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2009年8月 6日

原爆投下と平和の夢

 8月5日の時事電によれば、世論調査で米国人の61%が原爆投下は正しかったと考えており投下を支持しない人は22%にとどまったそうです。

 この数字を見てなるほどな、と思いました。私たち日本人が勝手に「過ちは繰り返しませんから」と思ったところで、落とした当事者が正しかったと考えていたらどうしようもありません。鳥居民さんの『原爆を投下するまで日本を降伏させるな』(草思社刊)に書かれているように、すでに継戦能力を喪失していた(中国大陸などは別として)日本にとって、本来もっと早くに終戦に持ち込めたのを長引かせて、あえて原爆を投下したアメリカからすれば、逆に「戦争を早期に終わらせるため」という大義名分はどうしても必要だったでしょう。その理屈がなければただの虐殺ですから。

 敗戦後、サファリパークの中の平和を享受してきた日本は、ある意味夢の中にいたのかも知れません。明治、大正の世代はそれでも自分たちがサファリパークに連れてこられたと知っていたのでしょうが、昭和になってからの世代(戦中世代でも)は自分たちがいるところが本当の世界だと勘違いしてしまったように思います。獲物を捕まえなくても餌が与えられる、外敵と戦わなくても生きていけるという幻想の中で半世紀余が過ぎ、そろそろその幻想が消えてきているのでしょう。

 「憲法を変えなければ何もできない」ということではなく、意外と個々人の発想の転換で全体の大転換もなされると思います。

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