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2013年4月30日

私の政治手帖

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 西尾末廣・民社党初代委員長の著書です。容量の関係で冒頭のところだけ以下に載せておきます。全部スキャンしたファイルはご希望の方に添付ファイルで送りますのでご関心のある方はメールをいただければ幸いです。

「nishio.pdf」をダウンロード

 小さな本ですが、戦後政治史の一級資料だと思います。冒頭には天皇制の問題について西尾さんが「この混乱期における天皇存在の重要なる意義については、私は確信を持ってこれを認めていたのである。私のかかる現実主義は、だからといっておざなりのその場その場のご都合主義では決して無いのである」と書いている部分があります。当時、戦前大政翼賛会にいた人間が多数占領軍に迎合したと言われますが、こういう風景は今も似たようなものかも知れません。社会主義者と皇室の問題については民社党本部の先輩でもある梅澤昇平・元尚美学園大教授の『皇室を戴く社会主義』(展伝社)にも詳述されていますが、皇室というのは保守の専売特許ではなく、むしろ私たち社会主義者こそそれを護っていくべきではないかと思います。

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2013年4月28日

「調査会認定拉致疑惑失踪者」全員が警察の捜査対象

Ver16
【調査会NEWS1336】(25.4.28)

 昨年警察の発表した拉致の疑いで警察が捜査・調査しているリスト868人(その後4人が国内で所在確認され現在864人)について、先日来古屋拉致問題担当大臣に調査会のリストとの照合をお願いしていました。衆議院予算委員会でも三宅博議員が質問していましたが、一昨日(26日)古屋大臣から連絡があり、公開されている270名(調査会委認定拉致疑惑失踪者、これまで1000番代リスト及び0番代リストと言ってきた失踪者)は全員が864人の中に含まれているとのことでした。

 また、確認を依頼した非公開の特定失踪者129人のリストについては7人が入っていないがそれ以外の122人は入っているとのことでした。確認を依頼したのはご家族に直接コンタクトしている事例のみで、残りの約70人については独自に情報を収集し、ご家族との接触がなされていないケースです。

 拉致認定自体はこの10年で2人しかされていませんが、これは警察の捜査によって認定をするという根本的な問題点によるもので、拉致の疑いがあって警察が調べているという意味で言えば調査会認定の失踪者は全て入ります。政府の方針にも「認定未認定にかかわらず」となっており、今後政府認定を飛び越して救出へと進むことが早急に実現されなければなりません。
(ポスターには270人全員と政府認定者・救う会認定者も掲載されています)

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2013年4月23日

新ポスター・ビラ27日お目見え

Ver16
【調査会NEWS1335】(25.4.24)

 新しい調査会ポスター・ビラの製作が進められており、27日午前の中央メーデー会場での出店、午後の日比谷公会堂での国民大集会でお目見えします。ポスターの画像は代表荒木のブログ(このブログ)に掲載してありますのでご覧下さい。今回は写真の並び方を変え、「拉致濃厚」(1000番代)、「拉致疑惑」(0番代)、「政府拉致認定」、「警察拉致断定」「救う会認定」の順にしてあります。この写真の掲載されているすべてをまとめて「調査会認定拉致疑惑失踪者」ということになります。

http://araki.way-nifty.com/araki/2013/04/27-f178.html

 チラシは片面がこのポスターを縮小したもので、もう片面の中には「しおかぜプロジェクト」の説明と「しおかぜ」に寄せられた家族メッセージの抜粋が入っています。

 ところで、チラシ作成のためにメッセージを抜粋するのは正直なところしんどい作業でした。実際には僅かしかビラには掲載できませんので、途中まで絞り込んだものを下に載せておきます。これはそれぞれのご家族のメッセージですが、ある意味全てのご家族のメッセージでもあります。一度お読みいただけると幸いです。

<「しおかぜ」に寄せられたご家族のメッセージから>

●今こちらは桜の頃が過ぎ、つつじ、あやめ、花見月の美しい花が満開です。置いていったビデオテープ、カセットテープ、レコード等、預かっています。早く帰ってきて、手入れをしてください。こちらもいろいろありますが、みな健康でゆっくり静かに生活しています。いないのはあなただけです。

