「あたりまえのこと」のありがたさ
【調査会NEWS1026】(23.3.15)
■「あたりまえのこと」のありがたさ
荒木和博
昨日のニュースで特定失踪者木村かほるさんのお姉さんである天内みどりさんのご無事についてお知らせしましたが、坂川ちあきさんの実家(岩手県洋野町)もご無事であることが分かりました。
ご無事の知らせを聞くと思わず熱いものがこみ上げてくる一方で、被災地周辺のお住まいで、まだ連絡のつかないご家族が何人もおられます。お一人はたまたま地震の前日に電話でお話しし、失踪状況のことで問合せをした方です。「日曜の午前中までに調べておきますから」との言葉をお聞きしたのが最後で、まだ連絡が取れません。ともかくご無事でいて欲しいと祈るだけです。
「電話したときに相手がそこにいる」「出かけていった家族が夕方帰ってくる」、そんな当たり前のことがどんなにありがたいことか、今回の地震はそれを思い知らせてくれました(阪神や中越など、大地震や自然災害を経験された方には言うまでもないことと思いますが)。東京では今もときどき余震があります。電力不足で鉄道の運行も制限されていて通常1時間少々で家から事務所まで辿り着くのが今日は3時間かかりました。大げさかもしれませんが家を出るときふと「また家族と顔を合わせられるだろうか」という思いもよぎります。
しかし考えてみれば、拉致事件もまた、ごく普通の人、普通の家族から「あたりまえのこと」を奪っていったのではないでしょうか。しかもこちらは自然災害ではなく人為的な犯罪、それも国家犯罪です。事件自体は一つひとつの家庭に起きたことだったので全体の問題としてとらえられてこなかったのですが、あらためて私たちは拉致された人たちやそのご家族の「あたりまえのこと」を取り返さなければならないと思うのです。
調査会は北朝鮮による拉致問題に取り組む組織ですから、この地震について特別のことをするわけではありません。私個人は戦後初めて行われる予備役(予備自衛官)災害派遣招集の対象になる可能性があり、そうなればできるだけのことをしてくるつもりですが、その経験も活かして、拉致された人やご家族の「あたりまえのこと」を取り返すために一層頑張りたいと思います。
| 固定リンク