土台人
【調査会NEWS1310】(25.3.6)
宣伝めいた話になりますが、私が勤務している拓殖大学海外事情研究所で発行する月刊「海外事情」の2月号に「西新井事件捜査を顧みて」という論文が掲載されています。警察OBの方の手による論文ですが、その副題は「北朝鮮帰還事業で北朝鮮に帰った人々は対日・対韓国工作に利用された」というもの、実際は取り締まる対象だった「土台人」、つまり帰国した家族を人質として利用され、北朝鮮の工作に協力させられた在日について書かれたものです。この方面に関心のある方、特に外事警察の関係者の方にはぜひ読んでいただきたく思います。
先日守る会の前代表である三浦小太郎さんが同会のホームページで映画「かぞくのくに」(ヤン・ヨンヒ監督)のDVD発売の紹介をしていました。この映画では主人公(監督自身がモデル)の女性に一時帰国で北朝鮮から戻った帰国者の兄(井浦新)が北朝鮮の工作活動に協力できないか(もっと間接的な言い方だったと思いますが)と遠慮がちに語るシーンがあります。
主人公は断り、兄もそれ以上は言わないのですが、北朝鮮を出てくるときに家族の誰かを包摂しろ指示されており、成功しなかったことによって北朝鮮に戻れば罰せられるという設定なのだと思います。一時帰国というのはあくまで映画の上での話であり、実際にはそのようなケースはほとんどないのですが、帰国した家族を人質にされて工作活動に協力させられたり、カネを巻き上げられた在日はどれだけいるか分かりません。私たちはその現実も受け止める必要があると思います。
一方で、そういうことをする体制の下部機関である朝鮮総連や、さらにその指導を受けて子供たちに北朝鮮を支持する教育をする朝鮮学校というのは、私自身はこれだけ拉致問題が明らかになり、北朝鮮の人権侵害が明らかになってもまだ日本に存在すること自体が異常ではないでしょうか。
「朝鮮学校への補助金は子供の人権のために支給すべきだ」という人がいます。そうなっている一因には本質をちゃんと見ないで、「拉致事件が解決していない」「核やミサイルの開発をしている」といった、ある意味別件での措置にするからだと思います。それ自体の存在の問題点から考えても朝鮮総連はもっと徹底して取り締まるべきであり、朝鮮学校に補助金を支給したり無償化の対象にする措置はすべきではありません。
結局何事もそうですが、本質的な問題を避けていては解決につながらないのだと思う次第です。
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