拉致被害者救出の構造的な問題について
【調査会NEWS1264】(24.12.5)
間もなく北朝鮮人権週間です。この時期はイベントが各地で開催され、私も特に週末は結構あちこちに行っています。最近では自治体による啓発行事が年々増えており、それ自体進歩であることは間違いないのですが、イベントはそれをやるために大変な労力を要するので、逆にイベントが目的化してしまうこともあります。この点は各地でご尽力いただく方々というより、出向く私たちが注意しなければならないことです。
ところで、救出運動が始まってからほぼ16年が経過しました。今年こそはということで、家族会・救う会では「勝負の年」と位置づけ、私たちも今年中に一歩でも進展を、と思いながら今の所結果につなげられないでいます。
その意味では私たち自身も活動の内容を常に見直して、より効果があるようにしなければならないのですが、ちょうど選挙をやっているところですし、政府の体制について、あらためて根本的な問題点を書いておきたいと思います。
現在政府の拉致被害者帰国(救出、ではなく)への枠組みは、
というのがその基本になっています。しかし、特定失踪者の場合ほとんどが長期間を経過しています(通常の事件なら5年も経過すれば相当な長期でしょう)。証拠等の問題や漆間警察庁長官当時の「三原則」に足が縛られ、結局小泉訪朝で北朝鮮が拉致を認めたとき以後、政府による拉致認定は2人のみに留まっているのが現状です。
そして認定しても「解決済み」と言っている北朝鮮に対して話し合いをするだけですから当然結果は出てきません。9・17のときは様々な国内外及び北朝鮮の要因が良い方に作用した訳ですが、今後もそれを待っていたら問題は何時まで経っても解決しません。1人や2人幸運に帰ってくることがあっても大部分は事実上の見殺しでしょう(被害者や家族が皆死んでしまうことが「解決」だというなら別ですが)。
ならばこの15年間、特に小泉訪朝以後の10年間、結果を出せていないこの構造は根本的に見直すべきではないでしょうか。選挙では拉致問題に言及する候補者は僅かですし、また、「やりますか」と聞かれればほとんどの候補は「一所懸命やります」と答えるでしょうから差別化のしようがありません。選挙後もまた政界再編が続いていく可能性があります。本気の議員が10人もいれば国は動かせます。「やります」だけではなく、どうやるかについて語る候補者が一人でも増え、そしてそれをバッジを着けた後で必ず実現してもらいたいと思う次第です。
この問題については今後も時折書いていきたいと思います。
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