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2013年5月 3日

偽札

【調査会NEWS1338】(25.5.3)

 米国東部標準時では今5月3日の午前1時です。昨日午後(日本では3日の明け方)、ワシントンでのシンポジウム(意見交換会)が終わりました。明朝ニューヨークに移動し、ニューヨークでのシンポジウムに臨みます。

 今回特定失踪者(調査会認定拉致疑惑失踪者)のご家族の代表として小林七郎さんに行って戴いたわけですが、その最大の理由はお兄さんの榮さんが昭和40年代前半を中心におきた印刷関係者の失踪の1人であるからです。

 以下は会場で配布している英文資料の原稿を要約したものですが、小林七郎さんのスピーチでは榮さんが勤務していた印刷会社の社長が在日で、北朝鮮系ではなかったものの北朝鮮で印刷の仕事をしないかと総聯系の人間から何度も声をかけられたことなどが語られています。

 「印刷の仕事をしている人間を連れてこい」という指示があったとすればこれらの失踪が相次いだことは辻褄があいますし、また、それを命じた人間の理由が偽札であったことも容易に想像できます。

 なお、これは私の想像ですが、技術者の拉致というのも、完全に「この技術」と指定してやったものというより、もっといい加減なくくりで拉致をして、場合によっては北朝鮮で必要とする技術を習得させた場合もあるのではないかと思います。日本人の性格からすれば、向こうに行って、帰ることを無理だと悟ってしまえば、自分の仕事に没頭してしまうことも多々あったのではないでしょうか。ですから北朝鮮で拉致の目的とは全く違う仕事に就かされたりした場合もあるはずです。帰国した5人ですら、北朝鮮にいた24年間に何をしていたのかはほとんど分かっていないのですから、個々の拉致被害者が何をしてきたのかは、最後は北朝鮮が解放されない限り(場合によっては永遠に)分からないのでしょう。
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(英文パンフの元原稿要約)

印刷関係の失踪者

 1966年8月、東京都内から小林榮さん(当時23歳)、1967年9月に日高信夫さん(当時22歳)、1968年4月に早坂勝男さん(当時24歳)が失踪している。3人はお互いは面識がないが、皆地方から東京に出てきて1人で暮らし、印刷会社に勤めていた。

 今回米国を訪れた小林七郎さんは小林榮さんの弟である。榮さんは1966年8月21日、勤務先の印刷会社を体調を崩して休み、「医者に行く」と会社の者に言い残して外出後、行方不明となっている。失踪当時家族と離れていたため、詳しい失踪状況は分からない。この点は他の2人も同じである。同時期に同じような年齢の、同じような境遇の、そして同じ印刷工であった青年たちが失踪している。これは果たして偶然だろうか。

目撃証言

 3人のうちの1人、日高信夫さんについては平壌での目撃証言がある。

 2006年8月1日、日本の報道関係者より特定失踪者問題調査会に「日高信夫さんによく似た人物を、平壌で目撃したという脱北者と韓国で面会した」との報告があった。

 この脱北者は2003(平成15)年に北朝鮮から脱北した元朝鮮労働党の軍事教官であるが、身柄の安全を確保するため、氏名は公表されていない。脱北者によれば、

(1)1994年に、平壌の病院で会った。その人物は朝鮮語が下手だったので、朝鮮人ではないと思った。その時に、その人物は印刷に関係する朝鮮語の書物と日本語の書物(内容は不明)を読んでいた。何回も彼と会ったが、いつも何かの本を読んでいた。

(2)平壌にある印刷工場で働いているとのことだった。その工場は、平壌にある普通の印刷工場である。

(3)背が低く、眉毛が濃い人物だった。隙歯だった。

(4)(日高信夫さんの写真を見て)この人によく似ていると証言し、脱北者はさらに歩き方に特徴があること、胃の病気で入院していること、幽霊の話をしていたことなど、北朝鮮で面会した人物について詳細な証言をしている。

 この報告を受けた調査会は、鹿児島市在住の申立人ら家族に当該の目撃証言について確認したところ、本を読むのが好きだったこと、身体的特徴が似ていることなど、様々な点で信夫の特徴と一致している。また信夫は子供の頃から胃が弱かったこと、怖い話をして弟を怖がらせていたことなど、家族以外知りえない事実においても一致する部分があることがわかった。

 8月4日、調査会は記者会見において目撃証言について公表すると共に、10月6日信夫の会社の同僚などから当時の信夫の特徴や趣味趣向などを聞きとった上で、韓国において証言した当該脱北者に面会を求め、信夫の別の写真を見せるなど確認作業を行った。

 その結果、多くの点で信夫の特徴と一致する点が見られたため、脱北者が面会した当該人物は信夫である可能性が極めて高いという確信を得て、調査会は10月13日、信夫を「拉致の可能性が高い」して発表した。

 北朝鮮の基礎技術水準は極めて低い。その水準で世界で最も精巧な偽札を作るためには機械だけでなく、それを操る技術者が必要である。

様々な違法行為をはたらく北朝鮮が拉致したのは印刷関係者だけだったのだろうか。

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