争点
【調査会NEWS1260】(24.11.15)
11月16日解散、12月16日投票ということで総選挙の日程が決まったようです。明日からは日朝局長級協議も行われますが、間もなく報道は選挙のことが中心になるのでしょう。
その選挙の最中にも拉致被害者は冬を迎えます。北朝鮮の政治犯収容所の中にいる20万の人々は処刑され、あるいは事故や病気で死んでいきます。金正恩が「遊園地総局」などというふざけた機関を作っている間に、本来その遊園地で遊ぶべき子供たちが死んでいくという事実を隣国である日本も、本来当事者である韓国も全く無視して選挙を行っています。何とも言えない複雑な気持ちです。
もちろん民主主義ですから選挙は当然であり、最低限投票を通しての参加はしなければなりませんが、拉致被害者が取り返せないという状況にもかかわらず、それが争点になることはほとんど考えられません。拉致問題を取り上げる政党があっても多くは単に「拉致被害者救出に全力を尽くします」というだけでしょう。そして新しい政権ができてもまた「一所懸命やっています」ということの繰り返しでは年末まで時間のロスをするだけです。
本当にやる気があるなら、例えばこれまでの拉致問題対策本部が救出という意味での成果を出していないのですから一旦解体し、警察と外務省が中心になっている拉致被害者救出の体制を防衛省・自衛隊を中心としたものに造りかえるという政策は出せないでしょうか(もっともそんなことになったら一番抵抗するのは当の防衛省・自衛隊でしょうが)。
あるいは制裁に問題があるというなら正々堂々と「対北制裁はやめる。北朝鮮と国交正常化することによって拉致被害者の帰国を実現する」という政党があっても良いかも知れません。さらに極論をするなら「どうせ助けられないのだから拉致被害者は見捨てる。日朝国交正常化を実現する」と正直に主張する政党があっても良いと思います。それだけ政策が分かれていれば国民も選択しやすいはずです。しかし実際は皆「一所懸命やります」の合唱で、これでは選択のしようがありません。
私達にとっては政治が空白状態になっても何とか拉致問題を進めるという努力をするだけです。自分自身が選挙に長い間かかわって来た人間であり、このような時期に候補者や支援者の心理状態がどうなるかはある程度想像つきます。その意味では人ごとのようですが、人の命が関わっているときに、それをさしおいて選挙をやっているという事実だけは忘れないでいただきたいと思う次第です。
| 固定リンク