●私はお姉ちゃんが大好きでした。そして今はお姉ちゃんとの再会の日を待ちわびています。お姉ちゃん信じて下さい。こちらには、お姉ちゃんたちを助けようと力を尽くしてくださる方々がたくさん居ます。きっと会える日が来ます。

●お母さんは昨年天国に召されてしまいました。どんなに再会を待ち望んでいたか知れないのに、この世に引き止められずゴメンナサイ。

●帰ってきたら秋田へ行って、父(オド)のお墓参りに行こうね。

●お前は四才の時にお母さんを病気で亡くした。今でも母さんは天国から父さん以上に心配しているぞ。また姉ちゃんも失踪してからは、一日たりともたった一人の弟を忘れたことはないぞ

●あなたが高校三年の時抱いてくれた私の赤ん坊は、もう三十三歳の母親となり、既に十一歳の娘の九歳の息子がいます。

●姉ちゃん 会いたいです。一緒にご飯食べたり、買い物に行きたいです。お風呂にも入りたいです。父ちゃんも母ちゃんも亡くなりました。姉ちゃんのこと、とても心配しながら 生きていると信じながら

●あなたが居なくなって今年の九月で十五年になります。十八歳で居なくなって今、満三十二歳ですね。この年月は娘として女として、かわいくて、きれいで、はつらつとした青春をおくれているはずの期間ですがあなたは今、どこで何をしているのでしょうか?

●あの日、四歳の時に突然いなくなって、それから今までみんなで一生懸命探しています。まだ見つけてあげられなくてごめんね。お姉ちゃんも弟も帰りを待っています。妹もいるんだよ。

●今でも高等学校から同窓会の案内が届きますよ。帰ってきてクラスメートと語り合うのもすばらしいと思います。その日が早く来るように祈っています。

●家族で佐渡にいったとき、育てたミニトマトは毎年同じように真っ赤な身を付けて待ってるよ。

●昨年の八月十五日に元気でいるもうすぐ帰れそうだからとはっきり言ったよね。夢で会ったときの言葉だがお母さんは信じているし、本当だと思って待っていますよ。

●元気でいますか。二十四年前、私に「アパートを引き払い実家に移る」「もう少し残る」とただそれだけ電話で言い残したまま、私の前から突然姿を消してしまいました。以後夜も眠れない日々が続いています。

●そちらでは、どんな生活をしているの、結婚して子供は何人いるの、自分の好きな美容師はやっているの、お母さんは大変心配だし、知りたいし会いたいし、声も聞きたいし、孫にも会いたいです。

●兄さんが家を出てからの母は、仕事しごとでつらさを忘れようとしていました。母の人生は兄さんの帰りを待つだけの悲しい人生だったと思います。兄さんと会った時、父や母の話、いっぱい話します。早く会える日を楽しみに待っています。

●居なくなる五日前に電話で「今度のお正月は帰れないので、五月の連休には帰ります」と言ってましたね。まさかそれが最後の声になるなんて未だに信じられません。あれから一日たりとも忘れた事はありません。

●お父さんだよ。急にいなくなってびっくりしています。もう二十年になりますね。
お母さんも始めは何があったのかと放心状態でしたが、いまは何とか元気で私と一緒に貴女といつ会えるかと首を長くして待っています。早く貴女のコーヒーを飲みたい。

●あなたの好きな煮しめやバラズシなどをあなたがいなくなった十七日には毎日作って待ってます。いつでも帰って来てください。

●子供たち五人もそれぞれ元気で、優しかったお父さんお母さんが心配しないように、一生懸命頑張っていますよ。そしてお父さんお母さんが待ち望んでいた孫も九人もいますよ。いまではひ孫も五人、大家族になって、お父さんお母さんの帰りを待っています。

●幼心に母さんが寝ずに電気もつけず電話の前で泣きながら姉ちゃんからの連絡を待っている姿がいまでも鮮明に頭に残っています。父さんも仕事が終わってからも、車を走らせ捜していました。でも姉ちゃんは見つかりませんでした。

●つらいこと一杯あっても、負けずに頑張って。帰ってきた時 全部聞くから。絶対に、聞いてあげるから。約束しよう。母さんは、人々のやさしさ、思いやりを話してあげるから。軽はずみな行動はしないでよ

●私らは死んだとは思わない。会社にも慣れ、仕事が面白くなったというものが、自ら死を考えるということはない。

●がんばってね。元気でいてくださいよ。お願いします。

●あなたが北朝鮮にいるということがわかって、みんなで救出のための運動をしていますが、まだあなたを助けることができません。ごめんね。でもきっと必ず日本に帰れる日が来るから、希望を捨てずに、ガンバレ!

