■渡辺秀子さん母子失踪事件の不可解
【調査会NEWS1198】(24.6.3)
現在1万キロ現地調査第8回の途中で2日の夕方帯広入りしました。
帯広では渡辺秀子さんの妹さん(つまり高敬美・剛姉弟の叔母さん)である鳥海冏子(とりうみけいこ)さんにお会いしてお話しを聞きましたが、ここではいくつも驚くべきことが分かりました。
まず驚いた、というか呆れたのは、鳥海さんに対して政府からほとんどと言って良い程何の説明もしていなかったということです。高敬美・剛姉弟については平成19年4月、警察が拉致と断定して警察庁・兵庫県警の合同捜査本部を立ち上げているにもかかわらず、その後政府からはご家族に捜査の状況も失踪がどのようになされた可能性があるかなどについて全く伝えられていません。二人は小浜市の岡津海岸から拉致されたと言われていますが、鳥海さんはそのことすら初めて聞いたとのことでした。
二人は朝鮮籍になっているため現在の認定の根拠である支援法の対象外になっているのですが、警察は拉致と断定しており、対策本部では認定被害者と同様に扱うと言っています。しかし現実には何もしていないのと同じ状態がこの5年間続いてきたということです。特定失踪者家族の場合は定期的に所轄の警察から訪問するなどの対応がある場合が多いのですが、鳥海さんにはそれすら行われていないそうです。
また、渡辺秀子さんも殺害されたという説もあるものの、確たる証拠があるわけではありません。曽我ミヨシさんが拉致されたと判断されたのは拉致被害者であるひとみさんと一緒に失踪しているからです。それであれば高姉弟が拉致であって死亡した証拠がないなら、当然渡辺秀子さんも拉致認定され、生存を前提として政府が救出の努力をして当然です(今回は鳥海さんから渡辺秀子さんへのしおかぜメッセージを収録しました)。それともまたどこかから身元不明遺体でも持ってきて同一人物だと言うつもりなのでしょうか。
詳しい対応は今後まとめますが、とりあえずこの事件に関しては以上を整理して次の3点を進めて行くことになると思います。
・鳥海さんへの政府の十分な説明を求める。私たちも明らかになったことはより積極的にお伝えする。
・渡辺秀子さんの拉致認定を求め、生存を前提として救出を進めるよう政府に求め、私たち自身もその前提で救う会北海道(藤野義昭代表)とともに対応を進める。
・支援法の認定基準を例えば「日本国民」から「日本国民及びその親族」などに拡大するよう、法改正を政府並びに拉致議連に働きかけていく。
この事件は高姉弟が警察断定となったため調査会としてもフォローが十分でなかったことがあり、私たち自身も反省するとともに、断定しながら放りっぱなしという政府の姿勢について今後厳しく対応していきたいと思います。
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