« 記者会見/第3回答弁書 | トップページ | 記者会見の中継と内容について »

2012年6月 6日

衆院拉致特における竹下珠路さんの陳述資料

【調査会NEWS1200】(24.6.6)

 去る6月1日に開催された衆議院拉致特委の参考人陳述における竹下珠路さん(古川了子さんのお姉さん)の陳述資料です。竹下さんは法律家の会の全面的支援のもと古川了子さんの拉致認定を求める訴訟を起こしました。この訴訟はすべての特定失踪者を代表した、いわゆる「チャンピオン訴訟」です。当日は他に拉致認定訴訟の訴状など裁判関係資料も配付されましたが、ここではメインの資料を掲載します。なお、タイプミスの部分は修正してあります。

 最後のところを見ると分かりますが、9・17小泉訪朝での認定以後、全ての拉致認定ないし警察断定は古川さん認定訴訟の期間中に行われており、和解後今日まで5年間、1件の認定もなされていません。本来であれば担当者の不作為が追求されてしかるべきですが、拉致対策本部の幹部の中には誇らしげに「現在認定に至る失踪者はいない」と語る人間すらいます。原告のお一人だった古川朗子さん(お母さん)は一昨年10月に亡くなりました。あらためて和解の意味が何だったのか、考えてみるときなのかとも思えます。
--------------------------------------
◎「古川了子さんの拉致認定を求める行政訴訟」目的とその経緯
(特定失踪者問題調査会発行文書引用   編集:古川了子さんを救出する千葉の会‘07.5.15)

 この訴訟は、北朝鮮当局による拉致事件について、被害者家族が日本政府に対して被害者認定を求める初めての訴訟であり、拉致被害者の救出を実現する為に裁判所が適格な判断を行うことを求めるものです。又、被害者古川了子一人についての提訴であるが、本訴訟の背景にはいまだ政府認定されていない数多くの被害者の存在があり、実質的にこれら被害者救出のための重要な一歩でもあります。

《 提訴 平成17年4月13日 》
第一回口頭弁論 平成17年6月7日(東京地裁606号法廷)
   原告側  古川了子さんの姉、竹下珠路さんからの口頭陳述
        主旨 ・ 平成9年北朝鮮の元工作員、安明進氏からの目撃証言について
・平成14年12月千葉県警本部に対し「古川了子の北朝鮮による拉致事案として捜査要請」を行ったこと。
・平成16年1月千葉県警本部に対し被告発人不明のまま「国外移送目的略取誘拐」の罪で告発したこと。
・古川了子さんの拉致認定を求める署名活動で、148,123名分署名簿を平成17年3月22日内閣府に提出したこと。   等々
 そして、「32年の歳月はあまりにも長く、本人を待ち侘びる母も命に限りがあります」 と早期救出を求め、訴えた。
    被告側  「本件裁判は訴訟要件がなく、却下すべきである」と門前払いを主張。

第2回口頭弁論 平成17年8月4日(東京地裁606号法廷)
    原告側  国の政府認定者に対する対応と未認定者に対する対応の大きな違いを厳しく指摘。
    被告側  第一回同様門前払いを主張。

第3回口頭弁論 平成17年10月20日(東京地裁606号法廷)
    原告側  門前払いを求める政府に反論を加えるとともに、具体的な証人申請をおこなった。
    被告側  「拉致の認定をしようとしまいと政府は同じように被害者救済のために努力している」と、従前同様に門前払い主張。

第4回口頭弁論 平成17年12月6日(東京地裁606号法廷)
被告側は従来通り門前払いの判決を求め、もう裁判は終結して却下の判決を出してもらいたいと要求。弁護側は被告側の主張は全く実態に合わない不当なものであり、次回から証人調べを開始するよう求めた。具体的には安明進氏、竹下珠路氏、荒木和博調査会代表、増本照明家族会事務局長の4人の証人申請。

