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2013年4月 1日

エイプリルフール

【調査会NEWS1322】(25.4.1)

     荒木和博

 世の中は今日だけ嘘をついて良い日だそうですが、365日嘘をついている国を相手にしていると、何が嘘だか分からなくなってきます。

 大学の講義のとき、私はいつも学生にこう言っています。

「北朝鮮の公式発言を読み解く鍵がある。それは、北朝鮮の公式発表は全て嘘であると思って読むことだ」

 実際「労働新聞」など発行日付以外皆嘘といっても過言ではありません。しかし、「なぜこういう嘘をつくのだろう?」と思いながら読むと、意外と正直に本音を言っているときがあります。また本当のことを書いたときは「なぜ本当のことを書いたのか」と思って読むとそれもまた意図を類推できる場合があります。

 いずれにしても、金日成が抗日闘争をして解放をなしとげたのも嘘、その抗日闘争の最中白頭山密営で金正日が生まれたのも嘘、朝鮮戦争を自力で戦ったのも嘘、「地上の楽園」も嘘…と、嘘で固められたあの体制にとって、もっとも恐ろしいのは真実でしょう。

 脱北して今は北朝鮮民主化運動の先頭に立つ姜哲煥氏がこう言っています。

 「米国の本土と韓国の米軍拠点をミサイルでどうするとか脅す緊急会議とかいうものを開きましたが、後ろに立っている将軍たちは戦闘服ではなく行事用の服装をしています。無様なショーが満天下にさらされた写真です」

 一方で「労働新聞」には恐ろしく古い兵器(例えば魚雷艇のような)の写真が掲載されています。人民を犠牲にして韓国や周辺国を恫喝し、一方指導層は安全なところで暖衣飽食の限りを尽くすという姿が真実の北朝鮮です。

 映画「かぞくのくに」(ヤン・ヨンヒ監督)で一時帰国を許された在日朝鮮人の兄(井浦新)が主人公の妹(安藤サクラ)に「何をするか考えないのも楽だぞ」と自嘲を込めて語るシーンがあります。まさに北朝鮮は何も考えない方が楽な国だったのですが、今は「韓流ブーム」が蔓延し、情報の流入にはどめがかからなくなってきています。

 嘘に惑わされることなく、その本質を外部にいる我々も内部にいる人々も見極められるときがくれば、あの体制は簡単に倒せるはずです。私たち民間人の力でも。

 ところでせっかく4月1日ですから、

「金日成と金正日は固い信頼関係で結ばれていた」

「中国と北朝鮮は血で結ばれた同盟国である」

 これくらいは言っておきましょうか。

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