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2012年4月 6日

神奈川現地調査報告

【調査会NEWS1171】(24.4.6)

 一昨日行った神奈川での現地調査の報告です。

   1万キロ現地調査(神奈川)第7回報告
                               平成24年4月6日
                               特定失踪者問題調査会
●日程:平成24年4月4日

●調査地域:神奈川県(横浜市、横須賀市、逗子市、鎌倉市)走行距離98キロ。累計2,031キロ。

●参加者:16名
【特定失踪者家族】…斎藤良治さん(齋藤正治さんの弟)、大澤茂樹さん(大澤孝司さんの兄)、寺島六郎さん、寺島イツ子さん(寺島佐津子さんのご両親)
【家族会】…横田滋さん(横田めぐみさんの父)
【特定失踪者問題調査会】…代表荒木、副代表岡田、専務理事村尾、常務理事曽田・武藤・杉野
【救う会神奈川】…川添代表
【神奈川県】…水田理事、船本国際課長、国際課・広報課職員各1名

●調査内容

(1)河嶋功一さん(昭和57-1982-年3月21日失踪)

 最終失踪関連地点である横浜市金沢区の下宿近辺の調査。
 本人の行動などについての当時の証言についてはさらに検討されるべきと思われた。また下宿から約1キロの距離にある旧米軍小柴貯油施設も車上から視察。ここは河嶋さん失踪5ヶ月前の昭和56年10月13日に原因不明の大爆発を起こしている。現時点で関連性は不明だが、後掲のように神奈川の失踪は米軍・自衛隊との関係がみられるケースが多く、今後も留意する必要がある。

(2)八尾恵(よど号犯柴田泰弘の妻、有本恵子さんら欧州での拉致に深く関与)関連調査

 偽名で居住したマンションと経営していたカフェバー「夢見波」が入居した雑居ビルを視察。住居とカフェバーが近接していること、周囲に米軍や自衛隊施設が多数存在すること、カフェバー前の防衛大学校行きのバス停などを確認。

(3)齋藤正治さん(昭和36-1961-年10月1日失踪 当時22歳)

 当時通学していた県立横須賀高校を調査、弟・良司さんの「しおかぜ」収録。その後最後に住民票が移された逗子市の居住地跡を視察。失踪前に住民票が何度か移されていることは不自然で、特に逗子市の住所は実際に居住していたかどうかも不明。

 当時の状況を知る人が少ないことがネックだが、次の3人と時期的にも近く、それらとの関係も含めた見直しが必要と思われる。

(4)昭和36年連続失踪

 非公開Nさん(10月15日 当時20歳)、高松康晴さん(11月1日 当時20歳)、岩佐寅雄さん(12月20日 当時35歳)

 鎌倉市材木座海岸を調査。3人の最終失踪関連地点のおおよその位置関係などを確認。Nさん、高松さんの二人については失踪当時の週刊誌で取り上げられており、あわせて不審な船の目撃証言も掲載されている。

 齋藤正治さんも含めて同時期に近接した地点での失踪に注目するとともに、当時の時代背景や、記事が書かれた経緯の考察も必要。とりわけ不審船の記述もあることから、神奈川県においても海上からの侵入や工作活動の可能性も考える必要がある。

(5)寺島佐津子さん(昭和54-1979-年8月10日 当時19歳)

 米軍深谷通信施設のバス停から自宅へ向けて失踪時同様の足取りを徒歩で移動し、セカンドバッグが発見された自宅近くの現場で調査。母・イツ子さんと大澤孝司さんの兄茂樹さんの「しおかぜ」収録。

 状況などから事件が乗用車を使用した計画的な犯行である可能性が高いと感じられる。また夜には人通りや街灯の少なさなど、極めて拉致を実行しやすい場所であるという印象を受けた。警察犬の動きについて、横田めぐみさん拉致の後の現場検証との比較等も行った。寺島さん本人の失踪時の行動やバッグ発見の経緯、また米軍の通信施設に近接することからも、北朝鮮の工作活動との関連についても調査の必要がある。

【神奈川県現地調査全体のまとめ】
 今回の調査には神奈川県から拉致問題担当の水田理事ら4人が参加するなど、行政のご協力をいただいた。この場を借りてお礼申し上げたい。

 神奈川県は太平洋側で、日本海側と比較して拉致とは無関係と考えられてきた。しかし特定失踪者の調査を通じ、神奈川県においても多数の拉致の可能性があることが判明している。

 今回の現地調査を通じ、神奈川県が①横浜・川崎など大都市があり、有数の工業地帯を有すること、②米軍や自衛隊の基地、施設が集中していること、③かなり以前から不審な船が目撃されるなどの記録があること、といった地域的特徴から、北朝鮮による工作活動が行われた可能性が極めて高いという認識を新たにした。さらにそれぞれの失踪関連地域の調査においても、この特徴を反映する拉致の可能性が高いケースが多いことがわかった。

 また神奈川県に関連する特定失踪者は非公開も含め約20名ほどおり、今回の現地調査はその一部に過ぎない。

 一般には神奈川県での拉致という認識は極めて低い。この調査によって神奈川県および市町村など自治体の行政機関、そして国(県)民においても拉致問題、特定失踪者問題についての認識が高まることを期待したい。
                       以上

(写真は寺島佐津子さん失踪関連地点の警察犬が止まったあたりで横田滋さんからめぐみさん失踪当時の警察犬の動きなどを聞く寺島イツ子さん。真ん中は大澤茂樹さん)
Gumizawa


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