う事です。このことは、同時に、現体制下では(北朝鮮当局のある特定の部署により)拉致被害者の情報がしっかり管理されているだろうから、しかるべき人の「決断」さえ示されて「解決」に向かう方が、体制が転覆され大変な混乱状態の中でよりは、拉致被害者救出に現実として適するという側面もあると判断されるからです。
 さらに、「政府が税金を使って集会を開催するのに、特定の意見を排除するのか」ととられる方もおられるかもしれません。集会の正確が、(いわゆるタウンミーティングのような)各界各層のご意見を伺うような場なら、その批判は的を射ているのかもしれません。しかしながら、この「集い」は、「参加者が自分の問題として拉致問題を考え行動するきっかけとなるもの」であり、また、「各開催地にて、日本国は北朝鮮に対して拉致問題を決しておろそかにしないことの決意を一致団結して示す場である」ことを想起していただきたいと思います。アプローチの違いをことさら強調する場ではないのです。 要は、いろんな主張があって然るべきなのですが、少なくとも政府共催の集会である以上、政府としては金正日体制打倒を声高に叫ぶようなアプローチはとらないということです。
 なお、この点に関し、「特定の方」をこの「集い」から排除したとの話もきかれますが、政府が「特定の方」を名指しで排除したような覚えはありません。共催者間で集会の趣旨等につき事前調整するプロセスを丁寧に行っていくことは重要であり、もとより関係者の間で誤解・疑義を与えような事はあってはならないと考えます。 いずれにしましても、共催していただける団体の皆様方には、この様な政府の方針につき十分御理いただいた上で、集会のための準備を政府とともに進めていただく事になります。
(4)政府としては、地方版「集い」を通じて、一層拉致問題啓発に取り組んでいく所存ですが、あくまで共催者として参加し、その資格の範囲で費用を負担することも予定しております。 会場等借り上げ料や広報啓発経費につき、応分の負担をしてく所存ですが、自治体や地元団体ともよく相談して決めていこうと考えております。これは、民間団体に対する補助金拠出を行うものではありません。 必要経費の一部を国も負担する以上、地域の方々が全く独力で集会を開催するよりは、結果的に開催がしやすくなるという面はありましょう。

 いずれにしても、こうした「集い」を通して、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、北朝鮮に対して、毅然とした対応をとっていく考えです。
 ここまで縷々説明させていただきましたが、これは、地方版「国民の集い」につき当方の説明が不十分であり、一部の方に誤解を与えてしまったのではないかと心配するためです。 そこで「つどい」開催前のこの段階で、御家族の皆様にはあらためて説明をさせていただいた次第です。

 日中は汗ばむ陽気でも、朝晩には冷えるこの季節、御家族の皆様におかれては、お体にはくれぐれもご留意下さい。

平成20年5月20日(火)

                   内閣官房 拉致問題対策本部事務局
                   総合調整室長 河内隆

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2008年5月26日

バルーンプロジェクト報告

以下は調査会NEWS 632(20.5.22)に書いたものです。
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 すでに報道でご覧になった方もおられると思いますが。5月23日及び24日に韓国にてバルーンプロジェクトを実施してきました。

 今回の参加者は韓国側が李ミンボク・基督北韓人連合代表及び支援者の方(脱北した女性)1名、日本側が特定失踪者小林栄さんの弟さんの小林七郎さん、守る会の宋允復事務局長、救う会神奈川の川添友幸会長、現在韓国の大学院に通っている湯山篤さんと調査会代表荒木及び理事村尾の合計6人でした。小林さんと荒木・村尾は昨晩帰国しました。

 今回は24日実施の予定で行ったのですが、23日仁川空港到着後李代表と連絡をとったところ、この日のうちが風が良く、24日は風向きが悪くなる可能性があるので今日中に試験的に実施しようということになり、そのまま仁川の北にある江華島(日本では「江華島条約」で有名)に向かい、夜江華島で5個の大型風船を飛ばしました。

 翌日は25日に内陸の鉄原で午後実施することにして準備しものの、風向きが北に向かわず、大型風船は1個を飛ばすに留まりました。気象情報では18時以降に北向きの風になる予定でしたが、残念ながら変化は見られず、。最後にはゴム風船にビラを1枚ずつ付けたものを休戦ラインに近い朝鮮戦争の激戦地である白馬高地で全員が一つずつ持って飛ばし、北朝鮮に情報が届くことを祈りました。

