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2009年4月21日

「田口八重子さん」

※昨日4月20日発行の調査会NEWS 771号に書いたものです。

 昨日牛久市で開催された集会で飯塚耕一郎さんと一緒になりました。

 ちょうど良い機会だと思ったので会が始まる前に耕一郎さんに「講演の中で実の母親に『田口八重子さん』という呼び方をする理由を話してよ。それ自体がこのことの問題を象徴するものだから」とお願いしました。

 というのは、私自身が何人かの人からそういう質問を受けていたからです。確かに事情が分からなければ不思議に思うかもしれません。耕一郎さんの話では先日の金賢姫さんとの面会の後の記者会見で「田口八重子さん」と言ったことがネット上で取り上げられ、かなり批判をされたとのことでした。

 講演の中で耕一郎さんが言ったのは、「自分は実の母親の記憶もないし、話したこともない。それなのに軽々に『お母さん』と言って美談のようにはしたくない。やがて会うことができたら、そのときには最初に『お母さん』と声をかけたい」ということでした。

 以下は私が本人に相談せずに書くことで、あくまで私の主観ですが、耕一郎さんが今、「田口八重子さん」と言う言い方をするのはもう一つの理由があるように思います。それは、彼の中で実感としての母は育ての母であり、飯塚繁雄・家族会代表の奥様である飯塚栄子さんだからではないかと思います。

 経緯は飯塚さんの著書『妹よ—北朝鮮に拉致された八重子救出をめざして』(日本テレビ放送網)に書かれていますので省略しますが、飯塚さんご夫妻にとって耕一郎さんを育て、守ることは並大抵の苦労ではなかったと思います。だからこそお二人と耕一郎さんの信頼関係は実の親子以上のものがあるのでしょう。

 やがて耕一郎さんが田口八重子さんに「お母さん」と声をかけられる時がきて、自分に惜しみなく愛情をかけて育ててくれたお母さんと、自分に会うことを何十年も待ち望んできたお母さんの二人がいることを幸せに思ってくれるようになることを切に望む次第です。

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