入口と出口
【調査会NEWS1346】(25.5.23)
飯島参与の訪朝がいかなる結果を生むのか、まだ不透明ですが、拉致問題について、しっかり分けておかなければならないことがあります。それは「入口」と「出口」の問題です。
少しでも進展しなければ拉致問題の報道もされず、国民の関心も高まらず、政府も動きません。その意味で飯島参与の訪朝とそれに関わる一連の動きが「入口」すなわち突破口の役割を果たすことを期待しています。一人でも二人でも帰ってくることによって世論は一気に高まり、政府が動かざるを得なくなることは11年前に証明されています。
一方で、そのことが他の拉致被害者を切り捨てることになってはなりません。「出口」とは、現在北朝鮮にいる全ての拉致被害者、調査会のリストにも警察のリストにもない拉致被害者まで含めて全ての拉致被害者を取り返すことです。どのリストにもない拉致被害者の多くは身寄りのない人を狙った拉致で、久米裕さん、田中実さん、原敕晁さんもそれにあたります。3人は事件として明らかになりましたが、成功しているケースは誰も気付いていないはずです。しかしもちろん国家の責任(政治家だけでなく、国民も)としてそういう人を取り返すためには北朝鮮の体制が民主化・自由化され、私たちが自由に入って探せるようになることと、拉致被害者が安心して名乗り出られるようにしなければなりません。つまり現在の金正恩体制を倒すことが必要不可欠だということです。
もちろん、本当の解決とは横田めぐみさんなら昭和52年11月15日に時計の針を戻して、バトミントンの練習の帰りに無事に帰宅してご家族と夕食ができるようにすることですが、それは残念ながらできません。今日帰国できたとしてもめぐみさんの36年は帰ってきません。このことは非常に重い問題なのですが、とりあえずは「出口」まで持って行かなければなりません。
「出口」を見据えつつ「入口」を開く交渉をするのは並大抵なことではありませんが、これを支えるのは指導者の決断と国民の意思であると思います。ぜひ一人でも多くの方にご理解をいただきたく思う次第です。
なお、ご参考まで。このようなことについて、15日に行われた戦略情報研究所「Sセミナー」とCS放送チャンネル桜でお話しした内容が動画でご覧になれます。お時間がありましたらご覧いただけると幸いです。
戦略情報研究所「Sセミナー」
http://www.netlive.ne.jp/archive/SII/index.html
チャンネル桜「防人の道」
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