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 先程の調査会ニュースの続きです。

 左が風船や機材を積んだ李ミンボクさんのトラック。周囲を警察の車が囲んで動けないようにしています。車を出そうとしたらバッテリーが上がっていてエンジンがかからないとのこと。米国や中国に4か月行って戻って来てもかかったエンジンが今日に限ってかからなくなっており、バッテリーを充電しようとしたら今度は警察の車が周囲に張り付いて動けないようにしているそうです。

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朴槿恵政権、風船活動を妨害

【調査会NEWS1334】(25.4.23)

 以下は先程韓国の基督北韓人連合李ミンボク代表から届いたメールです。

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 今日4月23日、風向きが良いので風船を飛ばそうとしましたが、所轄の抱川警察署保安課長ら刑事たちが朝から家にやってきて飛ばすなと言うのです。

 4月13日にも風向きが良かったので飛ばそうとしたのですが、警察が総動員されたかのような状態で道を塞がれ説得されました。「金日成の誕生日である4月15日の太陽節までは自制してくれ」というのでこのときは応じました。オボイ(父親)連合(保守系団体)と拉北者団体が公開的に太陽節風船行事をすると言うので北朝鮮がそこを打撃すると公言した状況であったからと理解しました。

 しかし、太陽節が過ぎた今も妨げるというのは理解できません。なぜかと刑事に聞くと「北朝鮮の挑発のためだ」とのことです。そんな挑発はいつもやってきたことで、今の戦争するとかいう言葉の爆弾は99パーセント内部用であって問題がないのに…。

 特に私たちの団体は静かに飛ばす団体であって何の問題もないはずなのに、です。現在警察と対峙状態ですが、このような問題を記事にして公論にしていただければと思います。朴槿恵政権になってこんなことでは話になりません。
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 李ミンボクさんは脱北した科学者で、民間人で風船を使ってビラを送るプロジェクトのパイオニアでもあります。私たちのバルーンプロジェクトでは全面的に協力をいただいており、こちらからも関係者が何度も参加しています。

 風船でビラを飛ばすというと、デモンストレーションのように集会で気勢を上げて飛ばすシーンがよく報道されますが、李ミンボクさんはイベントには関心がなく、風の良い時を狙って機材を積んだ車両を出し、適当なところを選んでビラを飛ばします。私自身も一緒に行ったものの風向きが悪くて飛ばせないまま日本に帰ったことが何度もあります。したがって北朝鮮が「打撃してやる」などと言っても場所が分かるはずがなく、実際にこれまでもそのようなことは全くありませんでした。

 これを阻止しようとするのは、北朝鮮が戦争をするといって一番大騒ぎしていたときに対話を呼びかけた朴槿恵政権の姿勢とも一致します。国際社会が強い姿勢を示しているのに対話を呼びかけたかと思えば閣僚の靖国参拝を理由に外相の訪日を取りやめ、李明博政権のとき何の妨害もなかったビラ撒布活動を妨害したり、韓国政府は何をしようとしているのか非常に疑問に感じます。
(写真は数年前のもの。夕闇のなか北朝鮮に向かって飛ぶ大型風船)

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2013年4月22日

時事評論石川

 「時事評論石川」708号(4月20日付)に寄稿させていただきました。あちこちで書いているのですが、先の大戦の戦争指導と拉致問題への政府の対応は極めて似たものがあり、私たちは教訓を得て現実に活かしていかなければならないと思います。
 英霊への感謝・顕彰と作戦を立案した人間の責任は区別されるべきであり、拉致問題でも同じ政府の人間でも一所懸命やっている人間とそれを自分のために利用している人間を一緒にすべきではないと思います。そして何より「戦略の失敗を戦術で補うことはできない」という原則を忘れてはなりません。

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1万キロ現地調査第15回(福岡)について/解説

【調査会NEWS1333】(25.4.22)

