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2010年9月25日

「捏造」

※昨日9月24日付調査会NEWS965号に書いたものです。

 「大阪地検特捜部」と聞いて思い出したのは西村眞悟・前拉致議連幹事長の逮捕と、担当していた検事が後に庁舎で割腹自殺を図ったことでした。新聞記事では119番への通報は「急病で倒れた」ということだったようですが、割腹自殺なら「急病」には見えなかったはずです。結局、西村さんへの取り調べについてもそれが正当なものだったのか、あらためて疑問を感じざるをえません。

 私は個人的に北海道庁爆破事件(昭和51年)の犯人として逮捕され死刑判決を受けている大森勝久さんの支援をしています。大森さんと私は対米関係のことなど、必ずしも意見が合うわけではありませんが、それ以前にこの事件のことを見ていくと、死刑どころか、「どうして起訴できたのだろう」という事件です。うがった見方をすれば、道警の横にある道庁で起きた事件なので、どうしても「犯人」が欲しかったのではないかとすら思えます。大森さんは逮捕されてから今日まで、34年余を拘置所で過ごしています。

 「山本美保さんにかかわるDNAデータ偽造疑惑事件」も、こんなことから考えれば当然に起こりうる事件です。警察関係者ですら何人もの人が「あれ(警察の発表)はどう考えてもおかしい」というこの事件も、これまで何一つ納得のいく回答はなされてきませんでした。当時の現場責任者はもちろん偽装を否定していますが、一方で「自分が独断でやったことではない」と言っているとの話もあります。この事件や「飯倉公館事件」などを通じて国家権力というものの恐ろしさを、私自身は身にしみて感じてきました。

 しかし同時にその権力の中に、身を粉にして、誰にも見えないところで国家・国民のために働いている多くの人がいることも事実です。どんな法律を作っても、必ず抜け穴はできてしまいます。それよりは自らの使命感とか正義感の方が大事なのではないか、検察も警察も、組織として原点に立ち戻ってもらいと思わずにはいられません。使命感を持って、正義感を持って働いている人たちのためにも、それを信頼している国民のためにも。

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