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2013年1月28日

特定失踪者家族と大臣の面会

【調査会NEWS1300】(25.1.28)

 ちょっと古いニュースになってしまいましたが、先週金曜、1月25日に特定失踪者家族18人と古屋圭司・拉致問題担当大臣との面会が行われました。西村康稔内閣府副大臣、亀岡偉民政務官も同席しました。

 終了後の記者会見の模様を(株)NetLiveのご厚意で同社のサイトに載せてあります。オンデマンドで見ることができます。

http://www.netlive.ne.jp/archive/SII/index.html

 参加された家族は下記の通りでした(参加家族・失踪者氏名・失踪者との関係・家族居住地 失踪時期順 敬称略)。

天内みどり 木村かほる 姉 青森
西島恵美子 井上征子 妹 大阪
花牟礼薫 日高信夫 家族代理 鹿児島
早坂胞吉 早坂勝男 弟 千葉・宮城
前山光秋 園田一・トシ子 娘婿 鹿児島
生島馨子 生島孝子 姉 東京
竹下珠路 古川了子 姉 千葉
大澤昭一・茂樹 大澤孝司 兄 新潟・神奈川
矢島文恵 荒谷敏生 妹 東京
池田欣一 山下春夫 家族代理 福井
藤田隆司 藤田進 弟 埼玉
高野美幸 高野清文 妹 東京
村岡育世 田中正道 妹 鹿児島
植村照光 植村留美 父 大阪
安西茂雄 安西正博 父 栃木
澤香苗 宮内和也 義兄 福井

 調査会からは代表荒木他5名が参加し、後掲の要請文書を大臣にお渡ししました。また、家族を代表して大澤昭一さんから大臣に署名(30,221筆…当日発表したものに若干計算間違いがありました)を提出しました。

大澤孝司さんと再会を果たす会 18,850筆
中村三奈子さんをさがす会 7,070筆
山口幸子さん(大屋敷正行さん姉) 1,770筆
日本青少年(香川県) 1,151筆
救う会福岡(加藤久美子さんに関する署名) 1,380筆
合計 30,221筆

 ちょうどこの日、朝の閣議で対策本部の強化等が決められましたが、要請文にあるとおり、現在の仕組みのままで陣容だけ大きくしても効果は薄いと言わざるを得ません。今後もシステム自体を変えていくための努力を続けて参ります。よろしくお願いします。なお、要請文書の第1項目で「図の赤丸」となっているのは荒木のブログに掲載してある下記の図です。これについては古屋大臣に確認を取りました。

http://araki.way-nifty.com/araki/2013/01/post-9350.html

(要請文書)

平成25年1月25日

内閣総理大臣 安倍晋三様
拉致問題担当大臣 古屋圭司様 

       特定失踪者問題調査会代表 荒木和博

     拉致問題解決に関わる要請

1、認識についての確認

 特定失踪者のご家族が最も心配しているのは、拉致認定されている被害者だけで幕引きになるのではないかということです。総理・古屋大臣ともに「すべての拉致被害者」と強調しておられることからも、未認定であることをもって除外してはいないと思いますが、救出の対象となるのはご家族からの要請がない方、身寄りのない方も含めてすべての拉致被害者であることは明らかです。つきましては図の赤丸の中が日本政府の責任を持つ拉致被害者であるということをご確認願います。

2、枠組みの再構築について

 現在の①警察による捜査→②内閣による支援法を根拠とした拉致認定→③外務省の交渉、という基本的な枠組みはこの10年間ほとんど効果を挙げていません。この仕組みをそのままにして対策本部の予算やスタッフを強化しても効果は限定的なものでしかないはずです。今次政権交代をきっかけに一旦対策本部の機構を白紙にして再構築されるよう希望します。

 なお、枠組みの問題と関連しますが現在拉致被害者の救出にはほとんど防衛省・自衛隊が関与していません。すべての可能性を考えたとき、情報収集や非常時の邦人保護等、積極的に活用すべきなのは当然です。新たな枠組みの中で明確な位置づけをされるよう望みます。その第一歩として外部及び自衛隊内部に対する広報啓発活動として護衛艦・自衛隊機・車両等にブルーリボンのマークを掲示されるよう要請します。

3、拉致認定について

(1)藤田進さん(埼玉)

 川口市から昭和51年に失踪した藤田進さんの弟である藤田隆司さんは昨年12月18日、埼玉県警の担当者から、平成16年報道機関が入手し、藤田進さんであるとされてきた写真について、警察による鑑定結果3点を提示されました。その内容は以下のようなものでした。

①警察庁・科研による鑑定(平成16年8月11日付) 結論は「同一人物と考えられる」
②埼玉県警による鑑定(平成16年10月4日付)結論は「同一人物と推定される」
③写真の合成・加工の有無に関する鑑定(平成17年5月10日付)結論は「合成・加工の痕跡は認められない。
写真の印画紙はベルギーのアグファ製である」