 次回の1万キロ現地調査(第15回)は5月25〜26日、福岡県を中心に行う予定です。25日土曜は北九州市(加藤久美子さん他)、26日日曜は福岡市(三浦和彦さん・波多野幸子さん他)周辺を調査し、午後福岡市内で報告会(記者会見及び家族懇談会を兼ねる)を開催する予定です。

 詳細については後日お知らせします。

■先日の理事会決定についての簡単な解説を代表荒木がCS放送「日本文化チャンネル桜」でお話ししています。内容はYouTubeでご覧いただけます。ご関心のある方はのぞいていただけると幸いです。

 なお同放送では代表荒木、専務理事村尾他調査会関係者がたびたび出演してお話ししており、その内容は全てYouTubeでご覧になれます。

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2013年4月16日

■しおかぜネットワーク

【調査会NEWS1332】(25.4.16)

 しおかぜネットワークについて、次年度(5月以降の25年度分文書通信費支払い時期)から一部変更になります。

 参加組織には既にお知らせしていますが、1月19日の調査会理事会でしおかぜネットワークについて議論致しました。しおかぜネットワークは調査会をハブにして緩やかなネットワークを作ることを目的として立ち上げたものですが、「支援する会」との重複もあり、何らかの整理の必要があると思われました。その後関係各方面にご意見を求めて、次のようにすることとなりました。ご理解賜りますようお願い申しあげます。

1、文書通信費の廃止 現在いただいている文書通信費を次年度以降(平成25年5月以降の請求分)から廃止し以後は請求を行わないこととします。

2、郵送ニュース「ひびき」について 特定失踪者家族・しおかぜネットワーク参加組織・関係者に郵送しているニュース「ひびき」はコスト削減のため郵送を中止し、メーリングリストの添付ファイルで流します。したがってポスター等の器材の送付も行わなくなりますが、その代わりこれまでのような各組織1箇所だけの郵送ではなく、メーリングリストの届いている全ての方にお届けできることとなります。

3、カンパ等について 今後定期的に文書通信費を請求することはなくなりますが、資金的に余裕のある組織は支援する会への入会ないし一般のカンパをいただければ幸いです(何度も書いていますが特定失踪者ご家族からのカンパは一切いただきません)。

4、新規入会について 本年5月以降新たな入会希望の組織があった場合は入会時にのみ1万円の登録料をいただくこととします。

なお、しおかぜネットワークについては下記をご覧下さい(4月15日現在では変更前の記載になっています)。

http://www.chosa-kai.jp/shionet1.html

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2013年4月15日

ディズニーランド

【調査会NEWS1331】(25.4.15)

 東京ディズニーランドが今日30周年を迎えたそうです。金日成と同じ誕生日とは知りませんでしたが、昔何度かここに行ったとき、不思議な感覚にとらわれたことがあります。

 それは北朝鮮を連想したということで、特にディズニーシーの方で強く感じました。ディズニーランド関係者には大変失礼な話で、ディズニーランドには皆お金を払って日本のみならずアジア各国からもやってくるのですが、北朝鮮の方はお金を払ってアジア各国に逃げていくわけですから全く違うことは言うまでもありません。

 私が感じた共通点は「非日常性」でした。どちらも全くの作り物の世界です。北朝鮮は金日成の革命伝説から金正日の出生から全てが嘘で作られています。私は北朝鮮に入ったのは開城観光の1日だけですが、その1日だけでも色々なことを感じました。例えば開城市内を走る私たちの乗ったバスの横を無関心な顔をして歩行者や自転車が通っていました。意外ときれいな身なりなのでちょっと予想外でしたが、良く見るとその先にもっとみすぼらしい身なりをしてこちらをボーッと見ている人たちがいます。おそらくバスの周辺の通行人の多くはエキストラだったのでしょう。

 韓国の元国会議員の方と話していて、こんなことを聞いたこともあります。「南北の交流で平壌に行ったとき、市内を歩いていると公園で宴会をしている人たちがいた。しかし良く見ると飲んでいた酒はコニャックだった。それで全てがヤラセだと分かった」