 鉄原では昨年3月に荒木が行って李さんらと実施しようとしたものの警察に止められたということがありましたが、今回は警察の制止は多少あったものの前回に比べればかなり穏やかなもので、政権が変わったことを実感した次第です。

 報道では私たちが実施したことが強調されていますが、この活動は言うまでもなく李代表ら基督北韓人連合の活動に私たちが入れていただいているものですので、その点ご理解賜りますようお願い致します。なにしろ風任せで、しかも韓国政府の対応も明確ではないため、今後もしばらくはいつやると正確な発表ができないと思いますが、私たちも基督北韓人連合の活動に協力しながら積極的に実施していく所存です。基督北韓人連合では今後も独自の活動を続けながら、日本のビラはペンニョン島から飛ばすときを中心に(ここから飛ばすと風が良ければ平壌以北まで届く)同会のビラに混ぜて送っていただけることになっています。今回はまだあまり飛ばしていませんが、新たに印刷したビラ(10万枚)は家族会と調査会の連名になったものです。これを入れて日本のビラは約32万枚が印刷されています。

 なお、韓国滞在中「しおかぜ」の受信を試みたところ、極めて明瞭に聴取できました。北朝鮮にも十分に届いているものと推測できます。

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2008年5月23日

報道関係各位

バルーンプロジェクトについて、ご連絡が遅くなってすみません。

おそらく明日の午後、内陸で行うことになると思いますが、詳しくは本日夕方このブログに書き込む予定です。

とりあえず私の臨時の携帯電話の番号は下記のとおりです。

82-10-3635-4182

それではよろしくお願いします。

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2008年5月14日

本日の集会レジメ

本日19:00からの特定失踪者問題調査会主催集会(市ヶ谷)で配布する私のお話のレジメです。
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今後の拉致被害者救出運動に関して

荒木和博

※以下の見解は特定失踪者問題調査会代表である荒木和博の個人としての見解である。組織としての議論、決定が必要な部分がある。

目標

 日本人拉致被害者全員の救出と、そのために必要不可欠である北朝鮮の自由化・民主化をめざす。

拉致事件の本質

 拉致は国家主権の侵害ー戦争ーであり、独裁国家北朝鮮で起きている各種の重大な人権侵害の一つである。この認識を政府・国会・そして国民が共有しなければならない。

政府に対する姿勢

 建設的緊張関係を維持し、是々非々の態度を貫く。また「北朝鮮自身が拉致問題の解決に向けて具体的な行動を取るよう求めていく」から「日本国政府の責務として拉致被害者を救出する」へと基本方針を変更するよう求める。そのためには自衛隊が様々な形で重要な役割を果たすことは必要不可欠であり、政治がその決断をするように促していく。

救出運動のあるべき姿

●9.17以前のように「北朝鮮は拉致をしていない」という勢力が存在していたときと異なり、拉致問題について一定の世論形成ができている現在、拉致被害者を救出すべきという点においては左右を問わず大きな違いは無い。ただし、それが強硬に取り返すか、あるいは話し合いで、国交正常化を通じて取り返すかの違いである。今「拉致はなかった」とか「拉致被害者は北朝鮮で死んでいくべきだ」などという人間はいないのであって、本音はともかく基本的には方法論の違いの範囲であると言える。

●したがって、現在望ましいのは運動の無理な一体化ではなく、多様性をフルに活かすころである。中央集権的な指示によるのではなく、最終的な方向に向かってそれぞれが活動しながら、可能な範囲で横の連携をとり、必要であれば共同行動を呼びかけていくことが望ましい。9.17のときも、拉致を許さないという世論があり、一方で国交正常化を目指した小泉総理・福田官房長官(当時)・田中均アジア大洋州局長のラインがあったから、結果的にではあるが北朝鮮側に拉致を認めさせ5人を取り返すことができた。前者が欠ければ拉致問題を棚上げにした国交正常化が行われていたろうし、後者がなければ北朝鮮は今も拉致を認めていなかったかもしれない。国民が拉致問題の本質をより理解し、その解決が自らの安全を守ることだと認識していればできるだけ様々な方法でアプローチすることにより画一的、硬直化した北朝鮮の体制にくさびを打ち込み拉致被害者救出を実現することができる。今は自由主義社会の優位性を徹底的に活用するときである。

