【調査会NEWS1308】(25.2.27)
前にお知らせした三宅博衆議院議員(元調査会常務理事)の質問主意書に対して26日、政府からの答弁書が送付されました。
内容を元の質問と対比して以下に掲載しますが、「お答えを差し控えたい」の連発で、事実上何も答えていませんし、明らかな嘘もあります。正直なところ安倍政権になって何が変わったのだろう、と疑問を感じる内容です。
個別の内容については色々と突っ込み所がありますので、再質問等をしていけば意外なことが明らかになるかも知れません。今後三宅議員とも相談して対応を検討していきたいと思っています。
なお、明日発売の月刊「正論」4月号に「拝啓安倍総理殿 拉致被害者救出へ『一線』を超える覚悟を」と題する拙稿が掲載されています。本件と重ね合わせてご一読いただければ幸いです。
(三宅議員の質問主意書)
特定失踪者・拉致被害者家族への情報開示に関する質問主意書
拉致問題解決のためには情報開示が極めて重要である。拉致問題について政府はこれまで家族に配慮してきたことを度々強調しているが、現実には家族へは重要な情報は提示されず、一方で情報の意図的な操作と言わざるを得ない例が見られる。このことが国民が拉致の実態を知ることを阻害し、ひいては拉致問題の解決を長引かせている一因にもなっていると当職は考える。その視点から以下の通り質問する。
1、藤田進氏らに関する情報の開示について
埼玉県川口市から昭和五十一年二月に失踪した藤田進氏について、平成十六年に報道機関が入手した脱北者の写真が、進氏と「同一と考えられる」と専門家によって鑑定され、家族は特定失踪者問題調査会の荒木代表らと政府に真相解明を要請するとともに、当該写真を政府当局に提供した。当職は昨年十二月十八日、進氏の弟藤田隆司氏が埼玉県警の担当者から、警察によって行われた当該写真の鑑定結果三点を提示されたと聞いている。
(1)このとき家族に開示したのは、どの機関が行った鑑定のどのような情報か。
(2)藤田進氏の写真が最初に報道されたのは平成十六年八月一日、家族と特定失踪者問題調査会が記者会見・政府要請を行ったのは翌二日である。それから間もなく警察は鑑定を行っていたにもかかわらず、その結果が家族に伝えられたのは八年後である。なぜ鑑定から家族への開示まで八年余を必要としたのか。
<(1)(2)についての政府答弁>
各都道府県警察においては、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者の親族等から情報提供の依頼があった場合等には、捜査・調査に支障が生じないよう、適切な時期に適切な範囲において、捜査・調査の状況を説明しているものと承知しているが、政府としては、当該説明の具体的な時期及び内容については、これを明らかにすることにより、今後の捜査・調査に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。
(3)藤田進氏の写真が鑑定されたとすれば、同じ情報源からもたらされた加瀬テル子氏と思われる写真についても同様の鑑定を行ったのか。行ったとすればその鑑定結果はどうだったのか。またその結果は家族に伝えたのか。
(4)同様に他の脱北者等からもたらされた写真で、特定失踪者等拉致の疑いのある失踪者や認定被害者との間で鑑定を行ったものはあるか。あるとすればその中に同一人物の可能性があるものはないのか。
<(3)(4)についての政府答弁>
政府としては、拉致問題の解決に向けて必要な捜査・調査を行っているところである
が、その具体的な内容については、これを明らかにすることにより、今後の捜査・調査に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。
(5)鑑定結果からして藤田進氏が拉致被害者として認定されるのは当然であると考えられるが、なぜ認定に至らないのか。
<(5)についての政府答弁>
藤田進氏に係る事案については、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として、関係機関が連携を図りながら、捜査・調査を推進しているが、これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていない。
2、山本美保氏に関する情報の開示について
(1)山形県遊佐海岸に漂着した身元不明遺体について、山梨県警は平成十六年三月五日午後五時四十五分、「DNA鑑定結果」を山本美保氏の家族に伝えた。ところが報道機関の一部がこれとほぼ同時刻の午後六時のニュース番組において、山形の遺体が山本美保さんであると報道している。これは午後七時に行われた丸山潤警備一課長の記者会見の前であり、明らかに不適切な情報漏洩と言わざるを得ない。なぜ家族への説明、記者会見より前に報道機関に情報が流れたのか。警察の認識を伺いたい。
<(1)についての政府答弁>
報道機関各社は、取材活動に基づいて得た様々な情報を、各社の判断において報道しているものと承知しており、各社の判断の根拠も承知しておらず、お答えを差し控えたい。
(2)昭和五十九年六月に山梨県甲府市から失踪した山本美保氏について、山梨県警は平成十五年四月二十六日をはじめとして四回にわたり家族に対して山形県遊佐町海岸に漂着した身元不明遺体との照合を行うと説明したと主張しているが、山本美保氏の家族は県警からそのような説明を受けたことを全く記憶していない。家族にとっては特定の遺体との照合という極めて重要な問題であり、記憶していないとは常識では考えられない。したがって県警から家族に対する説明はなされていないと理解するのが適当と思われるがいかがか。また警察が家族に対して説明したことについての法的証拠(裁判等が行われた場合提出可能なもの)は存在するのか。
<(2)についての政府答弁>
各都道府県警察においては、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者の親族等から情報提供の依頼があった場合等には、捜査・調査に支障が生じないよう、適切な範囲において、捜査・調査の状況を説明しているものと承知しているが、政府としては、当該説明の具体的な時期及び内容については、これを明らかにすることにより、今後の捜査・調査に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。
3、拉致被害者の生死にかかわる情報の伝達について
平成十四年九月十七日、小泉総理大臣(当時)訪朝時、政府は横田滋氏ら拉致被害者家族に対して北朝鮮からの死亡・生存にかかわる情報をそのまま確定情報として家族に伝えている。
(1)今回のアルジェリアにおけるプラント襲撃事件では、被害者・人質の生存・死亡の確認を行ったあとに家族へ伝えられた。家族への配慮を行うなら、犠牲者及びその家族への対応と同様、死亡・生存の確認をした後に伝えるべきであるが、北朝鮮の情報を確定情報として伝えたのはなぜか。
(2)家族に伝えるのとほぼ同時刻、報道機関は一斉に「死亡」「生存」の情報をニュース速報で流した。これは政府の情報管理に瑕疵があったものと思われるがいかがか。
<(1)(2)についての政府答弁>
政府としては、北朝鮮側から提供された情報をできるだけ速やかに伝えるため、北朝鮮側から提供された情報であり我が国政府として拉致被害者の安否を確認したものではないとの前提で、拉致被害者の安否に関する情報を、拉致被害者家族に対して伝えるとともに、報道機関に対しても情報提供を行ったものである。
(3)北朝鮮から伝えられた情報のうち、「死亡」の日付のみが家族に伝えられなかった理由は何か。
<(3)についての政府答弁>
死亡年月日とされる情報は、北朝鮮側から非公式な形で提供されたものであり、北朝鮮側の正式な通報には含まれていなかったものであったため、平成十四年九月十七日には、拉致被害者家族に対して伝えなかったものであるが、その後、拉致被害者家族には全ての情報を伝えるべきであると考え、同月十九日に、死亡年月日とされる情報を、拉致被害者家族に対して伝えたものである。