 藤田さんの写真が最初に報道されたのは平成16年8月1日、調査会として記者会見・政府要請を行ったのは翌2日です。それから間もなく警察は鑑定をやっていたにもかかわらず、その結果が家族に伝えられたのは8年を経た昨年12月でした。このような重大な情報の秘匿は「拉致問題を政府は隠しているのではないか」という国民の疑問をさらに強くするものと言えます。本件に関し次の諸点について明らかにしていただきたくお願い致します。

①なぜ家族への報告が遅れたのか。
②藤田進さんの写真がそのように鑑定されたなら、当然同様の鑑定が行われているであろう同じ情報源からの加瀬テル子さんと思われる写真についての鑑定結果はどうだったのか。
③同様他の写真で特定失踪者や認定被害者で「同一人物と考えられる」ものはないのか。
④鑑定結果からして藤田進さんが拉致被害者として認定されるのは当然であると考えられるが政府としてはどのように対応するのか。




(2)高姉弟及び渡辺秀子さん

 高姉弟は第1次安倍内閣当時の平成19年4月、警察が拉致と断定しているにもかかわらず、支援法の国籍規定のため拉致被害者となっていません。しかしこれは手続き上の問題であり拉致は明らかです。速やかに法改正をして認定被害者とするよう希望します。また渡辺秀子さんについては子供二人が拉致と断定されており、かつ本人の消息が分からないのですから、曽我ミヨシさんと同じ扱いで、政府としては当然拉致認定されるべきと考えます。是非とも迅速な対処をお願いします。

4、警察の発表したリストについて

 先般救う会徳島・陶久代表の情報開示請求に対し警察庁は867人プラス1人という人数を発表しました。これについては関係各方面で非常に強い関心を寄せています。つきましては以下のように明らかにしていただきたくお願いします。

(1)867人のうち調査会の公開非公開のリストと重複するのは誰であるか、明らかにして下さい。

(2)867人が失踪年別に何人ずついるのか明らかにして下さい。

(3)プラス1人が福留貴美子さんであることは明らかですが、警察がこの案件をなぜ別扱いにしているのかを明らかにして下さい。

(4)868人と政府認定被害者17人の数の差は極めて大きいと思いますが、この間を埋める(拉致であれば認定する、拉致以外で失踪した人はリストから削除する)具体的な方法を提示して下さい。

5、山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件の真相究明について

 本件は現在日弁連への人権救済申立が行われ、審査中ですが、警察の発表に重大な矛盾があり、拉致問題を隠蔽しようとするものであることは明らかです。本件は拉致問題全体に関わることであり、新政権には一刻も早くこの問題の真相究明を実現されるよう要請します。特に古屋大臣には衆院拉致特委において刑事訴訟法の例外規定からDNAデータの公開を求めて下さった経緯もあり、これを一刻も早く実現されるようお願いする次第です。昨年12月26日には最高裁司法研修所がDNA鑑定など科学的証拠を刑事裁判で扱う注意点について研究報告書を発表しましたが、そこでも「科学万能」という過度の思い込みが公正な評価をゆがめる危険性があり、他の証拠との総合評価が必要であるとしています。本件の真相究明のためぜひ踏み込んだ対応をお願い致します。

6、しおかぜの中波送信実施について

 北朝鮮の国内向けラジオ放送は中波及び短波で送信されており、北朝鮮内でのラジオ保有数が300万台以上との情報もあります。帰国した拉致被害者や脱北者の情報からも閉ざされた北朝鮮の中で拉致被害者は希望の光としてラジオを聞いていることは明らかです。短波、中波の受信機の分類は把握できていませんが、中波帯を中心としたラジオの方が入手も容易である事は言うまでもありません。

 調査会では、出来るだけ多くの情報を伝え救出に繋げる努力が必要と考え、これまでも中波による放送を模索し続けて来ました。第1次安倍政権では政治決断により「しおかぜ」の国内からの発信を実現した経緯があります。この際「しおかぜ」の中波放送実施に向けて積極的なご協力をお願いする次第です。

7、大臣の失踪現場の視察について

 既に大臣は鹿児島の市川さん・増元さん拉致現場を訪れています。これは大変重要なことと思います。ぜひ特定失踪者についても失踪関連現場を直接訪れていただくようお願いする次第です。特定失踪者問題調査会の現地調査にご同行いただければ大変ありがたいですが、当然ながら大臣が希望の場所・日程があれば調査会としても調整をして可能な限り対応します。

8、懸賞金による情報収集について

 未解決の刑事事件について懸賞金をつけて情報を集めているように、懸賞金による情報収集を実行して下さい。対策本部の情報収集にかかわる費用が相当額未消化という状態でもあり、ぜひ活用いただきたくお願いします。

          以上

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