« 余震 | トップページ | 被災地特定失踪者家族のご無事を確認 »

2011年3月23日

尻押し

首都圏の鉄道はほとんどが本数を減らしているため、時間帯によっては結構混んでいる。時には身動きのできいないようなラッシュも経験するが、考えてみれば30年位前はこれが普通だった。

電車は今より車体幅も小さく編成も短かったのだから当然だ。私のメールアドレスで使っているkumoha351というのは西武の車両だが、これなど大部分が長さ20mの車のなかで数少ない17m車。ドアは幅1mの片開きが3枚だから、よくも使っていたものだと思う(ラッシュ時の本線運用にはあまり使われていなかったが)。

その西武ではなく、国鉄(今のJR)高田馬場駅で、学生時代アルバイトをしていたことがある。通称「学生班」、というより当時は「尻押し」といった方がピンとくる仕事で、要はラッシュ時の山手線の電車にホームのお客を押し込むのである。山手線でも池袋ー渋谷間は一番混むところで、車両は103系の10両である。高田馬場は西武新宿線から流れるお客が乗ってくるためホームの混雑は相当なものだった。

物ではないので乱暴には扱えない。かといって放っておいたらドアが閉まらない。身体で押し込むしかないのだが、背中を向けていてくれればまだましで、女性がこちらを向いてはみ出していたりすると、どこを押して良いのかわからず困った記憶がある。10年位後だったか、ある飲み屋で女の子から「お客さんひょっとして高田馬場のホームにいなかったですか」とか言われてどきっとしたことがある。別に変な事をされて覚えていたのではなかったようだが。

被災地の皆さんが大変な苦労をされているので、冗談めいたことは慎まなければならないが、今回わずかながら生活が不便になってみて昭和の時代を思い出した世代も少なくないのではないか。震災への対処はまだ長期間にわたって続くだろうし、日本国内では今回の余震はもとより南九州の噴火や口蹄疫、鳥インフルエンザから富士山が噴火するだとか、様々なことが言われている。もちろん北朝鮮はじめ外国による主権侵害も起こり得る。正直何が起きるかわからない。少なくとも私たちの世代は死ぬまでそんな前提の中で生活していくしかないだろう(まあ、これまで高度成長期から安定成長へと、良い時代を生きて来たのだから少しはお返ししないといけないとは思う)。

あまり慌てないで、これまで便利と思って来たことが本当に必要だったのか、逆に本当に必要なものは何なのか、もういちど考え直す必要があるのではないかと思う。

|

« 余震 | トップページ | 被災地特定失踪者家族のご無事を確認 »