« 聞きっぱなしはやめよう | トップページ | 金賢姫来日と国情院 »

2010年7月23日

昨日の顛末など

※本日(23日)発信した「調査会NEWS」946号に書いたものです。

 ちょっと長くなりますがお許し下さい。

 金賢姫の訪日の話は前から伝わっていましたが、当初は飯塚さん、横田さんのご家族に会うだけで他の家族会の人にも会わないとの話でした。それなら日帰りか、1泊2日程度だろうと思っていたら23日まで滞在とのこと。

 ならば20日は飯塚さん、21日は横田さんに会うとしても、22日には目撃した可能性のある特定失踪者について何らかの動きがあるのではないかとほのかな期待を抱いたのですが、何もありませんでした。

 結局しびれを切らし、22日夕刻、事務所にある特定失踪者の写真ファイル13冊(数えてはいませんが公開非公開約400人の写真合計1000枚以上が入っています)を持って宿泊先の帝国ホテルに行きました。

 ホテルについたのは午後7時、ロビーで知人の政府関係者がいたので場所を聞いたら3階とのこと。上がって行ったら夕食会をしている宴会場の10メートル程前がロープで仕切ってあり、ホテルの人が立っていてそこから先には入れませんでした。そこで中にいる対策本部の関係者を呼び出してもらい、金賢姫にこの写真を見せたいと伝えました。これを伝え聞いた中井大臣からの伝言は「自分がやる」とのことでした。自分がやるから写真を貸してくれ、というわけでもありません。要は帰れということです。

 しかしそんなことで納得することはできず、せめて出てくるところをつかまえようと思って会食が済むまで1時間、その場で立って待っていましたが、金賢姫も中井大臣も裏から出ていってしまい、姿も見ることはできませんでした。表から出てきたのは平沼拉致議連会長と衆参の拉致特委員長でした。平沼会長はともかく、衆参の拉致特委員長は私自身が全く面識もなく、あいさつすらしませんでした。

 そこで直ぐに記者会見を開くことを決め、事務所に戻りました。そして出したのが昨日のニュースです。夜の10時に急にお集まりいただいたマスコミの皆さん、ありがとうございました。

 記者会見には生島孝子さんのお姉さんである生島馨子さんも参加し、ご家族の立場からのお話しもしていただくことができました。会見の内容の一部は新聞・テレビ等でも報道されましたので、その内容も含めて、今考えていることを整理すると次のようになります。

●金賢姫来日の法的問題や予算の問題は、本当に救出に必要なのであれば認められるべきである。北朝鮮の国家目的によって拉致された人を救うのだから、並大抵のことではできない。必要であれば政治判断として行われてしかるべきだと思う。

●最近拉致問題の動きがなく、報道も少なくなっていたときであり、金賢姫の来日によって久しぶりに拉致問題が大きく報道されたのは世論喚起の意味でもプラスであった。

●飯塚さん、横田さんのご家族に金賢姫が直接会って話をしてくれたことは良かった。少しでも情報が伝えられれば家族にとって何よりのプレゼントである。

●しかし一方で、特定失踪者については今回ほとんど顧みられなかったと言って良い。別に調査会を通さなくても可能性のあるご家族に直接声をかけるなどして面会させ、情報の確認を行うべきだったと思うが、そのような形跡はない。

●非公開の特定失踪者の写真など政府はほとんど持っていないはずである。しかし、提供を求めるどころか、それを見せることすら拒むというのは一体何のための情報収集なのか。私が行ったときに1時間半かけて会食をしていた国会議員で、拉致の細かい事情を知っている人はほとんどいない。酒を飲みながらの世間話で時間を費やすなら1時間半で何人の写真がみてもらえるのか。

●結論として今回の金賢姫訪日は情報収集及び飯塚さん、横田さん家族との面会なら大部分が韓国で済ませられることであり、厖大な予算をかけ法的な特例措置をもって行う必要はなかったと言わざるを得ない。

●また、「訪日はご家族の意向」とか「金賢姫が旅行したいと言ったからヘリに乗せた」とか、「韓国国情院の統制が厳しくて十分に話が聞けない」などとの話が出ているが、これらはどれも言い訳のように聞こえてならない。政治決断でやったならすべての責任は政治家が負うべきである。

 会見では金賢姫に見せようとしていたファイルを前に並べてお話ししましたが、そのファイルを見ているうちにこれまでの色々なことやご家族のことが頭の中をかけめぐり、言葉に詰まってお恥ずかしいところをお見せしてしまいました。この現状を冷静に認識し、どうやったら本当に救出できるのか、その目的に向かって努力してまいりたいと思います。今後とも何卒よろしく御願い申し上げます。

|

« 聞きっぱなしはやめよう | トップページ | 金賢姫来日と国情院 »