米国のテロ支援国家指定解除について
※以下は本日10月12日付調査会NEWS 674号に書いたものです。
指定解除はヒル国務次官補が次の自分のポストのことだけを考えてやっていることで、政権の残り時間も少なくなった今、もう時間切れになったのだろうと考えていました。昨日の奈良集会でもマスコミの人から聞かれて「まあ、ないでしょう」と答えていたのですが、見込みは見事に外れてしまいました。
しかし一方で正直なところ私にはこれを望む気持ちもありました。アメリカさん頼みでやってきたことが精算され、「自分でやるしかない」と、日本人の気持ちが変わるなら指定解除のデメリットを補って余りあるメリットがあると思っていたからです。また、もっと大きな意味では日米の同盟関係が、より対等な関係に近づく契機になるとの期待もありました。当初指定解除が予定されていた8月11日が後に歴史上「日米同盟の転機となる日」として記録されるのではないかとも思っていました。
さて、これからが問題です。米国が頼れない以上、日本政府は独自の対策を取らねばなりません。その一つとしてはテロ国家指定(テロ支援国家、ではなく「テロ国家」)を北朝鮮にするべきです。元CIAアジア部長であるアーサー・ブラウン氏も言っていますが、米国の金融危機で相対的には強くなった日本の経済力を使い、日本が金融制裁をかけることは金正日体制にとって極めて重要なダメージとなるはずです。
北朝鮮はあまり周りから言われ、国民も不審に思っていることを気にしてか、金正日の写真を出してきました。いつ撮ったものか分からない写真です。サッカーの試合を見たという報道だけでは疑念を払拭できないので、次には写真としたわけですが、この次は写真の右下に日付でも入れるのかどうか、いずれにしても体調の異常は北朝鮮当局の反応によってかえって裏付けられています。
金正日が健在であることを前提として、単なる話し合いで拉致被害者の一部(政府が「全被害者」と決めてしまえばそれが「全部」ですから)を帰国させておしまいということはもはやできないことが明白になりました。この際政府は方針を「帰国」から「救出」へと明確に転換し、北朝鮮に対する金融制裁を初めとする圧力を自らかけるとともに、積極的な拉致被害者の情報収集、直接的救出準備を進めなければなりません。調査会でも今後早急に個別案件の洗い直しを行い、可能な情報は公開して新たな情報の収集に努めていく予定です。
米朝関係が進めば中国も介入を強めます。19世紀の帝国主義時代の再来かも知れません。日本が坐視していることは許されません。私たちの安全のためにも。この国の未来のためにも。
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