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2012年1月 3日

呉克烈

【調査会NEWS1116】(24.1.3)

■呉克烈
         荒木和博

 予想以上に早く最高司令官になった金正恩ですが、父親同様画像だけで声は聞こえてきません。祖父金日成に体型から髪型まで似せたのはほとんどコメディですが、せめて服装くらいオリジナリティを出したらどうかと思います。金正日はあのジャンパーでそれなりの自己主張(?)をしていたのですから。

 ところで、今の北朝鮮人民軍の中心となっている李英浩らの、韓国流に言えば「新軍部」に疎外されている将軍の一人に呉克烈・国防委員会副委員長がいます。私はこの人に長い間関心を持っていたのですが、最初に名前を聞いたのがもう20年以上前、金日成が生きていたときのことでした。亡命した高英煥・元北朝鮮外交部課長に「次の時代の北朝鮮を担う人材は?」と聞いたときに、彼は「呉克烈大将か李鐘玉副主席」と言っていました。李鐘玉は1999年に死亡しましたが、呉克烈は今もそれなりに軍内に影響力を持っているものと推測されます。

 先日の国家葬儀委員会の序列も29位で、高くはないものの金正日と普段現地視察に同行していた現哲海(59位)や朴在京(62位)よりは遥かに上です(階級は3人とも同じ大将)。呉克烈は1979年、40代で人民軍総参謀長に就任、しかも圧倒的に陸軍の影響力の大きな北朝鮮で空軍出身という異色の存在でした。在任中政治将校の権限を弱めて人民軍の作戦能力を高めようとして解任されとされたと言われています。金日成に切られたという説と金正日に切られたという説と両方あるようですが、その後も軍に大きな影響力を持ってきました。息子が米国に亡命したとの説もあり、一方で中国と太いパイプがあるとも言われます。今後の動向が注目されます。

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