●また、人権問題の視点からは他国の拉致被害者問題、政治犯収容所問題、脱北者問題などの問題に取り組む国内外のNGOとも積極的に連携するのは当然である。北朝鮮の独裁体制が転換され、民主化・自由化が行われることによってこそ北朝鮮が現在認めていない、あるいは私たちも知らない拉致事件の被害者が救出されるのであり、逆に言えば日本人拉致問題の解決は北朝鮮の人権問題解決の突破口になりうるのである。

いくつかの試み

情報共有と救出運動の効果を高めるためのネットワークづくり
 第2救う会的組織、あるいは調査会支部のような組織は作らない。調査会としては特定失踪者問題及び政府認定者も含めた拉致問題全般への理解を深め、救出運動をより効果あるものにするため、趣旨に賛同する団体同士で情報の共有をするためのゆるやかなネットワークをつくる。救う会全国協議会への加盟未加盟は関係ないし、全国協議会の活動を阻害するものでもない。調査会は加入組織に対して責任を負わず、相互には義務も責任も指示命令系統も存在しない。もちろん調査会の活動に反対してもまったく問題ない。会費は年間1万円程度を文書通信費としていただくのみとする。

可能な範囲での集会等の開催

 現在の調査活動に支障のない範囲で30人~50人程度の小規模な集会を開催する。これまで逐次開催している特定失踪者家族懇談会とも連動させた形とし、可能であれば特定失踪者家族支援委員会顧問になっている家族会メンバーにも参加していただき、政府認定者・未認定者の垣根のない集会、登壇者と参加者が直接触れあえる集会を開催し、草の根からの拉致問題への理解を深める努力をする。開催地はできるだけこれまで集会が行われたことのない地域を選ぶ。

財政基盤の強化

 政府と一定の距離を保って活動を続けるため、また情報収集をより大規模に行うため新たな財政基盤強化策を実施する。

11年間の活動を振り返って、新たな出発へ

 平成9(1997)年3月家族会が設立された。救出運動はそれより早く新潟で始まり全国に広がった。当時はまだ拉致「疑惑」であった。「北朝鮮は拉致などやっていない」というのは北朝鮮や朝鮮総聯のみならず日本人の中からも聞こえていた。そんな中で家族も、救出運動に携わる者も必死で訴え、署名を集め、集会を行った。その積み重ねが9.17で金正日が拉致を認め、5人を帰国させることとして結実した。拉致問題は確実に国民的課題となり、政府も簡単には引き下がれなくなった。

 しかし、私たちに慢心や甘えはなかっただろうか。時間の経過に鈍感になっていたことはなかったろうか。救出が実現できないないことを「一所懸命やっているのだから」と責任逃れはしていなかったろうか。自らの反省を込めて、今こそ初心に返り、そしてこの本質を見つめ、最も重要なことは何かを考えて行動しなければならないと思う。私自身について言えば、「一昨年(平成18年)中に拉致問題を解決する。それができなければ責任をとる」と公約し、その公約を果たせなかった。責任は必ず取らなければならないが、そのためにももう一度初心に返って再出発としたいと思うのである。

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2008年5月13日

政府の姿勢

※以下は5月11日付調査会NEWS 628号に「しつこいようですが」と題して書いたものです。
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 このことを言って回っているのはほとんど私だけなので、何回も聞かされて「またか」と思われる人もいるでしょうが、「政府との関係」を考える上での参考までもう一度。

 今から3年前、平成17年6月14日の参議院内閣委員会で、当時の細田博之官房長官は民主党の森ゆうこ議員から次のような質問を受けました。

 「国民が拉致されて救出を待っているときに、我が国の政府が自分でできる、主体的にできるということを、いつまでに、どのように、何をするのか、具体的にお答えいただきたい」

 細田官房長官の答弁は次のようなものでした。

 「先方も政府で、彼らのこの領土の中においてはあらゆる人に対する権限を持っておりますので、これは我々が説得をして、そして彼らがついに、実は生きておりました、全員返しますと言うまで粘り強く交渉をすることが我々の今の方針でございます」

 細田さんという人は正直な人なのでしょう。この内容は「北朝鮮の地に行ってしまったら煮て食おうと焼いて食おうと北朝鮮の勝手です。日本政府は話はしますが、それでだめだったら諦めて下さい」ということです。本当であれば即座に大問題になって官房長官更迭、場合によっては内閣総辞職でもおかしくない答弁だと思います。

