金大中
「金大中事件のときに殺しておけばよかったんだ」
数年前、私がお世話になった韓国のある大学教授のこの言葉を聞いたときはさすがにどきりとしました。扇動家的な人ではなく、冷静な視点でものごとを分析する方でしたから。
死者に鞭打つべきではない、というごく優等生的な感覚からすれば、民主化の闘士であり、大統領も務め、南北関係の改善に寄与したことを賞賛するべきなのかも知れませんが、私はどうしてもこの人を評価することができません。自らがノーベル平和賞をもらいたいがために、膨大な韓国民の血税を使い、何も変わっていない北朝鮮を変わったと勝手に解釈して、金正日体制の延命に力を貸してきた人です。そのおかげでどれだけ沢山の北朝鮮の民衆が死に追いやられたことか。
1980年代から90年代にかけて、韓国政治の病根であった全羅道対慶尚道の「地域感情」も、元はと言えば金大中氏が自らの勢力を強めていくために煽り続けたことの結果です。結局この人が大韓民国、あるいは朝鮮半島にもたらしたものはプラスよりはるかにマイナスの方が多かったと言わざるを得ません。
しかし、盧武鉉前大統領が自殺し、今回金大中元大統領が亡くなったことで、自由民主主義国家大韓民国における「失われた10年」の主役がともに退場したことになります。今後韓国の左翼は少数化、先鋭化していくでしょう。取り返せるかどうかは李明博政権と韓国民の意思にかかっています。
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