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2008年10月16日

なぜ土台人や協力者は語らないのか

※本日10月16日付の調査会NEWS 676号に書いたものです。

 9.17の前からずっと疑問が解けなかったことがありました。「金正日が拉致を認め、日本国内で拉致に対する世論が高まっているのに国内の工作員(いわゆる「土台人」など)や協力者は自分のやってきたこと、見たことについて語ろうとしないのか」という疑問です。

 9.17の後、当初は日本国内にいる人間は続々と「自分はこういうことをやった」とか「こういうことをやっているのを見た」と名乗り出るのではないかと思っていました。しかし、それはほぼゼロ(警察に直接行っていればそういうケースがあっても知ることはできませんが)でした。もちろん、自らが犯罪者であると名乗り出るのは勇気もいるでしょうし、北朝鮮の目も光っているとは思います。しかし、それにしてもなぜ全く出てこないのか、少しは漏れても不思議ではないのに、と思ってきました。

 今日(正確には昨日)、その回答がふと頭に浮かびました。それは「今も工作活動が続いているからだ」ということです。正解ではないかも知れません。当たっていればいたで文字通り当たり前のことなのですが、私たちは拉致事件も、北朝鮮の浸透などの工作活動も何となく過去のものであり、今はその後始末をしているような気にはなっていないでしょうか。

 しかし、拉致の救出運動が始まるのは平成9年からですが、例えば富山の黒部川河口で見つかった水中スクーターは平成10年11月から11年4月頃の間に埋められたものでした。奄美沖の工作船事件は平成13年12月のことです。先日韓国で逮捕された元正花は昨年、今年と来日して工作活動に関わっていました。

 考えてみれば平成9年以降の失踪者でも拉致の可能性がある程度考えられる人は何人もいます。結局、勝手に終わったつもりになっているのは私たちだけだったのかも知れません。実は工作活動が変わりなく続けられていたという根拠となるものも最近色々目に付いてきています。

 「生存者全員の帰国」という、政府の目標は、拉致自体が終わったものという印象を強く与えますが、決してそうではありません。私たちはこの問題をもう一度しっかりと見つめ直し、対策を考える必要があるのではないかと思います。

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