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2008年9月 2日

福田総理辞任表明

以下は本日付の調査会NEWS 680号に書いたものです。そろそろ帰ろうかと思っていたら電話があり、拉致に関しては実質的に何ということもなかったのですが、一応待機せざるをえず11時頃まで帰れなくなってしまいました。
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 「緊急記者会見がある」というニュースは会見の1時間ほど前にマスコミの方から伝えられました。ひょっとしたら拉致がらみで「再調査」にかかわる重大発表か、と思ったのですがその期待(あるいは不安)はまったく裏切られました。辞任の会見では拉致については一言も話が出ませんでした。実務者協議の報告では中山担当大臣も斉木外務省アジア局長も、政府が一体になってやっていること、総理が信念をもってやっていることを強調していましたが、本当にそうなら一言くらい言及があってもよさそうなものです。

 それにしても、あらためて考えると福田さんという人は何のために総理になり、何のために総理をやめるのか、まったくわからない人でした。しかし、想像されるのは次の総理大臣が誰になるにせよ、このままでいけば新総理はまた同じように「一所懸命やります」と言い、何かの格好をつけ、そしてまた日にちが浪費されるということではないでしょうか。

 これは例えば民主党政権になっても同じでしょう。今の自民党の状況から言えば民主党がしっかりすればすぐにも政権が転がり込むでしょうし、逆に今の民主党の状況から言えば自民党がしっかりすれば政権は当分安泰でしょう。「外野から何を言うか」と言われるかも知れませんが、私にはヘボピッチャーが真ん中高めの絶好球ばかり投げているのにバッターが空振り三振するという図に見えて仕方ありません。

 何度も言ってきましたが、拉致問題は主権侵害であり、国家の基本にかかわる問題です。これを官僚が解決することはできません。どれほど政治家が愚かになったとしても(それはそういう政治家を当選させる有権者の責任ですが)、国民の選択する政治家の決断によって解決するしかないことです。誤解を恐れずに言えば政治資金など多少不正があっても構わない、スキャンダルがあっても構わないから、政治家でなければできない決断をしてもらいたいというのが心からの希望です。それをしようとする政治家が少ないから国民は細かいことにこだわらざるを得ないのです。

 テレビで記者会見する福田総理の顔を見ていて暗澹たる気分になりましたが、愚痴をこぼしてばかりいても仕方ありません。こういう状態でどうすれば良いかです。逆にこういうことが続けば何かが吹っ切れるのではないかとも思います。今回のことをきっかけに拉致問題全体を見直し、視点を変え、運動を前進させるきっかけにできないかと考えています。「災い転じて福となす」ならぬ「福転んで幸いとなす」にしなければなりません。

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