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2009年9月 8日

固定スパイ

※9月8日付の「調査会NEWS」833号に書いたものです。

 去る8月29日に予備役ブルーリボンの会で新潟市西蒲区の海岸を使い、拉致及び工作員侵入のシミュレーションを行ってきました。

 その内容については予備役ブルーリボンの会のホームページ(http://www.yobieki-br.jp/)をごらん下さい。今回のシミュレーションはまだ始めたばかりですから反省点も少なくないのですが、とりあえず二つのことは分かりました。

 一つは拉致をするのには相当数の人間が必要であるということ。7月23日付の産経新聞に掲載された曽我さんに関する記事でも警察が犯人の一人として国際指名手配しているキム・ミョンスク以外の3人の男によって拉致されたとなっています。曽我さんの拉致から3日後、昭和53年8月15日の富山のアベック拉致未遂事件でも被害者の証言によれば3人の男に襲われたということで、そうなれば2人で6人ということになります。

 北朝鮮から上陸した工作員だけでこのような拉致をすることはできません。現地に居住する固定スパイや協力者が必ず必要です。昭和53年の夏に起きた地村さん夫妻、蓮池さん夫妻、曽我さん母子、市川さんと増元さん、そして富山の未遂事件と、僅かひと月余りの間に分かっているだけでも5件の拉致が起きているのです。固定スパイや地元の協力者は当然それぞれの事件で異なるはずです。

 したがって考えただけでも相当な数の工作員が動いていなければなりません。それを警察が全くつかんでいないはずはないのですが、現実には誰も逮捕されていません。これは何を意味するのでしょうか。

 もう一つ、人数が揃えば拉致は極めて簡単だということです。訓練された人間でも虚を突けば全く抵抗できなくなります。この状況には現在も変化はありません。したがって、北朝鮮側からすれば、「必要なら持ってくればいいじゃないか」という意識は今も消えていないはずです。

 そもそも、9.17で金正日が拉致を認めたにもかかわらず、カミングアウトする固定スパイや協力者が出なかったのは、組織がまだ生きているからでしょう。「現在進行形のテロ」という言葉は決して拉致された人が帰ってきていないということだけではなく、今も行われていて、これからも行われる可能性がある意味だろうと思います。

Kidnap1_2

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