やはり「再調査」など認められない
8月15日付調査会NEWS 672号に書いたものです。
昨日(14日)午後4時から1時間、内閣府で日朝実務者協議の説明が行われました。政府側は中山大臣と斎木外務省アジア大洋州局長ら、家族会は飯塚代表他10名、救う会全国協議会が藤野会長他2名、調査会が私と真鍋副代表の2名でした。
時間が限られていたため調査会からの質問は真鍋が一回行っただけでしたが、全体を通して感じたことは、率直に言って「こりゃだめだ」というものでした。斎木さんは「協議の中で『再調査』という言葉は使わず、『調査のやり直し』と言った」と言っていましたが、いずれにしても「調査」自体が馬鹿げた話で、拉致をしていった側が「誰を拉致したか調べる」などという話はどう考えても理屈に合わないでしょう。
唯一認められるとすれば北朝鮮のメンツを保つということで、まあそれでも何人か帰ってくるなら一定の成果はあったと言うべきでしょうが、それなら「調査委員会の設置」も「調査の進捗過程」の通報も全く無用です。例えば30日の期限を切って、「余計な説明は無用。それまでに全員出すこと。そうすれば制裁の一部解除を行う。しなければさらに制裁を強める」というのならともかく、途中の過程など、どうやったところで全くの作り話に過ぎないのですから、相手の話を聞く方が無駄です。
逆に問題なのは、今回の合意からすると、北朝鮮側が例えば「調査委員会を作った。委員長は誰で委員は誰だ」とか伝えてくれば、それだけで日本は制裁の一部解除に入れるということです(もちろん世論の動向を見てでしょうが)。最初に制裁解除があって、それに理屈を付けているだけと思われても仕方がないでしょう。ちなみに4年前のとき出てきた調査委員会の責任者(?)は陣日宝という名前で、肩書きは「人民保安省捜査担当局長」でした。この名前の読み方「チニルボ」は「進一歩」と同じで、これは韓国語で「一歩前進」という意味です。これは実務者協議の日本側代表にわけのわからないオッサンを連れてきて「誠済矢目留」という名前にして出すのと同じことです。
相手が中山大臣と斎木さんのため、家族会の人たちもかなり言葉を自制していましたが、福田総理が拉致問題解決のために強い意志を持っているとか、政府が一体となってやっているという二人の言葉を信じた人はいないでしょう。私たちはなおのことですが、その言葉が逆に二人に対する不信感を強めたことは間違いありません。そして、秋に満足のいく結果(すべての拉致被害者の救出)が出る可能性はほぼゼロです。たとえ数人が帰ってきても、逆に大部分は棚上げ(再調査の継続などの言葉でごまかすのでしょう)になるはずです。
「再調査」の細部などどうでも良いことです。政府は「救出」と言わず「帰国」と言っていますが、些末なことを大げさに言い、言葉をごまかして拉致問題の全体像を少しでも矮小化しようとしているとしか思えません。国民の側の本質を見据えた姿勢、建設的緊張感が欠かせません。だめなものはだめと、はっきり意思表示をしていくことが必要不可欠だと思います。
ちなみに調査会では緊急に下記の通りインターネットを通じて公開生中継を実施することにしました。ぜひ、今大事なことは何なのか、耳を傾けて下さい。
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公開大発言会のお知らせ
8月11日、12日に行われた日朝実務者協議では結局「再調査」の進行に合わせて制裁の一部解除を行うことが合意されました。誘拐犯が「私が誰を誘拐したか調べてみる」というなどまるで話しになりませんが、さまざまな形で最後のあがきを続ける北朝鮮当局をここで取り逃がすことはできません。私たちは様々な立場の人々の声をより多くの人に知っていただくため、次のような情報発信の場を設けます。全国・全世界の方々に対するアピールを、ぜひお聞きください。また、東京近辺の方は公開収録にぜひご参加ください。
1、 日時 平成20年8月22日(金)18:30~20:30
2、 視聴方法
(1)インターネットによる全世界同時生中継
(株)ネットライブのホームページ(http://www.netlive.co.jp)からご覧になれます。
(2)生中継の公開収録
会場:UIゼンセン同盟会議室UIゼンセン会館2階会議室
(東京都千代田区九段南4-8-16 tel03-3288-3549)
※JR総武線、地下鉄有楽町線・南北線・都営新宿線市ケ谷駅下車3分 日本棋院斜向い
http://www.uizensen.or.jp/doc/uizensen/access.html
※参加費500円・どなたでも参加できます。
3、 内容
(1)今回の日朝実務者協議などに対する意見の発表
(2) 米国のテロ支援国家指定解除に対する意見の発表
(3) 北朝鮮人権問題に関する意見の発表
(4) 北朝鮮核問題に関する意見の発表
4、 発言者
(1)調査会及びしおかぜネットワーク関係者
(2)関係家族
(3)関連NGO代表・専門家等
1人5~10分程度の発言を行う(海外からのメッセージも含め)
最後にアピールを採択する。
5、主催 特定失踪者問題調査会
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