 しかし、問題は、時の官房長官が何のためらいもなくこのような答弁をしたことだけでなく、質問をした森議員もさらに真意を質さず、所属する民主党もマスコミも問題にすることさえしなかったということです。しかし、基本的にはこの方針は小泉内閣も、安倍内閣も、現在の福田内閣も変わっていません。したがって、政府との一体化をすればするほどこの範囲での「解決」しか実現可能性がなくなるということです。

 本来日本の持っている力は決して小さなものではありません。政治が「救出をする」という決断さえすれば事態は一気に進むはずです。そのためには救出運動は政府と一定の建設的な緊張関係を維持する必要があると思います。

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2008年5月 9日

集会と講演のご案内

■調査会主催緊急集会のご案内

調査会では下記の日程で集会を開催いたします。急なお知らせで申し訳ありませんが、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

1、日時 5月14日(水)19:00〜20:45

2、場所 UIゼンセン会館2階会議室(千代田区九段南4-8-16 tel03-3288-3549)

 ※市ケ谷駅下車3分 靖国通りの南側(市ヶ谷駅を背にして右手)を靖国神社方向に進み三菱東京UFJ銀行市ヶ谷支店の手前を右に入ってまもなく。地下鉄は2番出口が一番近くです。

3、内容 講演「拉致事件の本質と解決への道」(調査会代表・荒木和博)
          質疑他

4、参加費 500円
(今回は調査会主催の集会ですので戦略情報研究所会員の方も参加費を頂戴します)

5、備考 予約等はありません。当日会場にお越し下さい(開場は18:30頃の予定)

■拓殖大学国際講座

 こちらは調査会の代表としてではなく私の本職である拓殖大学の教員としてのお話しです。

1、日時 5月10日(土)10:30〜12:00

2、場所 拓殖大学文京キャンパス(地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅下車5分)C館301教室

3、テーマ 韓国大統領選挙後の朝鮮半島情勢

4、聴講料 1000円

5、お問い合わせ 拓殖大学学務部オープンカレッジ課
TEL.03−3947−7166

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2008年5月 7日

パンダ

 パンダの「貸し出し」とはどういうことかと思っていたら、しっかり貸出料を払うのですね。しかも1年1億円というのは何とも(本当にいくらなのか、ちゃんと確認はしていないのですがそんなものだそうです)。普通の熊を白黒に塗るとかでごまかしたらどうでしょう。かつて共産党が「ジェット戦闘機を減らして福祉へ」(言葉は正確ではありませんがそんな意味のスローガン)と言っていましたが、「パンダを1頭減らして後期高齢者へ」というのはどうでしょうか。

 あるいは調査会で請け負って、開園時間中役員が交替でパンダの着ぐるみを着ていてもいいですが。その方が拉致問題解決にも多少はプラスになりますし。

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2008年5月 6日

救出運動は政府と一体化してはならない

※以下は5月6日発行の調査会NEWS 625に書いたものです。

 「車窓越しや徒歩移動中、見聞きしたことで主席に不安や不快感を抱かせること自体、外交問題化する可能性がある。(胡錦濤主席に)抗議行為や音を一切、見せず、聞かせずの警備が行われる」

 今回の胡主席訪日に対する警察の警備方針はこのようなものだそうです。

 確かに、警察という官庁の整合性から言えば警備の目標はそういうことでしょう。しかし、それが多くの国民の思いと一致しているかといえば、否とせざるを得ません。

 毒餃子、チベット、長野での騒乱…。それらを目の当たりにして、胡錦濤総書記が来日するなら抗議の意志を表したいというのがごく普通の常識ではないでしょうか。しかし、警備の担当者からすれば、至上命題は「何も問題が起きないこと」でしかありません。それが官僚機構というものです。だからこそ長野でも暴行をはたらいた中国人は一切検挙されず、日本人やチベット人だけが制圧されるのです。警察の整合性は保たれても、自由民主主義国家日本としての整合性は損なわれるということです。

 さて、現在救う会全国協議会では各地で政府・拉致議連と共催の大規模集会を計画しています。たびたび「政府・議連と救う会が一体となって」という言葉も聞こえます。しかし、この「政府と一体」というのは本当に望ましいことなのか、逆に救出運動を停滞させ、拉致問題の棚上げを促進するのではないでしょうか。

