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2012年7月 7日

答弁しない答弁書

 6月27日付で渡辺義彦議員(新党きづな)の提出した質問主意書について、昨日6日、政府から答弁書が返ってきました。ご覧になって分かるように答弁にはなっておらず、逆に言えば答弁しようのない状況であることが分かります。以下質問と答弁を項目ごとに並べてお知らせします。

 なお、今月下旬、代表荒木の著書『山本美保さん失踪事件の謎を追う-拉致問題の闇-』が草思社から発売される予定です。本件は山本美保さん一人の問題ではなく、拉致事件全体を覆う闇の象徴です。一人でも多くの方に関心を持って戴けると幸いです。

(質問主意書と答弁書)

一、当該DNA型鑑定書について、古屋圭司委員が刑事訴訟法第四十七条の例外規定を示し開示可能ではないかといった趣旨の質問をしたのに対し西村警備局長は、
 「山梨県警察におきましては、刑事訴訟法四十七条の趣旨が、捜査、裁判に対する不当な影響を引き起こすことを防止することにあるとされていることなどに鑑みまして、DNA型鑑定書の公開をこれまで行ってこなかったところであります。
 他方で、山本美保さんの事案は、私ども、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案と考えておりまして、今後とも捜査に全力を尽くす観点から、DNA型鑑定書の内容について、引き続き強い御関心をお持ちの御家族等の御理解を得るため、そして、捜査に御協力をいただくために、DNA型鑑定書の取り扱いも含めまして、どのようなことが御家族等との間で可能か、引き続き検討してまいりたいと考えております。」
 と答弁している。

(1)当職は刑事訴訟法第四十七条の例外規定があるにもかかわらず鑑定書を公開していないことが「不当な影響」を引き起こしているのではないかと考えるが、公開したときに想定される「不当な影響」とは具体的に何を想定しているのか。

<答弁書>
 お尋ねの「不当な影響」については、今後の捜査機関の活動において関係者の協力を得ることが困難になるおそれがあること等が挙げられるが、これ以上の詳細については、現在継続中の捜査の具体的内容に関わる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

(2) 「DNA型鑑定書の取り扱いも含めまして、どのようなことが御家族等との間で可能か、引き続き検討してまいりたい」というのは、御家族の希望及び同意が得られるならば、公開する可能性も存在するということか。

<答弁書>
 御指摘の答弁は、山本美保氏に係わる事案の捜査を行うに当たり、鑑定書の内容について山本美保氏のご家族等の理解を得るため、山本美保氏のご家族等に対する説明の方法等について検討していきたいとの趣旨を述べたものであり、「ご家族の希望及び同意が得られるならば、公開する可能性も存在する」ことを述べたものではない。


(3) (DNA型鑑定書の)公開の判断に当たりましては、仮に公開した場合に、今後、鑑定人の御協力を得られることがどうかなど、同鑑定書の公開が及ぼす影響等を十分考慮する必要があると考えております。」とあるが、鑑定人との間に公開をしないという合意があるということか。また、名古屋大学において鑑定を行ったのは勝又義直名古屋大教授・山本敏充同助教授(いずれも鑑定当時)であるが、西村局長答弁における鑑定人とはこの両人を指すものと考えて差し支えないか。
(4) 鑑定人が公開に同意した場合、公開する意向はあるか。

<答弁-(3)(4)について->

 鑑定人が誰であるかや当該鑑定人と山梨県警察とのやり取りの内容を明らかにすることは、今後の捜査機関の活動に支障が生じるおそれがあること等から、差し控えたい。いずれにせよ、山梨県警察においては刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第47条の趣旨等を踏まえて、お尋ねの鑑定書を公開していないものと承知している。

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