国家の力
【調査会NEWS1259】(24.11.13)
ジュネーブでの政府啓発行事の後佐藤順子さんに関する関連地点での調査を終え現在は成田に向かう機中でこの原稿を書いています(発信は帰国後になりますが)。天内さん、村尾専務理事は家族会・救う会の皆さんとすでに11日夜無事帰国しています。この間木村審議官をはじめとする対策本部の皆さん、小田部大使、岡田代理大使をはじめとするジュネーブ代表部の皆さん、今回のイベントを担当されたたオーエムシーの皆さんには大変お世話になりました。佐藤さんの調査にご協力いただいた東京及び現地の皆様とあわせ心より御礼申し上げます。
また、今回は白眞勲内閣府副大臣もかけつけて下さいましたが、副大臣によれば解散含みの激しい与野党対立の中にもかかわらず、野党側もこの問題については国会日程などで協力してくれたため参加することができたとのことでした。私たちの見えないところまで含め様々な方々が協力して下さったと思います。重ねて感謝を申し上げる次第です。
佐藤順子さんに関する調査についてはあらためて報告をまとめますが、分かってきた部分とますます分からなくなった部分があり、今までの情報の整理も含めて見直しが必要だと思っています。少なくとも事故ないし単純な事件ではないというのが自分の感触です。
政府の啓発行事については報道もされていますし、救う会のニュースでも概要が流れていますので、以下私の思いついたことのみ申し上げます。
今回特定失踪者の家族として天内みどりさんが参加されたことは非常に大きな意味があったと思います。7月の藤田隆司さんの作業部会での陳述がもちろん第一歩でしたが、今回政府高官が飯塚さん、松木さんと天内さんを同様の扱いで対応し、国際社会に訴えたことは画期的だったと思います。その意味では国際的な訴えについては特定失踪者の問題はワンステップ上がったということでしょう。
ただ、問題は、より重要な国内での扱いです。こちらは警察庁という大きな壁があるだけに、そう簡単にはいかないと思いますが、今回のこともバネにして進めていかなければと思います。ちなみに私の帰国後最初の講演は明日、山本美保さんの地元山梨県での講演ですが、これも何かの因縁かも知れません。
もう一つ、ジュネーブで国連や各国代表部が日本の訴えに応えたことには問題の深刻性もさることながら、やはり日本の国際的な地位が影響していることを感じました。正直なところ、小国が同様な問題を訴えてもどれだけ聞いてくれるのだろうかとも思った次第です。日本人は何かあると「日本はもうおしまいだ」とか、悲観的なことばかり言うことが少なくありませんが、それほど捨てたものではありません。
ただし、それは単に経済力というだけではなく、国際貢献、伝統文化、アニメや漫画、音楽などのソフトパワーから個々の日本人の行動まで含めた総合力ということでしょう。また、現在の日本だけではなく、ロシアの周辺国にとっては1世紀前に脅威であったロシアに勝った国ということもあるでしょうし、白人の支配していた国際秩序に初めて挑戦した国ということもあると思います。日米関係も色々な側面はありますが正面から戦った国同士だからこその同盟であるのは否定できないでしょう。
その意味では先人の築いてくれた貴重な財産の上に私たちは存在しているということです。ならば、全く関係ない地域で現地の人のために日本の民間人が努力したことが、やがてはね返って拉致問題の解決に何かプラスになることがあるかも知れません。日本人として恥ずかしくないように国際社会に接していくことが、回り回って自分にもはね返ってくるのでしょうし、それが全体としての「国力」と言えるのではないか。窓から見える主翼の日の丸を見ながらそんなことを考えた次第です。
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