ソウルで考えたこと
7月28日から30日までソウルに行ってきました。今回はしおかぜネットワークの一員である民社人権会議の一員としてです。民社人権会議では毎年韓国に視察団を派遣しており、韓国の拉致被害者家族の方々などと交流を続けてきました。今回も朝鮮戦争時の拉致被害者家族会の事務所を訪れ、李美一理事長ら役員の方々のお話を伺ってきましたが、旧知の人も多く、お互いに有益な意見交換ができたと思います。朝鮮戦争の拉致被害者のことは日本の中でもあまり知られていませんが、北朝鮮という国の本質を知るためにも、もっと広報していくことが重要だと思いました。
もうひとつ、今回は29日に団を半分に分け、半分は板門店視察、もう半分は調査会がバルーンプロジェクトで協力していただいている基督北韓人連合の作業場を訪れ、李ミンボク代表と意見交換をしてきました。私は何度かおじゃましていますが、今回の団長である山根隆治参議院議員はじめ、参加者はそれぞれ感銘を受けていました。
李代表のお話の中で印象に残ったのは、北朝鮮を支える柱が二つあり、ひとつが金日成・金正日に対する個人崇拝と日米への憎しみ(その裏返しとしての解放者である金日成への忠誠)ということでした。それを崩すことに焦点を絞ってビラの内容を工夫しており、たとえば、「朝鮮戦争は南から攻めてきた」という嘘を崩すのには、「どこどこの文献に書いてある」といったものでは意味がなく、「朝鮮戦争の初期に参加した人にそっと聞いてみてください」という方が効果があるそうでした。
日本政府のようにあの体制を温存して話し合いで解決する(言っている当の本人も実現できるとは思っていないでしょうが)という方針では到底考えも及ばないでしょうが、相手の弱点を探り、そこを徹底して突くというのは兵法からいっても当然の策です。私たちもあらためて問題の解決のため、何がもっとも効果的なのか、考えてみる必要を感じた次第です。
先週テレビ朝日系の「朝まで生テレビ」に出演しましたが、自分のできはさておき、あのとき感じたのは吉田康彦氏まで含め、もはや北朝鮮が拉致をしていないという人もおらず、拉致被害者を放置して良いという人もいないということです。その意味では東海大の金慶珠さんの「ここで盛り上がっているだけでは仕方ない」というのはまったくそのとおりだと思います。根本的な目標が何で、具体的に何をすべきかについて、もっと明確にしていく必要があると考えた次第です。
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