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2008年9月 6日

「再調査」の延期?

※本日9月6日付の調査会NEWS 681号に書いたものです。
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 昨日5日の記者会見で高村外務大臣は4日に北朝鮮側が「調査委員会」の立ち上げを延期すると伝えてきたと発表しました。大臣からは「非常に残念」「遺憾」とのコメントがあったそうですが、大臣は何か勘違いしているのではないでしょうか。

 6月と8月の実務者協議の合意は北朝鮮当局と日本政府の間で行われたものであって、日本の政権がどう変わろうと、北朝鮮側が合意を先延ばしする理由になるはずがありません。日本政府が北朝鮮に「政権が変わるので対応が遅れる」と言うか、北朝鮮側が「金正日体制が倒れるので対応が遅れる」というのならともかく、日本の政局を理由に北朝鮮が先延ばしするというのは言語道断です。日本の総理大臣が福田康夫であれキムタクであれ、ミケであれタマであれそれは変わりません。

 その意味で、北朝鮮以上に言語道断なのはそのようなことを「残念」とか「遺憾」という人ごとのような言葉で片付ける外務大臣ではないでしょうか。あるいはこのときの記者会見で「人ごとのようだ」と言われたら外務大臣は「私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと違うんです」と言ったんでしょうか。

 この記者会見における外務大臣の言葉は結局、外交だけで、話し合いだけで重大な主権侵害である拉致問題が解決しないということを外務大臣自らが証明してくれた、ある意味では歴史的な言葉になるかも知れません。

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