 ある地域で計画されている大集会で、開催日を決める時点から私に出席が要請されていた集会がありました。しかし、最近になって地元から荒木の出席を取り消したい旨連絡がありました。中山恭子・首相補佐官及び佐藤勝巳・救う会全国協議会会長の意向とのことでした。私が行けば政府の批判をするので政府と共催の集会にはふさわしくないからということでしょう。その一方で中山補佐官は集会に参加した折、その地域の特定失踪者の家族と懇談の場を持ちたいとの意向を示しています。悪意で解釈すれば、これは政府批判を封じ、調査会と失踪者家族を分断し、家族をなだめることを目的としているともとれないことはありません。

 この問題が長い間解決しない責任のかなりの部分は日本政府にあります。長期に渡り(そして今も)政府が拉致事件の本質を隠蔽し、本当の意味での救出への努力を怠ってきたからこそ拉致問題は今に至っても解決していないのです。それについて、日本政府は只の一度も反省したことも、謝罪したこともありません。政府首脳であれ官僚であれ口を開けば「全力を尽くしてやっている」と言いますが、それが虚言であることは火を見るよりも明らかです。日本政府が本当に全力を尽くしてやれば、この国の底力からして、北朝鮮から情報を得て拉致被害者を特定し少なくとも何人かを取り返して来ることはさほど難しいことではありません。

 しかし昨年10月末、調査会の出した要請文書の中にあるように、政府の方針は「北朝鮮自身が拉致問題の解決に向けて具体的な行動を取るよう求めていく」ことだけであり、「政府の責任として拉致被害者を取り返す」とは一言も言っていません。それが拉致問題の現状です。それどころか、古川了子さん拉致認定訴訟を通じて政府は「政府認定者と未認定者に差別をつけてはいない」と言いながら、実際にはたとえば政府の北朝鮮向け短波放送「ふるさとの風」でも、こちらからの要請にもかかわらず特定失踪者についてはメッセージの放送どころか名前の読み上げさえしていません。すべての拉致被害者を救出するつもりなどないことは明白です。

 もちろん、政府の中にも、拉致問題の解決のため努力している人が何人もいます。しかし、民間の救出運動が政府と一体化したとき、運動は官僚機構、権力機構の中での整合性に合わせたものになり、内部にいる志ある人々が動くのにはマイナスにしか働きません。民間の運動は政府と一定の距離を保ち、建設的緊張関係の中で、協力すべきことは協力する、批判すべきことは批判するということが必要なのではないかと思います。

 大集会をやるべきでないとは言いません。開催するために各地の救う会では大変な努力をして参加者の動員するわけで、確かに運動を活性化させることにつながるとは思います。その意味で開催地の救う会の皆さんの努力には敬意を表しますが、「政府と一体」という全国協議会の方針は、それ自体がこれまで11年間積み上げてきた運動を後退させるものであり、特に私たちにとっては特定失踪者、未認定拉致被害者の問題を棚上げしてしまうものとして容認できるものではありません。もちろん、そのような流れは政府認定拉致被害者の救出にも明らかにマイナスです。

 4月27日の国民大集会でも申しましたが、拉致問題は官僚には絶対に解決できません。官僚機構というのは多かれ少なかれ冒頭に書いた胡錦濤訪日時の警備の方針のように、根本的な方向性、真理とか道理というものと全くと言っていいほど関係しないからです。逆に言えば政治が明確な決断をすれば、官僚機構はそれに従って動くのです。そのときの官僚機構の能力はもちろん民間では追随できるものではありません。

 政治を動かすのは世論であり、運動体の目的はその世論を形成していくことにあります。実際に、それがあったからこそ、この11年間に政府の対応は少しずつ変化してきたのです。重ねて言いますが、救出運動が政府との一体化をすべきではありません。一体化したい人は官僚になれば良いのであって、今は政府に対して叱咤していくべきときです。日本国の国家としての整合性を保つために、ご協力とご理解をよろしくお願い申し上げます。

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2008年5月 4日

胡錦濤中国国家主席来日に対する声明文

※以下は北朝鮮人権関連4団体合同で出した声明です。ご理解とご協力をよろしくお願いします。

胡錦濤中国国家主席来日に対する声明文

 中国政府はオリンピック成功のためにも、チベットを初めとする全ての人権問題を改善し、中国国内の脱北者(北朝鮮難民)の逮捕・強制送還を停止せよ!