 こんな話はいくらでもありますが、世界中がテーマパークの中の核やミサイルに振り回されているのは情けない限りです。何かディズニーランドのアトラクションで出てくる王様と真面目に外交交渉しているような感じすらします。そう考えるとあのアナウンサーたちもアトラクションのナレーションに聞こえなくもありません。「この館に入る者は、無慈悲に生き埋めにされるであろう」とか。

 そういえば金正恩は「遊園地総局」なんぞという組織を作ったり自分で遊園地で遊んでいるのですから、こちらもそれくらいの乗りでやったらどうでしょう。ケリー国務長官など、少しメイクすればキャラクターとして使えそうな気がします。それで北朝鮮に乗り込めば結構話し合いに応じるのでは。

 もちろん相手は本当の武器を持っているのですから、油断して良いということではありません。しかし日本で言えば迎撃ミサイルがあっても当たるかどうか分かりませんし、当たっても市街地上空あんら破片の落下だけでも相当な被害が出るはずです。国民(もちろん拉致被害者も含めて)を守るために本当は何が必要なのか考え、実行すべきだと思います。

(写真は開城の「民俗旅館」。開城観光の折ここで昼食をとりましたが、休憩時間中も門を閉め切って外に出ることは許されませんでした)
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2013年4月14日

「調査会認定」について

【調査会NEWS1330】(25.4.14)

 ニュース1327号(4月10日付)の続きになりますが、4月6日の理事会決定の解説です。

 今回調査会の公開リスト(0番代、1000番台)に救う会認定・政府認定者を合わせて今「調査会認定拉致疑惑失踪者(略称「調査会認定」)と呼ぶことに致しました。手っ取り早く言えば調査会のポスターに掲載されている全員です。

 0番代、1000番代に非公開(特に表に出して使っている訳ではありませんが、内部では2000番代として非公開の失踪者を区分けしています)まで含めたリスト全体はこれまで通り「特定失踪者」とします。また、1000番代リストについてはあえて通常「拉致濃厚」という呼び方にすることにしました。

 現在リストにある特定失踪者について、特に公開の特定失踪者は10年間調査会の活動を続けても国内にいる確認ができないわけで、その分拉致の可能性が高まっているとも言えます。もちろん断定はできませんし、拉致と分かって「良かった」とはなりません。たとえ「拉致濃厚」であっても拉致でなく日本国内で元気でおられることを期待していますが、何人拉致されているのかも分からない状態では可能性のある人は一旦全て救出の対象と考えるべきであろうと思います。

 救う会認定というのは寺越昭二さん・外雄さん・武志さんの寺越事件3人と小住健蔵さん・福留貴美子さんを入れて5人です。これは調査会ができる以前から拉致濃厚とされており、なおかつ政府認定されていなかった方々です。この10年間で認定された2人のうち田中実さんはこの「救う会認定」でした(松本京子さんは特定失踪者リスト)。

 なお、調査会発足当時は調査会で調査をして、拉致の可能性が高いと思われるケースを救う会の幹事会にあげて「救う会認定」とし、救う会が救出運動を行う形にしていたため、最初に拉致の可能性が高いと判断された古川了子さんと加藤久美子さんはこの手順にのっとって「救う会認定」にもなっています。ただ、その後特定失踪者リストの数が急激に増えたこと、ご家族のフォローは調査会でそのままやった方がスムーズなため、このやり方を中止して調査会独自で発表するようになりました。そのためこのお二人については「救う会認定」でもありますが、便宜上特定失踪者リストの方に入れてあります。

 現在特定失踪者のリストのほとんどは昨年警察の発表した868人(その後3人が国内で所在確認されて現在は865人)の中に含まれているようですが、個別の確認については現在依頼中です。4月10日の衆議院予算委員会で元調査会常務理事の三宅博議員が行った質問に対し、古屋圭司拉致問題担当大臣は個別には日付や氏名の食い違いが若干あることを答弁していますから、そのチェックも含めて遠からず確認できるものと思います。

 なお、非公開の方は大きく分けて次のような理由で非公開になっています。

1、ご家族の意向(調査は希望するがご家族の中で公開に反対される方がおられる場合)

2、調査会が独自に情報を収集した失踪でご家族との接触がされていないケース

3、例えば漁船の失踪などで、乗組員のお1人のご家族のみが調査会への届出をされている場合(調査会発足から間もないときに届出のあったケースでは他の方々の人数はカウントされていてもお名前の不明なケースがあります)