第5回口頭弁論 平成18年1月26日(東京地裁606号法廷)
    被告側が頑なな姿勢を変えない事から進展が見られず、裁判官より今後の訴訟の進め方について相談する為に、進行協議期日を入れたいとの提案がなされ、双方同意する。

*第1回進行協議期日(非公開) 平成18年2月27日(東京地裁)
     原告側  証人尋問を実施すべきことを申し入れ。
     被告側  1、先の日朝協議で古川了子さんを含む特定失踪者のリストを北朝鮮側に示し回答を求めたこと。
          2、ご家族の要望があれば出来る範囲でこの協議について説明すること。
            が報告された。

*第2回進行協議期日(非公開) 平成18年4月12日(東京地裁)
      6月24日(水)午前10時半〜11時半 東京地裁606号法廷で、荒木和博調査会代表の証人尋問を行うことが決定された。

第6回公判 平成18年6月28日(東京地裁606号法廷)
 この裁判で初めての証人尋問として調査会荒木代表が証言台に立ち、この裁判で最も重要である点について30分という制約があったものの、誠に的確な証言をしていただいた。被告国側からも5分間ほど反対尋問があった。

*第3回進行協議期日(非公開) 平成18年7月18日(東京地裁)
     原告側から、安明進氏と竹下珠路氏に証言の機会をもってほしいと強く申し入れた。
     次回公判を9月1日11時から606号法廷で実施することが決定された。

第7回公判 平成18年9月1日(東京地裁606号法廷)
      安明進氏、原告竹下珠路氏の証人尋問を11月1日に行うことが決定された。

第8回公判 平成18年11月1日(東京地裁606号法廷)
     安明進氏、原告竹下珠路氏の証人尋問が行われた。
     安明進氏は古川了子さんを目撃したときの状況について、竹下珠路氏からは古川了子さんの失踪状況やその後の政府の対応などについて、原告弁護団からの質問に答えた。被告国側からの反対尋問は一切なし。証人調べの後、裁判長から和解に向けての協議を行いたい旨発言され、双方日程の調整をした。次回は進行協議期日(非公開)を行うこととなった。

* 第4回進行協議期日(非公開) 平成18年11月14日(東京地裁)
    冒頭に裁判長より、裁判所が和解を勧告したのは、本件で原告被告とも、拉致問題解決という同じ方向にベクトルが向いていると考えたからである旨説明があった。
    原告側は裁判所に対して、本訴訟の目的は、古川了子さんを含め拉致被害者全員の救出活動を前進させることであり、この目的に照らして適切な内容の和解(合意)であれば、受け入れる用意があるとの立場を表明した。次の和解協議期日は12月18日(非公開)となった。

*第5回和解(進行)協議期日(非公開)平成18年12月18日
*第6回和解(進行)協議期日(非公開)平成19年1月10日
*第7回和解(進行)協議期日(非公開)平成19年2月5日
*第8回和解(進行)協議期日(非公開)平成19年3月12日
*第9回和解(進行)協議期日(非公開)平成19年3月30日
     第9回の公判を4月26日に決定

第9回公判 平成19年4月26日(東京地裁606号法廷)
    国側より、拉致問題対策本部事務局の筆頭室長として、拉致問題に関連する業務を総括し、特に被害者家族に対する対応に責任を有する内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室室長・内閣府拉致被害者等支援担当室室長 河内隆氏が別紙表明書を法廷で読み上げて表明したことにより、原告は本件訴えを取り下げ、和解が成立した。

追記: 第1次小泉訪朝で曽我ひとみさん、ミヨシさん、松木薫さん、石岡亨さんが拉致認定された後に拉致認定された人々(全て本訴訟の期間中であり、和解成立後は1人も認定に至っていない)
*平成17年4月27日 田中実さん拉致認定
*平成18年11月20日 松本京子さん拉致認定
*平成19年4月12日  高敬美・剛姉弟を警察庁は拉致と断定
(日本国籍がないため拉致認定にはなっていない)

         2012.5.27

|

« 記者会見/第3回答弁書 | トップページ | 記者会見の中継と内容について »