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2008年9月 3日

一つの戦後の終わり

 私事ですが先日伯父が亡くなりました。87歳なので年齢的には大往生ですが、子供のころから可愛がってもらっていたので、お別れが寂しいことには変わりありません。

 叔父は戦時中北支戦線で負傷し、手榴弾の破片は亡くなるまで身体の中に残ったままでした。レントゲンを撮ると写っていたそうです。酒を飲むとよく戦争中の話をしたのですが、子供の頃はあまり関心もなく、そもそも意味がよく分からなかったのでなんとなく聞き流していただけでした。そのうち滅多に会う機会がなくなり、もう全く話を聞くことはできなくなってしまいました。今から考えればもっと聞いておけばよかったと悔やまれます。

 火葬場で出てきた骨は年齢の割にはかなりしっかりした骨でしたが、破片は出てきませんでした。皆伯父から負傷した話は聞いていたので何か残るかと思ったのですが。火葬場の人の話では、よくそういう家族がいるのだが、弾丸の破片などが出てきたのを見たことはないとのこと。高熱で火葬するので溶けてしまうようです。

 考えてみれば、伯父は身体に残った弾丸の破片と一緒に、一小隊長としての戦後を持って旅立っていったのかも知れません。
 

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