 少々複雑で分かりにくいかも知れませんが、ご説明は今後もできるだけ機会をとらえて行っていきたいと思います。問題は北朝鮮にいるかどうかであって、日本国内での区分は、政府認定であれ調査会認定であれ特定失踪者リストであれ北朝鮮にいる拉致被害者を救い出すための手段の一つに過ぎません。最終的な目的をしっかりと肝に銘じて参ります。

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2013年4月12日

付近を航行していた船ではない

【調査会NEWS1329】(25.4.12)

 昨年10月28日付のニュース1252号で流した鳥取現地調査の報告について矢倉富康さん(昭和63年8月2日、境港から漁船「一世丸」で出漁したまま失踪。後に船だけが漂流しているのが見つかった)に関する調査の中で

「当時、矢倉さんが使用していた船の写真を確認すると、『波よけ』の下部に他船と衝突したような跡が見られることから『矢倉さんの船よりも小型の船が衝突したのでは?』との意見が出された。塗料が日本の船のものと異なるので当時破片を東京に送った。海保の担当者の話では『直ぐにどこの船か分かる』ということだったが結局連絡はなかった。今後海保などに問合せを行うこととなった」

 と書きました。少し時間が経ちましたが、去る4月3日の衆議院国土交通委員会で三宅博衆議院議員(維新・元調査会常務理事)がこれについて質問しました。北村隆志海上保安庁長官は次のように答弁しています。
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 「お尋ねの事案についてでございます。

 今先生おっしゃいましたように、発見されました一世丸の船体の状況から、ほかの船との衝突の可能性も視野に入れて全国的に手配を行いますとともに、一世丸の船体に付着していました塗料片を採取いたしまして、我々の海上保安試験研究センターの方で鑑定をいたしました。

 鑑定します場合には、推定される操業海域を航行していた船舶の塗膜片と同一性があるかないかとか、そういうものも含めて鑑定をいたしました。

 その結果、船舶の塗料は、日本の船の塗料とは異なるとは断定はできないということでございます。したがいまして、そのときに一世丸から採取しました塗膜片と、さらに付近を航行したと考えられる船舶の塗膜片が一致するか相違するか、そういうことも含めて鑑定をいたしましたが、相違することはわかってはおるんですが、どこのものかというのは、残念ながらはっきりはいたしません。

 したがいまして、我々としましては、事件当時、当庁で可能な限り、失踪された、先ほど名前が挙がりました矢倉さんにつきましても、捜査だけではなくて可能な限りの捜索もやらせていただきましたけれども、残念ながら、それ以上の手がかりはございませんので、現時点においては新たな情報に接してはおりません。
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 とりあえず思い当たる船はないとのことで、その分日本の船と衝突した可能性は低くなったということです。本件は残念ながらこれまで長らくご家族には伝えられていませんでした。海保に限りませんが、些細なことでも可能な限りご家族への説明はしてもらいたいと思います。

 今後も現地調査で出た問題などについて、与野党含め委員会での質問・質問主意書で引き続き質してもらうよう拉致議連とも連携しながら進めていく予定です。

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2013年4月11日

消しゴム

Missile

【調査会NEWS1328】(25.4.11)

 北朝鮮のミサイルが今日にも発射されるとか言っています(このニュースが流れる間にも発射するかも知れません)。各国のニュースでも大きく取り上げられているようですが、北朝鮮もあれだけ大騒ぎしている割には中国で観光客を呼び込もうとしたり、やっていることがちぐはぐです。そもそも泥棒に入ろうと思っている人間が「泥棒に入るのにあと1分1秒のところまで迫っている」と大騒ぎはしないものです。朝鮮戦争でも同様ですが本気で戦争するなら奇襲でしょう。

 講演などのときに良く言うのですが、小学校のとき、クラスに可愛い女の子がいて、気になるのだけど相手にしてくれない。そこでその子の筆箱を隠したり授業中に消しゴムを投げたりして気を引こうとする、あの消しゴムがテポドンだと思えば大体理屈はつきます。あまりやり過ぎると先生に言いつけられてお仕置きを食らうわけですが。

