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2008年8月11日

「再調査」など要らないのではないか?

8月11日付調査会NEWS 670号に書いたものです。

 再三書いていますが、政府は今日明日の日朝実務者協議で北朝鮮から何かの口約束を取り付けたことで制裁の一部解除に踏み切ろうとしているようです。

 報道によれば「北朝鮮による再調査の検証も重視する。途中経過の報告を求めるほか、関係者からの聞き取りなどを認めるよう北朝鮮に働きかける方針」(讀賣)とのことですが、2か月経って「再調査」の方法がどうとか言っているのであれば、そもそも「再調査」など求めても意味がないということではないでしょうか。実際、斎木外務省アジア・大洋州局長は家族会や救う会・調査会への報告の席で「(家族が再調査を)望まないならしなくてもよい」と言っていました。

 「再調査」に意味があるとすれば、ただ一つ、北朝鮮との間に何らかの合意があり、向こうから拉致被害者のリストを出させるのに、北朝鮮側のメンツが立つようにするということだけです。そもそも政府自身が「現体制下では(北朝鮮当局のある特定の部署により)拉致被害者の情報がしっかり管理されているだろうから、しかるべき人の『決断』さえ示されて『解決』に向かう方が、体制が転覆され大変な混乱状態の中でよりは、拉致被害者救出に現実として適する」(対策本部総合調整室長から認定者家族宛の手紙)と言っているます。私はその認識は間違っていると思いますが、それが正しいとしたら、問題は「しかるべき人の『決断』」にあるわけであって、再調査の方法をどうするかなど、何の意味もないことです。

 もちろん、巷間ささやかれている「何人かのリスト」を北朝鮮側がすでに官邸に提示しているなど、私たちの見えないところで何かが動いているならそれはそれで良いのですが、いずれにしても今回の実務者協議で「再調査の方法」を議論したりするなどナンセンスも甚だしいものですし、それで北朝鮮が「譲歩」したとして制裁一部解除などに至れば、これはまさに国民を愚弄したものと言わざるをえません。

 すでに「こうなったら座り込みでもするしかないのではないか」との話も出ていますが、今回に至っても北朝鮮が新たな拉致被害者の名前を出してこないなら、もう「再調査」など話題にもすべきでないと思います。そして制裁の一部解除どころか、さらに制裁を強めるべきです。もちろん「よど号」犯人の引き渡しなど取引材料にすること自体が問題外。政府は今自分たちのやっていることがどういうことなのか、しっかり考えるべきでしょう。

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