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2009年3月 8日

脱北帰国者と不法入国の問題について

※3月8日付調査会NEWS757号に書いたものです。

 脱北帰国者の女性が自分の親族と偽って全く関係のない中国人を日本に入国させ、逮捕されたとの報道がありました。私たちにも関わりのある人であり、大変残念に思うと同時に、今後のため見解を申しあげておきたいと思います。

 この事件とは関係ありませんが、私自身情報収集の過程で、あるブローカーから中国人のビザを取って欲しいと言われたことがあります。事情に詳しい人に相談したところ、「間違いなく不法滞在を想定したものだから、手を付けない方が良い」と言われてやめました。

 確かにそのリストには中国の朝鮮族どころか福建省の漢族まで入っており、どう考えても日本への入国ビジネスに使われているとしか思えないケースでした。いくら中国で反日騒ぎをしても、中国人にとって日本というのは現実にはそれだけ魅力のある地だということなのでしょう。ちなみに幸か不幸か、このケースでは情報の方も極めて不確実なものでありました。

 今回のことも脱北者の置かれた状況と日本への入国ビジネスの問題が関係しているのでしょう。私自身、例えば中国人の不法入国を手助けしたら本当に日本人拉致被害者を取り返せるという確証があるなら、それに手を付けてしまうかも知れません。いわんや命がけで脱出する人が、その途中で様々な手段を使うことは一種の緊急避難でもあり、ある程度までは仕方のないことではないかと思います。

 日本国内での法律違反については司法の場で裁かれるべきことですし、問題をすりかえるつもりはありませんが、根本的には北朝鮮から脱出せざるを得ない人間がいることと、本来自由に往来できるはずの日本人妻や、家族がほとんど戻って来られないこと、つまり北朝鮮の体制にかかわる問題だと思います。

 今後脱北帰国者受け入れのみならず、拉致被害者救出の直接の活動の中でも様々に複雑なことが起きる可能性はあります。DNA鑑定等も含め現地領事館で姻戚関係の証明ができるようにしていかなければなりませんが、一方で北朝鮮の中にいたときの状況から、自分自身が日本縁故者、あるいはその家族であることを証明しようのないケースもあり、あまり入口を閉めてしまうと、今度は救える人も救えなくなります(この点は今の拉致認定制度を考えていただければ分かると思います)。直接関わっているNGOの皆さんも私たちも、外務省の担当者の皆さんも、色々な意味で試行錯誤が続くでしょう。

 今回のことで他の脱北帰国者の皆さんが同じように見られることのないように、また、今後へのマイナスにならないように、切に期待する次第です。

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