 問題は消しゴムならともかく、投げるのが爆弾だということと、国際社会というクラスには先生はおらず、せいぜいクラス委員(最近は皆平等でそういう役はないこともあるとか聞きましたが)か班長程度であることでしょう。

 そうであれば、やられる方が断固とした姿勢を持たない限り今後も「イタズラ」は止まないということです。日本も、まあ迎撃ミサイルも当たるかもしれませんが、向こうが選択できるのはミサイルだけではないので、本当に国民を守ろうとするなら「やられたらやり返す」、あるいは「やろうとしたら事前に粉砕する」という意志を持ち、実際に準備をしなければなりません。

 北朝鮮には全面戦争の能力はありません。しかし同時に自国民をいくら死なせても構わないという体制であり、それは他国民、特に敵国と思っている国の国民であればなおさらです。北朝鮮で1万人死ぬのと韓国で100人死ぬのでは、韓国の方が体制が揺らぐ可能性が大きいと言えます。その点は日本も同様です。

「専守防衛」という言葉自体が沖縄戦のように敵を国内に入れて民間人の被害を覚悟して戦うという意味であることを理解すべきだと思います。戦う意志があったなら何十年もにわたって北朝鮮に国民を拉致されていくという恥辱は味わわなくてよかったはずです。

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2013年4月10日

情報活動

【調査会NEWS1327】(25.4.10)

 既にお知らせした理事会決定について、箇条書きだけでは分かりにくいと思いますので、簡単な解説をしておきます。

 4月6日の懇談会の中で、拉致認定の問題について、特定失踪者ご家族や支援者の中から「やはり認定を目指したい」という声がありました。また、「特定失踪者の家族会を結成できないか」という声や、各組織の街頭活動についてお互い協力したり統一で行うことはできないかなどのご意見が出されました。

 理事会でそれらについて検討した結果、調査会の活動は情報活動、すなわち(1)北朝鮮の内部情報の収集、(2)日本国内における拉致に関わる情報の収集(1万キロ現地調査など)、(3)北朝鮮への情報発信(「しおかぜ」、バルーンプロジェクト、FAXなど)、(4)日本国内における情報発信(拉致問題に関する情報の周知)、に可能な限り集中することになりました。

 拉致認定については可能な範囲で協力するに留め、調査会として認定を求める主体的活動は今後行いません。既に何度も述べているように、現状では「拉致認定」自体が拉致問題進展の障害とすら言える状態になっていると思えるからです。もちろん、認定が進むのであればそれを止める必要はありませんし、政府に認定してもらいたいというご家族の意向は尊重して、ご家族や支援組織が認定を求める動きをされる場合には可能な協力をしていきます。

 もう一つ、特定失踪者の家族会が作れないかというご意見についてです。多数のご家族がおられ、しかも失踪状況も時期も置かれた立場も認識も異なるため、家族会を作ろうとすれば相当な労力を伴います。現在福井には特定失踪者の家族会がありますが、少なくとも調査会が主体的にこれを実施するのは物理的に不可能なため、ご家族の中で主体的に集まりを作ろうという動きがあれば可能な協力をするということになりました。

 同様、署名活動など各種運動の横断的連携についても、調査会が主体となって行うことはせず、自発的に行われるものに対し可能な範囲で協力していくことと致します。

 以上のような活動の整理は第1項目の「調査会の目標とするところは拉致認定ではなく拉致被害者救出である」という基本に基づくものです。反発やご批判もあることを覚悟しながら、状況を打開できるようさらに努力して参ります。何卒よろしくお願い申しあげます。

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2013年4月 9日

概念図

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 前に作った概念図を4月6日理事会の決定をもとに直しました。分かりにくいかも知れませんが、今後逐次説明していきます。とりあえずは調査会のポスターに掲載された方すべてが調査期認定(特定失踪者問題調査会認定拉致疑惑失踪者)であるとご理解下さい。

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2013年4月 6日

理事会決定ー目標は認定ではなく救出

【調査会NEWS1325】(25.4.6)

 本日12時から都内で特定失踪者家族・しおかぜネットワーク参加組織、関係者による懇談会を開催し、その議論を基に下記の通り決定しました。懇談会にご参加いただいた皆様ありがとうございました。