 今回、胡錦濤中国国家主席が来日いたします。私たちは、現在行われているチベットでの容赦のない弾圧、新彊ウイグル自治区での民族浄化政策、内モンゴルでのモンゴルの自治権の抑圧、中国国内の人権弁護士や民主活動家の逮捕、拘留、また、強制送還によって起きている北朝鮮難民の生命の危機など、見過ごしに出来ない人権侵害問題に抗議し、北京オリンピックの成功のためにも、ただちにこれらの人権問題を改善することを中国政府に求めます。

 北朝鮮難民が生きる自由、食糧を得る自由をもとめ中国に逃れても、逮捕、強制送還されれば、強制収容所、教化所、労働鍛錬隊に送られ、酷い拷問や強制労働の運命が待ち受けています。中には公開銃殺刑に処せられた人もいます。

 北朝鮮女性と中国国籍の男性の間に子どもができても、母親を不法入国者として送り返すために、6-7万人に及ぶ孤児が生み出されていると推定されています。しかも、この難民達の中には、私達日本国と関わりのある帰国者、日本人妻、その家族達も多数含まれているのです。また、脱出した日本人拉致被害者が北朝鮮に連れ戻される可能性もありま 
す。この人権弾圧は日本国と決して無縁のことではありません。

 脱北者(北朝鮮難民)が送り返されれば、生命の危険や社会的な抑圧、迫害が及ぶの
が明らかであるにもかかわらず、中国政府が強制送還をやめないのは、人道と、人権
に反するだけでなく国際条約である難民条約の違反です。しかも、中国はこの条約の
批准国なのです。

 さらに、中国政府が事実上支援している北朝鮮政府は、日本国民を含む様々な外国国民を拉致するという国家テロを行い、その全貌はいまだに明らかになっていません。また、政治犯強制収容所に象徴される北朝鮮政府の人権弾圧に対しても、中国政府は国連人権委員会での北朝鮮人権非難決議に反対し、事実上抑圧体制を承認する姿勢を取っております。

 私達は胡錦濤主席の来日に際し、以下の点を強く要請いたします。

1、中国政府はチベット、東トルキスタン(新疆ウイグル)、内モンゴルなどの全ての民族自決権を承認し、信仰、言論、表現、結社の自由を承認せよ。

2、中国政府は不当逮捕している人権運動家、民主運動家を釈放し、彼等の言論の自由を保障せよ。

3、中国政府は脱北者(北朝鮮難民)の不当逮捕を直ちに停止し、彼等を難民条約の精神に則って保護し、希望する第3国への移住を認めよ。

4、日本政府は、中国政府の人権弾圧や脱北者強制送還に対し明確に抗議し、北京オリンピック成功のためにも直ちに人権改善が必要である事、また、人権改善が為されない限り、対中国への政府並びにアジア開発銀行からの経済支援、経済交流を見直さざるを得ない事を、来日する胡錦濤主席に明確に提起してください。

2008年5月3日

特定失踪者問題調査会 代表 荒木和博
(http://www.chosa-kai.jp/)
北朝鮮難民救援基金 事務局長 加藤博
(http://www.asahi-net.or.jp/~7efe6h-ktu/)
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 代表 三浦小太郎
(http://homepage1.nifty.com/northkorea)
救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク(RENK)代表 李英和
(http://www.bekkoame.ne.jp/ro/renk/)

(代表名アイウエオ順)

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2008年5月 2日

生ぬるいかもしれませんが

チベットやウイグルで虐殺されたり、拷問を受けている人たちには失礼かも知れませんが、あえて「できるだけ」という運動の呼びかけです。最初から100%とと思えば難しくても、どちらかの選択をしなければならないときにこのような判断をするだけでも大分違うと思います。ご賛同いただける方はよろしくお願いします。簡単なチラシを作りましたのでダウンロードできるようにもしておきます。

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できるところから北京オリンピック反対を

中国共産党政権による様々な人権弾圧を正当化するための北京オリンピックに反対します。みんなでできるところから意思表示をしていきましょう。

●オリンピック協賛企業の商品は、他の会社のもので済むならできるだけ買わないようにしましょう。
→カネは北京オリンピックを協賛しない企業へ!

●オリンピックに関する番組は、それに合わせて民主化運動などについて報じるものでない限りできるだけ見ないようにしましょう。
→視聴率は北京オリンピック礼賛番組以外の番組へ!

●「北京五輪を支援する議員の会」の議員にはできるだけ投票しないようにしましょう(インターネットサイト「電脳補完録」にリストあり)。
→票は北京オリンピックに協力しない議員へ!

上の内容の書かれたチラシをダウンロード

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