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2008年12月28日

拉致問題と北朝鮮人権問題

※本日(12月28日)付調査会NEWS 729に書いたものです。

 14日に開催された6団体合同行事に参加された何人かの方から、「これまで拉致問題だけに関心を持ってきたが、政治犯収容所や脱北者の問題も大事であることが理解できた」とのお言葉をいただきました。主催者の一人として、本当に嬉しく思います。 もちろん独りよがりになってはいけないのですが。

 何度も同じようなことを書いていますが、「拉致問題という重大な人権侵害を受けている日本だからこそ、北朝鮮の人権問題は誰よりも実感できる。苦しんでいる北朝鮮の人々も救うために先頭に立つから協力してもらいたい」というのが国際的には最も理解しやすい呼びかけ方だと思います。その意味では拉致問題を進展させるためにも私たちは拉致、特に日本人拉致問題だけを語るべきではないでしょう。 

 また、日本人拉致問題だけでいけば、当然「取引」ということが出てきます。私はそれも一つのアプローチだと思います。制裁だけで後はただじっと待っているというのは改めるべきと思いますが、懸念されるのは取引でやることによって数人が帰り、それ以外は蓋をされてしまうことです。実際年末年始の休みを隠れ蓑にして何かが動くのではないかという噂もないわけではありません。ですから、拉致問題の解決のためには同時に北朝鮮人権問題全体への取り組みが欠かせないのです。

 いつもこのように説明をしているのですが、考えてみれば北朝鮮の人権問題というのはもっと単純な話でもあるのです。それは「目の前の国で苦しんでいる人がいるのだから、日本が助ける」ということです。

 例が飛躍するかも知れませんが、ソマリア沖の海賊対策で護衛艦を出さないとか、出しても集団的自衛権の制約で他の国の船がやられていても手助けできないなどというのは、どう考えても日本人として恥ずかしい、卑怯なことではないのでしょうか。法律解釈で自縄自縛になっているより、「当然のことだから」と言ってやった方が余程良い結果が出ます。そもそも霞ヶ関周辺で働いている官僚の皆さんは、政治が行った決断に後から理屈をつけるのも仕事のうちでしょう。

 最後に拉致に戻ります。政治がなすべきは、拉致問題で言えば拉致被害者を「救出」することです。来年こそは単純に、分かりやすくいきましょう。

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