 あらためて今後ともよろしくお願い申しあげます。

特定失踪者問題調査会理事会報告

(平成25年4月6日 於:調査会事務所)

12:00〜15:00 特定失踪者家族・しおかぜネットワーク参加組織など関係者による懇談会を開催し、その議論をもとに16:00〜18:00 理事会を開催、下記の方針を決定した。

1、調査会の目標とするところは拉致認定ではなく拉致被害者救出である。

2、調査会の活動は情報活動に集中する。拉致認定を求める活動、家族間の連携を求める活動、大衆運動等については協力を求められれば可能な範囲で協力する。

3、調査会の公開リスト(0番代、1000番台)及び救う会認定・政府認定者を今後「調査会認定拉致疑惑失踪者」とする。(以上は調査会のポスターに掲載されている全てである)。これにあわせポスターも変更する。

4、非公開(2000番代)まで含めたリスト全体はこれまで通り「特定失踪者」とする。

5、1000番代リストについて、「拉致濃厚」という呼称に切り替える。

6、調査会のリストと警察発表のリストの照合を早急に政府に求める。

7、救出のためにはいかなる手段もとる。
平成25年4月27日(土)午後2時〜5時

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2013年4月 3日

有識者懇

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 今日の拉致問題有識者懇談会に私が作成したした資料です。中身については非公開なので書けません。有識者懇ができたことが「進展」ということではありません。参加するからには心してやりますが、現時点では安倍政権になっても拉致問題に大きな変化はないというのが正直なところです。「安倍さんだから大丈夫」などと安心せず、おかしいと思ったことには厳しいご批判をお願いします。

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2013年4月 1日

エイプリルフール

【調査会NEWS1322】(25.4.1)

     荒木和博

 世の中は今日だけ嘘をついて良い日だそうですが、365日嘘をついている国を相手にしていると、何が嘘だか分からなくなってきます。

 大学の講義のとき、私はいつも学生にこう言っています。

「北朝鮮の公式発言を読み解く鍵がある。それは、北朝鮮の公式発表は全て嘘であると思って読むことだ」

 実際「労働新聞」など発行日付以外皆嘘といっても過言ではありません。しかし、「なぜこういう嘘をつくのだろう?」と思いながら読むと、意外と正直に本音を言っているときがあります。また本当のことを書いたときは「なぜ本当のことを書いたのか」と思って読むとそれもまた意図を類推できる場合があります。

 いずれにしても、金日成が抗日闘争をして解放をなしとげたのも嘘、その抗日闘争の最中白頭山密営で金正日が生まれたのも嘘、朝鮮戦争を自力で戦ったのも嘘、「地上の楽園」も嘘…と、嘘で固められたあの体制にとって、もっとも恐ろしいのは真実でしょう。

 脱北して今は北朝鮮民主化運動の先頭に立つ姜哲煥氏がこう言っています。

 「米国の本土と韓国の米軍拠点をミサイルでどうするとか脅す緊急会議とかいうものを開きましたが、後ろに立っている将軍たちは戦闘服ではなく行事用の服装をしています。無様なショーが満天下にさらされた写真です」

 一方で「労働新聞」には恐ろしく古い兵器(例えば魚雷艇のような)の写真が掲載されています。人民を犠牲にして韓国や周辺国を恫喝し、一方指導層は安全なところで暖衣飽食の限りを尽くすという姿が真実の北朝鮮です。

 映画「かぞくのくに」(ヤン・ヨンヒ監督)で一時帰国を許された在日朝鮮人の兄(井浦新)が主人公の妹(安藤サクラ)に「何をするか考えないのも楽だぞ」と自嘲を込めて語るシーンがあります。まさに北朝鮮は何も考えない方が楽な国だったのですが、今は「韓流ブーム」が蔓延し、情報の流入にはどめがかからなくなってきています。

 嘘に惑わされることなく、その本質を外部にいる我々も内部にいる人々も見極められるときがくれば、あの体制は簡単に倒せるはずです。私たち民間人の力でも。

 ところでせっかく4月1日ですから、

「金日成と金正日は固い信頼関係で結ばれていた」

「中国と北朝鮮は血で結ばれた同盟国である」

 これくらいは言っておきましょうか。

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